クリスマス会も七夕集会も消滅寸前?

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 子どもたちの夏休みが始まった。小学生の夏休みといえば、ラジオ体操や絵日記、アサガオ観察などが思い浮かぶが、騒音や家庭環境への配慮から、こういった“風物詩”は消滅しつつあるという。

 風物詩が消えたのは、夏休みだけではない。運動会で、グラウンドの周りにシートを敷いて、応援に行った家族と子供が一緒に昼食をとる情景も見られなくなった。

「運動会はハレの日なので、家族も豪華な料理を作ってくる。子供にとっても家族にとっても大きな楽しみでした。しかし、保護者が運動会に来ない子供への配慮から、うちの学校では児童全員が教室に戻り、保護者が用意してくれたお弁当を食べています」(大阪府・小学校校長)

 父親が缶ビール片手に子供を応援、という姿も「いまは昔」だ。

「昼食の時に缶ビールを開けようとしたら、先生に『保護者もお酒は禁止です』と注意された。正直、ビールくらい飲みたいよ」(東京都・40代男性保護者)

 それどころか、子供の勇姿を自由に撮影することもままならないという。

「ビデオカメラや一眼レフでの撮影は許可制です。届け出て名札をもらわないと撮影できません。水泳大会の撮影は一切禁止です」(神奈川県・40代男性保護者)

 背景には「マニア」の存在があるらしく、保護者以外の撮影者が紛れ込まないよう、教師が立って目を光らせているという。

「『うちの子のほうが早かった!』という親が出てくるので、徒競走のゴール前での撮影が禁止されている学校もあります」(福島県の小学校校長)

 小学校の運動会にビデオ判定を導入……なんていう日が来るかもしれない。まったく別の理由で姿を消した行事もある。

「クリスマス会も七夕集会も、最近ではやっている学校はほとんどありません。理由は『宗教色がある』から。実際に宗教がらみで強いクレームがくることもありますからね」(佐賀県・教育委員会勤務)

 父兄参観や父母参観という言葉が消え、「保護者参観」と呼ぶ学校が増えた。

「これなら父親や母親がいない家庭でも大丈夫だし、祖父母も来やすいですから。ただ、参観に来るおじいちゃん、おばあちゃんが多すぎて、教室の後ろに入りきれないという問題も起き始めています」(神奈川県・元小学校校長)

 卒業式で問題になるのは日の丸・君が代だけかと思ったら、そうでもない。

「送辞と答辞をなくす学校が増えています。理由は『在校生代表』や『卒業生代表』を決めることが問題だという、妙な平等主義があるから。現在は児童たち一人ひとりが声を出す『呼びかけ』という形に変わっている小学校が多い」(教育評論家・森口朗氏)

 ちなみに『蛍の光』や『仰げば尊し』といった歌も、いまや卒業式の「定番」ではないそうだ。

「とくに『仰げば尊し』は、一部の教師たちから『教師が児童より上という考えに則った歌詞だからダメ』という反発があり、20年くらい前から卒業式で歌わなくなった学校が増えました」(森口氏)

 いずれ子供たちの辞書から「尊敬」という言葉が消える日が来るかもしれない。

※週刊ポスト2016年8月5日号