画像提供/リブラン

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特定の趣味や嗜好を持つ人たちをターゲットにした「コンセプト型賃貸」。最近はバイク乗りのために設計された物件やアイドル監修の物件など、さまざまなタイプが展開されている。そのなかでも先駆け的なシリーズであり、着実に棟数を増やしているのが「ミュージション」。音楽を愛する人、ミュージシャンを志す人などに人気で、シリーズ全棟の入居率は9割を超えるという。何が入居者を惹きつけるのか、その魅力を探ってみたい。

トランペットの音もほぼ無音にする遮音性の高さ

ミュージションを展開するのは、個性的な賃貸住宅などの企画運営・管理を行うリブラン。同シリーズのマンションは、現在東京、埼玉、神奈川に9棟存在するという。今回訪れたのは「ミュージション野方brio」。バンドマンの街、高円寺にも近く、楽器店や音楽スタジオも点在するエリアにある。ミュージション史上最高の遮音性能を叩きだし、現在シリーズのなかでも人気の高い物件だ。
【画像1】アーティストの感性を刺激したいという想いから、建築デザインにもスタイリッシュさを取り入れている(画像提供/リブラン)

【画像1】アーティストの感性を刺激したいという想いから、建築デザインにもスタイリッシュさを取り入れている(画像提供/リブラン)


ミュージションシリーズの特徴について、ミュージション事業部の椎名晃子さんに話を聞いた。

「最大の特徴は、やはり遮音性です。一般的な賃貸マンションの場合、部屋と部屋の間にある壁芯(コンクリート)の厚みは約12cmですが、ミュージションは18cmから20cmです。加えて、壁の中にグラスウールを入れることで、音を吸音して隣の部屋に伝わらないようにしています。また、必要に応じて窓も二重サッシになっている物件もあり、外に音がほぼ漏れない仕様になっています。野方brioでは部屋を仕切る扉に音楽スタジオでも使われている音漏れを防ぐ密閉性の高いものを採用しており、密閉性が高いので音を廊下に漏らしにくい構造となっています」(椎名さん、以下同)

【画像2】グランドピアノやドラム、アンプなどを置けるゆとりあるリビングスペース(画像提供/リブラン)

【画像2】グランドピアノやドラム、アンプなどを置けるゆとりあるリビングスペース(画像提供/リブラン)

【画像3】二重サッシの間に約20cmの空気層をつくることで、外部と内部の音を相殺している。ちなみに環状道路が側を走っているため、外に出ると車の走行音が気になる立地だが、部屋に入るとほぼ聞こえない(写真撮影/末吉陽子)

【画像3】二重サッシの間に約20cmの空気層をつくることで、外部と内部の音を相殺している。ちなみに環状道路が側を走っているため、外に出ると車の走行音が気になる立地だが、部屋に入るとほぼ聞こえない(写真撮影/末吉陽子)

【画像4】壁と扉に隙間をつくらないグレモンロックで音を部屋に閉じ込める(写真撮影/末吉陽子)

【画像4】壁と扉に隙間をつくらないグレモンロックで音を部屋に閉じ込める(写真撮影/末吉陽子)

いずれも遮音性への徹底したこだわりを感じる。実際のところ、どれくらいの音をカットできるのだろう?

「野方brioに関しては、人の声と同じ程度の500Hz帯の周波数ですと、最大85db(デシベル)カットすることができます。普通の話し声が60dbほどですので、発声練習などで大きな声を出してもまったく漏れません。また、部屋のなかでトランペットなどの金管楽器を演奏しても隣室には響かず、ほぼ無音といっていいでしょう」

音に配慮し尽くした同物件だけあって、やはり音楽を趣味にしている人、仕事にしている人がたくさん集まってくるようだ。

「入居者は音大生の方、趣味で楽器をやっている社会人、演奏活動を仕事にしている方などです。一番多いのは趣味で演奏を楽しみたいという方ですね。楽器演奏をしない方でも、例えば音響にこだわっていて、大音量で音楽や映画を楽しみたいというニーズもあります。また、なかにはピアノ教室やギター教室を開催している方もいらっしゃいます。賃貸マンションかつ遮音性が高い物件となるとなかなかないので、低予算で教室をスタートされたい方にも喜んでいただけています」

また、遮音性だけでなく、ハイスペックな音響機器に対応できるよう200Vの電源を入れるといった配慮も。少しでも快適な音楽ライフを送ってもらうべく、入居者の意見を柔軟に反映させているようだ。

人気のひみつは音楽好きのニーズ+α

ちなみに、オーナーからの反響はどうなのだろう?

「空室が少なく、入居者にも長く住んでもらえるとのお声をいただいています。ミュージション以外にも何棟か賃貸住宅を経営されているオーナー様もいらっしゃるのですが、『ミュージションはいつも満室だよね』っておっしゃっていただけますね」
一般的なマンションよりも建築コストがかかるため、相場より家賃は2割程度高くなるが、それでも満室とはよほどニーズがあるのだろう。日常的に楽器演奏をする人にとってはスタジオ代を節約できるため、賃料が割安と感じる方も多いようだ。

「私も音大卒なので分かるのですが、音楽は日常生活と切っても切り離せないものです。たとえば、本番前に朝早くに家で最終確認をしてから出発することができたり、お勤めをしながら趣味の楽器を続けたりする場合どうしても音を出せるのは夜中しかない、という方もいらっしゃいます。作曲にしても演奏にしても、アーティストにとって24時間音楽に触れられる環境って、とても有難いものだと思うんです」

好きなときに楽器に触れ、好きなときに歌う。確かに、音楽に最も必要な感性を育むうえでは、重要なことなのかもしれない。

なお、同物件では入居者同士のつながりを後押しする取り組みも実施しているという。

「入居者さんから、『音楽家同士で情報交換がしたい』という声をいただいたことから、『ミュージションズクラブ』というコミュニティを展開しています。セッションパーティーやライブなどの音楽イベントだけでなく、仕事に役立つセミナーやバーベキューといった懇親会などのイベントを開催していて、700人近い会員とのつながりから新しい仕事が生まれています。
私を含め、ミュージションのスタッフは元プロのドラマーやオペラ歌手など、入居者さんと同じく音楽を愛している者ばかり。住まいのことに限らず、音楽活動の悩みにも耳を傾ける“相談窓口”の役割を担っているので、入居者さんとの信頼関係を何よりも大切にしています」

音楽生活を暮らしの面から支えるミュージション。“高い遮音性を誇る部屋“というハードの魅力だけにとどまらず、入居者同士をつなげるコミュニティも活発なことが、根強い人気と高い入居率の秘密なのかもしれない。

●取材協力
リブラン/ミュージション