『脳が勝手に記憶するユダヤ式英語勉強法』(加藤直志著、サンマーク出版)の著者は、オンライン英語塾「加藤塾」主宰にして「ユダヤ英語コーチ」。

本書で提唱する「ユダヤ式英語勉強法」を通じ、これまでに1万8,000人以上にインターネットで英語を指導してきたそうですが、その主張は想像以上に大胆です。

なにしろ「記憶の民」といわれるユダヤ人の究極の記憶法は、「体をキツツキのように揺らしながら、口を動かしてつぶやくこと」にほかならないというのですから。

にわかには信じられないような話ですが、事実、彼らはそうやって、1,000ページ以上もある聖書のなかの「トーラー」と呼ばれる部分を全文記憶しているのだとか。

3、4歳から体をゆらゆらさせながら、ブツブツ聖書をつぶやく……すると、いつの間にか「トーラー」を記憶できているというのです。

■体と口を動かしながら覚える理由

では、なぜ彼らは聖書を記憶する際に体を前後させるようになったのでしょうか? それは、「聖書の数が足りなかったから」なのだといいます。

奴隷として扱われたり、ひどい迫害を受けてきた彼らはその昔、日常的に聖書を燃やされたり捨てられたりされていたのだそうです。

そのため聖書の数が慢性的に足りなくなり、みんなで一冊の聖書を読もうとしたため、見えるように体を動かす習慣がついてしまったということ。

そしてその結果、「ひょっとしてこれは画期的な記憶法なのでは?」と気づいたというのです。さらには「体を動かすことで体温が上がり、血行がよくなる」というメリットにも気づいたため、この記憶法が広まっていったのだとか。

■音読と反復による暗記練習が肝!

だから、「英語をどのように勉強すれば、いちばん効果があると思いますか?」という問いに対しても、著者はまず「つぶやくこと」だと断言するといいます。

ただし、それだけでは不十分。「体を動かしながら」という要素が加わって、初めて効果的な「ユダヤ式英語勉強法」が完成するというわけです。

<学ぶ(ミシュナ)というのは、繰り返し朗読をし、繰り返し書き写し、そして繰り返し考えることである>というユダヤの格言があるそうです。

そして著者もまた、ユダヤ関連の本を読みあさり、ユダヤ人が多く通っていたニューヨーク州立大学で彼らと共に学んだことから、「音読と反復による暗記練習が英語を身につけるうえでは最大のポイント」だと確信したのだといいます。

なぜなら、単純なリズム運動が加わることで、英語が脳に勝手に定着してくれるから。いわば「単純なリズム運動」と「つぶやくこと」が英語学習にとってはもっとも大切だということ。

なお、ユダヤ人の語学学習に関する考え方は、次の「5つの基礎」にまとめられるそうです。

■ユダヤ人「語学学習」5つの基礎

(1)とにかくワクワクすることからはじめる

ユダヤ式勉強法によってふたたび英語を学びたいなら、まずは心が踊るくらいワクワクすることからはじめるべき。

なぜなら、興味が持てないことや難解なことからはじめても、すぐ嫌になってしまうから。だから自分の好きなものが題材になっていて、「簡単そう」「いますぐ取り組めそう」と思える教材を選ぶことが大切なのだといいます。

そしてもちろん、「楽しむ」ことも不可欠な要素。

(2)体を動かしたり、歩いたりしてリズムをつけて学ぶ

「体をキツツキのように揺らしながら、口を動かしてつぶやくこと」が大切だといっても、そもそもその動きは“昔からのなごり”。

つまり、同じような動きをしなければいけないという意味ではなく、とにかくじっとさえしなければOKだといいます。別ないいかたをするなら、英語学習においては、とにかく“動き”を取り入れることが大切だということ。

(3)声に出して、つぶやきながら学ぶ

つぶやくことには抵抗があるという方もいるかもしれませんが、これにも明確な根拠が。

声に出せば、自分の声を聞くことになります。視覚だけではなく聴覚も使っていることになるため、記憶に厚みが増すというのです。

(4)最高の「つぶやき」環境を整える

多くの情報や物質であふれ返る現代社会は、集中を妨げる要素がたくさん。

そんななか、それらの原因と向き合い、うまく対処する方法のひとつは「感情が乱れて気が散っている状態で勉強しない」ということ。そしてもうひとつは、「自分にとって集中できる時間帯とその時間を把握する」こと。

一切の心配と悩みを遠ざけ、環境を整えたうえで勉強に集中すべきだという考え方です。

(5)反復練習や復習をすぐに行う

<学んで復習しない者は、種をまいて刈り取らないのに等しい>というユダヤの格言があるそうですが、たしかに復習しなければ、どんなに努力したところで実を摘み取ることは不可能。

英語学習はまず復習しなければ意味がなく、復習にこそ、英語学習の本当の意義があるといっても過言ではないそうです。

こうした考え方を軸として、以後は「単語力」「英文法」「リスニング力」「リーディング力」「スピーキング力」「ライティング力」、そして「資格試験勉強法」まで、ユダヤ式のさまざまなメソッドが紹介されています。

それぞれが実践的なので、きっと役立つはず。英語学習で悩んでいる人にとって、大きな助けになるかもしれません。

(文/作家、書評家・印南敦史)

 

【参考】

※加藤直志(2016)『脳が勝手に記憶するユダヤ式英語勉強法』サンマーク出版