朝井リョウ原作のアニメ化『チア男子!!』。チアリーディングに情熱を注ぐ男子大学生たちの物語だ。先週放送の第3話は、7人目のメンバー・徳川翔(演:小野友樹)が加入するまでのエピソード。ほかのメンバーの背景も少しずつ明らかになっていくぞ。


オープニングはいきなり銭湯でのサービスシーン(?)から。さすがスポーツやってる大学生は余分な肉がない。生真面目なメガネ男・溝口(演:杉田智和)も脱ぐとイイ身体している。しかし、提供画面が電気風呂で震え続ける溝口のカット(しかも繰り返し)だったのは誰のどういう意図なんだろうか? 

さて、一同が7人目のメンバーとして目をつけたのが、体育の時間に華麗にロンダートを決める美男子・徳川翔。どうやらチアの経験もあるようだ。立体感のあるバク転、バク宙の描写は、『チア男子!!』の見せ場の一つ。しかし、あっさりメンバーに加わったイチロー(演:桑野晃輔)と弦(演:小西克幸)とは違い、一筋縄ではいかない様子。

なお、体育館ではハルとポニーテールの美少女・千裕(演:宇山玲加)とのやりとりもあるが、これは原作既読の人はついニヤニヤしてしまうシーン。こういうお遊びは映像ならでは。気になる人は原作をどうぞ。

我々はひたすら悩み、歓喜するために生まれてきたのです


謎のリスキャラ、リスジロー(クッピーラムネのリス子似)のTシャツを真顔で着こなす翔は、傍目から見るとどうかしている男なのだが、ルックスも言動もやっぱり美男子。ハルたちが口説くが、素人ではチアは無理だと決めつけて「入りたくない」とまで言い放つ。

ここまで言われたら引き下がれない。カズ(演:岡本信彦)の発案で、メンバー全員がロンダートとバク転を連続でできるようになって「本気」を見せてやろうということに。カズ、イチロー、弦は難なく決めて、ハルもなんとかクリアするが、問題は溝口と巨漢のトン(演:林勇)だ。

猛特訓の最中、軽薄そうに見えるイチローと弦にも、複雑な感情とドラマがあったことがさらりと描かれる。何でもカンタンにこなしてしまうイチローは、野球部でもあっさりエースピッチャーの座を手に入れていた。そんなイチローをずっと間近で見ていた弦は、「アホらしくなって」高校からサッカー部に移ったのだ。誰にでもそれぞれ歩んできた物語がある。大げさなドラマじゃない分だけ、リアルだ。

猛特訓は続くが、溝口とトンはなかなかバク転を決めることができない。期限は一週間。公園で猛特訓を積む2人と、それをサポートするメンバーたち。努力のかいあって溝口がバク転に成功! ハルとトンは素直に「おめでとう!」と祝福する。

「いいものだな……誰かに祝福されるというのは」

大げさな溝口の言葉にハルとトンは笑うが、これは溝口の本音だった。周囲からは生真面目な言動を笑われ続け、所属していた陸上部では一人きりで走り続けていた。まさに“長距離ランナーの孤独”を地で行っていたわけだが、こうして自分が何かを成し遂げたときに心から祝福しあえる仲間ができるということは溝口にとって何より嬉しいことだったのだ。

「我々はひたすら悩み、歓喜するために生まれてきたのです。
ほとんどこう言ってもよいでしょう。
人は苦悩を突き抜け、歓喜を勝ち得るのだと……ベートーヴェンの言葉だ」

溝口の言葉に勇気づけられたトンも続けてバク転成功! それを見ていた溝口は嗚咽するほど泣きじゃくる。うーん、若いっていいなぁ。できないこともできるようになるし、こうやって仲間だってできる。大人になると、なかなかそうもいかないんだよ。

イケメン男子たちがキャッキャウフフするお話だと思われがちな『チア男子!!』だが、根っこの部分は正統派のスポ根ものであり、リアルな大学生の姿を描いた物語だ。そんなことをあらためて感じた第3話でした。あ、翔君はちゃんと仲間に入ったけど、条件つきだったよ!

というわけで、まだまだ前途多難そうな男子チア部。溝口のように名言に詳しくなりたい方は、『「がんばれ! 」でがんばれない人のための“意外"な名言集』という書籍が昨日発売されたようなので、一度読んでみるといいかもしれませんね。

本日放送の第4話「壊したいもの」は、美人だけどちょっと怖い指導者が加わりそうな予感。OPの見事なチアを見せてくれるのはいつの日か。ゴー・ファイ・ウィン!
(大山くまお)