こんにちは、バブル時代研究家DJGBです。1976年生まれの筆者が、80〜90年代の「あったあった」なブランドを男子目線で振り返りつつ、その「今」とともにご紹介してゆきます。今回ご紹介するのは、”バブルの申し子”でおなじみ「レイトンハウス」です。

●不動産屋さんがレーシングチームのオーナーに!

バブル期といえば、忘れてはならないF1ブーム。マクラーレン・ホンダ、ウィリアムズ・ルノー、ベネトン・フォード、フェラーリといった強豪ひしめく中で、キラリと光る、その名もレイトンブルーのチームカラーをまとった「レイトンハウス」を憶えているでしょうか。

【あのブランドは今】バブルの申し子「レイトンハウス」が音速で復刻中!
画像提供:N-WORKS

1984年、丸晶興産という不動産会社の社長だった赤城明氏のもとに、スポンサーを探していた荻原光・任の兄弟レーサーが、飛び込み営業で訪れます。兄弟を気に入った赤城氏はスポンサードを即断し、1984年の秋から全日本選手権に参戦。当初は丸晶興産、または子会社のメーベル商会の名義を使っていましたが、若い女性社員の「レーシングカーに漢字やカタカナはダサい」という意見を受け、ロンドンの地名に着想を得た「レイトンハウス」というブランドを新たに設立しました。

【あのブランドは今】バブルの申し子「レイトンハウス」が音速で復刻中!
画像提供:N-WORKS

当時レース関係者に「レイトンハウスって何ですが?」と問われた赤城氏が、「いや、実体はまだないんですよ。それはこれから作りますから」と答えた、というエピソードが残っています。

●F1、ファッション、ホテル、マンション、ディスコまで…!

「レイトンハウス」はチーム設立直後、荻原光の事故死というアクシデントに見舞われますが、赤城氏はレースへの情熱とともにチーム運営を続行。1987年に「レイトンハウス・マーチ」を結成すると、契約レーサー、イヴァン・カペリのステップアップに伴い、とうとうF1への参戦を果たします。

【あのブランドは今】バブルの申し子「レイトンハウス」が音速で復刻中!
画像提供:N-WORKS

ブランドの認知度も急上昇。前年から発売がスタートしていた「レイトンハウス」のアパレルは、特徴的なレイトンブルーが話題となり、レース会場や都内のブティックで人気に火が付きはじめたのです。

波に乗る丸晶興産はさらに事業を拡大し、「レイトンハウス」ブランドのブティックやホテル、マンション、はたまた音楽出版事業まで手掛ける一大グループに成長します。

【あのブランドは今】バブルの申し子「レイトンハウス」が音速で復刻中!
出典:Amazon.co.jp
あのジョー山中のベストアルバムは、なぜだかレイトンハウス音楽産業からリリース。今ではプレミアが物凄いことに!

1987年には六本木の旧防衛庁前に高級ディスコ「トゥーリア」をオープン。空間プロデューサーに山本コテツ、内装のデザインは「ブレードランナー」で知られるシド・ミードを起用した店内のコンセプトは『近未来の惑星に不時着した宇宙船』。もちろん黒服による服装チェックありの、なんともバブル感あふれるスポットでした。

ところが1988年1月5日、店のウリモノだった可動式の照明装置の落下により死者3名を出す大事故を起こし、「トゥーリア」は閉店に追い込まれます。余談ですが、事故当日の店内にはあの桑田真澄と、彼の暴露本を書くことになるスポーツメーカー勤務の中牧昭二、のちにアナウンサーの羽鳥慎一と結婚する(現在は離婚)アイドルの栗原冬子らがいた、とも報じられ話題となりました。

●バブル崩壊、F1撤退、倒産へ…。

マーチを完全に買収した「レイトンハウス」は、セナ、プロスト、マンセル全盛期のF1でたびたび上位争いに食い込む活躍を見せ、また丸晶興産は約400億円で西ドイツの一流ブランド「ヒューゴ ボス」を買収するなど栄華を極めます。アパレルブランドとしても子供向けの「レイトンキッズ」が登場、またポッカコーポレーションからはその名も「レイトンハウスF1ドリンク」なるスポーツドリンクまで発売されるほどの人気を誇りました。

【あのブランドは今】バブルの申し子「レイトンハウス」が音速で復刻中!
画像提供:竜□胆□か□る□ぴ□す□さん

しかし1991年、バブル崩壊とともに赤城氏にまつわるスキャンダルが表面化。同年9月には富士銀行の不正融資事件に関係した罪で逮捕され、赤城氏はF1チームのオーナーシップを失ってしまいます。「レイトンハウス」は翌1992年にはF1から姿を消し、丸晶興産も1998年、倒産に至ります。

●2016年、まさかのサイクルウェアとして復刻中!

その後ブランドは赤城氏と交流のあった人物に引き取られ、現在も「レイトンハウス」のアパレルやスニーカーなどが販売されています。

ところがこの7月、あの「レイトンハウス」から新たにサイクルウェアがリリースされる、という驚きのニュースが。

【あのブランドは今】バブルの申し子「レイトンハウス」が音速で復刻中!
画像提供:N-WORKS
左:LEYTON HOUSEレーシングサイクルジャージ 半袖 1万2960円(税込)、右:LEYTON HOUSEレーシングサイクルビブショーツ 1万2960円(税込)。N-WORKSで受注販売。8月21日まで。

80年代後半にイヴァン・カペリが着用したレーシングスーツのイメージを、最新のサイクルジャージに落とし込んだこの逸品は、ただいま期間限定で受注販売中。なぜあの「レイトンハウス」がサイクルウェアになったのか、製品を企画されたN-WORKSさんに聞いてみました。

「弊社はオリジナルのサイクルジャージを数多く手掛けていますが、Facebookなどの自転車フォーラムでモータースポーツ関連のニーズが多くあったことが企画のきっかけです。ロードバイクのユーザーは30〜50代がメインなので、『作るならセナプロ時代…1988〜1991』と決め打ちし、その時代で一番華やかだった『レイトンハウス』を選び、版権元と交渉しました(N-WORKS代表 西川誠一さん)」

なるほど、確かにターゲット層とブランドもマッチしています。

「私もバブル世代でF1好きですから『あったよね!』『カッコよかった!』『バブルだったよね〜!』と企画をまとめ、版権元も『レイトンハウス』ブランドの火を灯しつづける企画としてご協力いただきました。バブルのあだ花と揶揄されることもありますが、赤城社長はレーシングチーム運営に本当に真摯な方でしたね(西川さん)」

一般的に「レイトンハウス」は、「バブルに乗って不動産で大儲けした会社が、F1に手を出して大やけどを負った」というトーンで語られることが多いですが、赤城氏がレースに参入した1984年はバブルの3年ほど前、むしろ円高不況の時期でした。そのチャレンジ精神は、あらためてふりかえる価値がありそうです。

ブランド設立から30周年。いまこそレイトンブルーを身にまとい、アナタも風になってみませんか!自転車だけど!

文/DJGB