求人票などに「転勤あり」と書かれていた場合、入社後の転勤命令は断ることができない―。それが今までの常識でしたが、最近では社員の様々な事情を考慮した判例も出てきているようです。無料メルマガ『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』でそんなケースが詳しく紹介されています。

「転勤あります」でも、転勤命令が認められないこともある

みなさんの中には「単身赴任」されている人はどれくらいいらっしゃるでしょうか。それについて賛否あると思いますが私の周りでは割と賛成派が多いように思います。「独身時代に戻ったようで自由に楽しんでやっている」というのがその主な意見です。

ただ、中にはもちろん本当は家族と一緒に転勤したかったけどどうしてもできなくて、苦渋の選択であるという人もいるかもしれません。また、いろいろな事情によって、単身赴任自体も難しいという人もいることでしょう。

では、転勤も単身赴任も難しいという社員に会社は転勤命令をすることができるのでしょうか。

それについて裁判があります。ある出版社で編集部員として採用された社員が入社1年後に転勤命令を受けました。するとその社員は「転勤がないと思って入社したのに、それでは話が違う」として、裁判を起こしたのです。

それに対して会社は

求人票には「転勤あり」と記載している実際に転勤をしている社員もいる

として、反論しました。

それでは、この裁判はどうなったでしょうか?

会社が負けました。その転勤命令は「無効である」と裁判で認められたのです。なぜか?

実は、この社員には高齢の両親がいて世話が必要な状態でした。それを採用面接のときに、「前職から大幅に年収が下がるが、両親の世話をみることができることが志望動機である」と伝えていたのです。

それを裁判所は「その事情を理解して採用したわけであるから、転勤がないことを認めたと考えることができる」としたのです。

また、求人票に「転勤あり」と記載があることについては「あくまでも雇用契約を結ぶ前に出された条件であり、この社員との雇用契約に明記されたものではない」としました。

いかがでしょうか? 転勤については基本的には会社に裁量権があります。転勤を命じられたら社員は原則として断ることはできません(もちろん、求人要項や就業規則に、明記されていることが前提ですが)。

ただ、最近は社員の事情に配慮した裁判例も多く見られるようになりました。

※ご参考:【労務管理】転勤命令がすべて有効になるわけではない

そして、おそらくこの傾向は今後はさらに強くなっていくと考えられます。

みなさんの中には「転勤は絶対命令」という会社の雰囲気で自らも転勤をしてきた人もいるかも知れません。そして「社員は転勤して当たり前」という考えの人も多いでしょう。ただ、今後は社員の事情に合わせた転勤を考えるべきかも知れませんね。

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『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』

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企業での人事担当10年、現在は社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツをわかりやすくお伝えいたします。

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出典元:まぐまぐニュース!