スノーデン、iPhone付属キットをデザインする(2)

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2013年、NSAによる世界規模の不正な情報収集を告発したエドワード・スノーデン。いまや映画化もされる彼が、著名なハッカーとともに、iPhoneからの情報漏れを防ぐデヴァイスを開発した。

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[この記事は、スノーデン、iPhone付属キットをデザインする(1)の続きです]

アンドリュー・バニー・フアンとエドワード・スノーデンは、彼らが開発した解決策を「introspection engine」と呼ぶ。その外付けバッテリーよりも小さいくらいのデヴァイスには、小さな白黒スクリーンが備わっている。

「国家レヴェルの敵ともなれば、その力は非常に強いものです。基本的に携帯情報は傍受されていると想定しておくのが、わたしたちの考え方です」とファンは語る。「わたしたちが提供したいと考えているのは、スマートフォンの電波が『オフ表示』のときに電波がほんとうにオフになっているという、絶対的な保証です」

電波をオフにしたければ、スマートフォンの電源ボタンを押して電源を切ればいいのでは、と思うことだろう。あるいは、電波を完全に遮断するファラデーバッグにでもiPhoneを入れておけばいいだろうと思うかもしれない。しかし、ファンによればファラデーバッグも電波情報を漏らしうるのだという。また、2014年にスノーデンがNBCのインタヴューで警告したように、優れたマルウェアはiPhoneで電源がオンになっているにもかかわらず『電源オフ』と表示をさせることができる。

ファンとスノーデンのアイデアは、いまのところはまだ、単なるデザインにすぎない。

彼ら2人は、iPhone 6のアンテナに送られた電気信号を傍受する手法をテストし、さまざまな無線メッセージを見分けられることを確認してきた。しかしプロトタイプはまだ作成されていないし、当然のことながら製品化もされていない。しかし、彼らは2017年中にはプロトタイプを作成し、最終的には中国でサプライチェーンをつくり、ジャーナリストや報道機関に提供したいと考えているという。中国メーカーへの不信感を完全に断ち切るため、このデヴァイスのコードとハードウェアデザインはすべてオープンソースにすると、ファンは述べている。

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メイド・イン・深圳

ファンはシンガポールに住んでいるが、毎月のように中国・深圳のハードウェアメーカーに会いに行っているのだという。彼らが手がけるようなハードウェアを製作してiPhoneにインストールするのに必要なスキルは、iPhoneの修理と改造市場が繁盛している中国本土ではあたりまえにあると、ファンは語る。

「数百ドルの資金をかけられさえすれば実現できる、そういった類の話です」とファンは説明する。「アメリカの平均的な『DIYファン』はこんな複雑なことは無理だと思うでしょう。しかし、中国でiPhoneの改造をしている人間ならば、造作もないことなのです」

フアンとスノーデンの2人は、実は顔を合わせたことが一度もない。ファンによれば、2015年末ごろにスノーデンが仲介者を通してファンに連絡してきたという。

それから2人は、暗号化通信アプリ「Signal」を使ってスノーデンのアイデアについて話し合った。このプロジェクトにおいてスノーデンは当初より、NSAからではなく外国政府から攻撃されやすいレポーターの保護に焦点をあてていたと、ファンは主張する。

今回リリースされた文書のなかでは、ケーススタディとして先日殺害された米国人従軍記者メリー・コルビンの件が指摘されている。コルビンの家族は、シリアの残忍なアサド政権は民間人犠牲者のレポートを阻止するため、コルビンの電子通信を傍受してコルビンを追跡し標的を絞った爆弾攻撃でコルビンを殺害したと主張し、シリア政府を訴えている。

スノーデンは実用本位でかつ最大限の防護対策を開発しようとしているのだと、ファンは語る。「スノーデンが関与しているという事実がなければ、かなり平凡なものと思われるかもしれません」とファンははにかむように語った。「わたしのソリューションはシンプルです。しかし、重要な人々を助けるのです」