コンビニ各社によるレジ横カフェ戦争がますます熱い。安価で本格的な味わいがすぐに楽しめるとして人気のコンビニコーヒーですが、各社ではどのような違いがあるのでしょうか? 国内のコンビニ事情に詳しいライターの日比谷新太さんが、各社の違いを徹底的に分析しています。実はコンビニコーヒーには「45秒の壁」というのがあったんです。

コンビニカウンターコーヒーの戦い

コンビニエンスストア各社ともに、近年最も力を注いでいる新商品と言えば、「カウンターコーヒー」で間違いないでしょう。2013年に、日経トレンディが毎年発表している「ヒット商品ベスト30」において第一位の栄冠に輝くと、瞬く間に普及していき、今では定番のサービスとしてすっかり定着した感があります。

そこで今回は、「セブンイレブン」「ローソン」「ファミリーマート」の3大チェーンを中心に、各社が提供するカウンターコーヒーの特徴を改めて確認してみたいと思います。

最も素早くコーヒーを提供するチェーンは?

コンビニのカウンターコーヒーには、「45秒の壁」なるものが存在することを、ご存知でしょうか。

一般的に美味しいコーヒーを淹れるためには、じっくりと時間をかけて抽出しなくてはいけないと不文律が存在しています。しかしコンビニのお客さんは、急いで必要な商品を購入したい欲求が強いので、長すぎるコーヒー抽出時間は嫌われます。

そこで、代表的なコンビニチェーンのコーヒー抽出時間が、一体どれぐらいかかるのか、実際に店頭で調査してみたところ、以下のような結果となりました。

・セブンカフェ:46.8秒

・MACHI café:42.5秒

・ファミマカフェ:46.9秒

ボタン押下から完了まで概ね45秒前後。これが「45秒の壁」というものです。コンビニ各社はこのコンマ1秒の単位でしのぎを削っているんです。ではこの違いはどこから生まれるのでしょうか?

「販売方式」で売り上げに大きな差が!

各チェーンが提供しているカウンターコーヒーの違いを出すため(差別化)の要素としては、「豆の種類」「豆の焙煎方式」「販売方式」「抽出方法」「ミルクの種類」などが、一般的に挙げられます。各社の違いを比較してみましょう。

●セブンイレブン「セブンカフェ」

・ドリップ式で抽出

・アラビカ豆100%使用

・お客さんが自分でコーヒーマシンを操作して抽出する「セルフ販売方式」

●ローソン 「MACHI café」

・エスプレッソ式で抽出

・豆はブラジルのイパネマ農園で生産

・従業員がコーヒーを抽出しお客さんに手渡し

※一部の店舗では「セルフ販売方式」を採用

●ファミリーマート 「ファミマカフェ」

・エスプレッソ式で抽出

・お客さんが自分でコーヒーマシンを操作して抽出する「セルフ販売方式」

各社のウェブサイトに掲載されている情報が不足しており、比較が難しいところですが、一つの大きな違いとして指摘したいのが「販売方法」です。

ローソンの「MACHI café」は、サービス開始当初こそ大いに持てはやされ、コーヒーにこだわりがあるローソンというブランドが定着したのですが、近年ではやや苦戦傾向です。

ローソン 「MACHI café」

これは、従業員がお客さんの注文を受け、レジカウンターの中でコーヒーを抽出し、レジ越しに手渡しするという「MACHI café」の販売方法では、思うように販売数が伸びないことが、原因のひとつとされています。

コンビニに来店するお客さんは、「買物を楽しむ」という欲求よりも、「素早く・欲しいものが欲しい」欲求が強い傾向にあります。レジで注文し、次のレジ待ちのお客さんの目線を気にしながら、自分のコーヒーができるのを待つという消費行動に慣れておらず、そこに戸惑いが発生したと考えられます。

スターバックスなどの一般的なカフェチェーンのように、注文カウンターと手渡しカウンターを分けることで、この問題は改善可能なのですが、コンビニのレジカウンターはそもそも狭いため、そこまで余裕のあるレイアウトを実現するのは、容易ではありません。

そこで最近は「MACHI café」でも、セルフ販売方式を取り入れつつあります。セルフ販売方式は、お客さん自身が操作してコーヒーを淹れるため、「待つ」ことへの抵抗感(ストレス)が比較的軽減されるのだと考えられます。

多彩な商品展開が可能なエスプレッソ式が主流に

いっぽう「抽出方法」は、セブンイレブンが「ドリップ式」なのに対し、ローソンとファミリーマートは「エスプレッソ式」を採用しています。ただ、コンビニに設置するコーヒーマシンとしては、「エスプレッソ式」のほうが向いており、業界でもそちらが主流になりつつある傾向です。

なぜ、エスプレッソ式が優位なのか。それはエスプレッソ式なら、生乳を入れると「カフェラテ」、ココアを入れると「カフェモカ」、抹茶を入れると「抹茶ラテ」というふうに、多彩なメニューが提供できるという、大きなメリットがあるためです。またこれらは、コーヒーが苦手な女性に人気のメニューでもあります。

コーヒーマシンは非常に高価な機械で、特にエスプレッソマシンの価格は、軽自動車1台分に匹敵します。そんな高額なマシンですが、不思議なことに国内メーカーの進出が非常に少ないのです。

ローソンはブルーマチック社というアメリカの会社のマシン。またファミリーマートは、ドイツのWMF社製のマシンを採用しています。いっぽう、セブンカフェのコーヒーマシンは日本製なのですが、こちらは前述の通りドリップ式です。

もし今後、国内の家電メーカーが、日本人の嗜好に合ったエスプレッソマシンを開発し、それが各コンビニに導入されれば、カウンターコーヒーブームはより盛り上がるのではないでしょうか。

ちなみに、多彩なメニュー展開ということでいえば、今の暑い季節「フラッペ」からも目が離せないところです。

ブームの先鞭をつけたファミリーマートは、今シーズンから「ストロベリー」「ミルクティー」が新しく仲間入りし、5アイテムでの展開。またローソンも7アイテムを投入し、ファミリーマートに対抗しています。今年の夏のカウンターコーヒーの戦いは「フラッペ」が見所といえるでしょう。

コンビニ3大チェーン以外の伏兵「NewDays」も健闘

ところで、これら3大チェーン以外も同様なんだろうかということで、いろいろと調べてみまたところ、大手より速くコーヒーを提供しているチェーンがありました。

それは、JR東日本系のコンビニ「NewDays」の「EKInaCAFE」。実測結果は、なんと驚きの34.1秒でした。

この「EKInaCAFE」を調べてみると、

・あのドトールコーヒーが作っているので、日本人好みの味になっている。

・アラビカ豆の中でも高級豆である「マンダリン」がブレンドされている

・炭火焙煎なので、本格的な味・香りが楽しめる

おそらくJRを使っているお客さんはサラリーマンが最も多く、また電車の出発時間に焦りながら購買しているお客さんが多いことを考慮して、抽出スピードが速いコーヒーを採用しているのではないでしょうか?

同じ安価なコーヒーでも、コンビニ各社によってこれほどアプローチが違うことがおわかりいただけたでしょうか? とはいえコーヒー好きにとってはあの待ち時間は香り高まる至福の時ですよね。たまにはいつもと違うコンビニでその違いを味わってみては?

文/日比谷 新太(ひびや・あらた)

日本のコンビニエンスストア事情に詳しいライター。お仕事の依頼はコチラ→のメールまで: u2_gnr_1025@yahoo.co.jp

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出典元:まぐまぐニュース!