株価の上昇は見込めるか(写真はマネックス証券HPより)

写真拡大

 7月15日、スマートフォンの無料通信アプリ大手・LINE(ライン)が、東京証券取引所1部に上場し、時価総額約1兆円の今年最大の新規上場となった。上場初日は、1株あたりの初値は公開価格(3300円)を大きく上回る4900円をつけ、終値も4345円の高値で取引を終えた。順調な滑り出しを見せたLINE株だが、今後も大きく伸びる可能性はあるのか。国内外の株式市場に詳しい、日本ビジネスイノベーションの代表取締役でIPOジャパン編集長の西堀敬氏に、今後の値動き、競合銘柄が出てくる可能性、LINEの強みなどを聞いた。

◆狙いはグローバルな認知度アップ

――今回のLINE東証上場をどのように見られていますか。

 時価総額1兆円規模になると見られていましたが、その通りになりました。上場のご祝儀相場を終え、時価総額が大きく下がるケースもありますが、LINEの場合は今後さらに上がっていくことはあっても、5000億〜6000億円程度まで下がってしまうことはないと思います。

――上場申請から2年かかったこと、上場によるメリットは少ないなどの指摘も一部にはあります。

 2年前の上場申請は、市場でも大きな話題となり、注目されていました。時間がかかったのは、親会社のネット関連大手・ネイバーとの資本構成などで東証との話し合いが進まず、結局はLINEが当初の要求をあきらめ、今回の上場にこぎつけました。

 この手のネット関連企業は、大規模な資本調達はいらないので、上場する必要があるのかという指摘もありました。LINEは、台湾・タイ・インドネシアなどでもユーザー数を伸ばし、2億1000万人以上の海外ユーザーがいます。しかし、現地に工場を立てる必要もなく、大量に社員を雇うわけでもないので、海外展開を拡大しても、実際にはそれほどお金はかかりません。資金調達よりも、今回の日米上場でグローバルな認知度を上げることを狙っていたはずです。

――今回は、14日に米ニューヨーク証券取引所で上場し、15日に東証で上場という運びでした。狙いはどこにあったのでしょうか。

 証券会社の戦略です。米国で先行上場することで、東証でも利益が見込める堅い株になります。その流れを作ることで、投資家の購入意欲を刺激し、株価も上がります。IPO(新規公開株)は“お祭り”みたいなものですから。

 また、Facebook(フェイスブック)の大株主であるフィデリティ、バンガードなどの資産運用会社は、数千億〜1兆円分のFacebook株を持っています。そのような米国の大手資産運用会社は、数億円単位では買わず、最低でも10億円単位以上でしか取引をしません。今回のLINEの米国上場では、そういう資産運用会社に販売されたと見ています。そのようあ資産運用会社はすぐには売却しないので、米国上場当日は需給が良くて株価は上がりやすかったと言えます。そこに日本の個人投資家がネット証券経由で米国市場で上場日に買いを入れたことで株価はぶっ飛んだというわけです。

◆短期的には売り買いが交錯する

――短期的な値動きについては、どう見られていますか。

 これからLINE株を購入する人は、15日の終値(4345円)よりも高い株価で買った人が多いので、デイトレードのような短期取引では、今から買って売るとなると損をすることになります。すでに、公募株を買った人で売りたい人は初日に利益を確保して売っているはずです。ただ、上場によりグローバルに認知度が上がったので、しばらくは売り買いが交錯するはずです。一時的に4000円台を割るかもしれませんが、まずは決算が出てからの売買ということになると思います。

――今後、競合株が出てくる可能性や、LINEの優位性はあるのでしょうか。

 日本市場では、LINEと競合しそうな企業は見当たりません。国内のネットビジネスでは、検索サイト大手のヤフー、eコマース(電子商取引)大手の楽天などが成功していますが、彼らがLINEと同じサービスに乗り出せば、競合することになります。しかし、LINEがすでに持つ国内6000万ユーザーの市場をマーケティングするとなると、その費用は何百億円もかかることになります。ゲーム大手のグリーもSNSに参入しようとして失敗しており、そう簡単にはいかないでしょう。