デザインは企業や商品をイメージ付けるとても重要な役割を担っている。しかし、デザインを発注する側と発注を受けるデザイナー側では、両者の思いや目的、イメージやギャランティの認識の違いなどがあり、すり合わせをきちんと行なわないと、納品時の満足度に大きく関わってくる。

オリジナルの菓子の活用を軸に、企業の組織改革やトータルブランディングを手掛けるESSPRIDEは、企業のトータルブランディングの必要性を改めて考えるべく、ブランディングに必要なマーケティング情報の収集から人と企業の新たな可能性を探求することを目的として、ブランディングに関する調査活動を行なっているが、このほど、デザインを発注したことのある会社経営者・役員とデザイナーに対し『デザイナーとデザイン依頼主のすれ違いを埋めるコツ』をテーマにしたアンケート調査を行なった。

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自社のWEB・製品・パンフレット・広告物・ロゴなどのデザインの発注を行なったことのある中小企業の経営者100名に、企業活動におけるデザインの役割について質問。「企業や製品のイメージアップ」「企業や製品を強く印象づけること」が58.0%で同率1位という結果となった。会社の舵を取る経営者は、デザインは企業や製品のイメージアップや売上向上に直結する重要な役割だと感じていることがわかる。

『デザイナーとデザイン依頼主のすれ違いを埋めるコツ』をテーマにしたアンケート調査

■クライアントからデザイン依頼を受ける際に、困ることは?

デザイナー100名に、クライアントからデザインを受ける際に、困ることを聞いたところ、1位「望むデザインに対するイメージが不明確なこと」57.0%、2位「具体的にこうして欲しいという指示がないこと」42.0%という結果となった。多くのデザイナーが、依頼内容が不明確で具体的でないことに困っていることがわかる。

『デザイナーとデザイン依頼主のすれ違いを埋めるコツ』をテーマにしたアンケート調査

■デザイナーにデザインを依頼する際に、不満に思うことは?

次に経営者の人に、デザインを依頼する際、デザイナーに対して不満に思うことを聞いたところ、「依頼した内容以上の提案がない」54.0%が、「指示通りのデザインにならない」33.0%に21.0ポイント差をつけ1位となった。前問でデザイナーは「依頼内容が不明確で具体的でない」ことに不満を持っていることがわかったが、経営者は「依頼した内容以上の提案がない」ことを不満に思っているというすれ違いが起きていることが明らかになった。

『デザイナーとデザイン依頼主のすれ違いを埋めるコツ』をテーマにしたアンケート調査

■これまでにデザイン依頼を受けた中で不満に思った経験は?

デザイナー100名に、デザインを依頼された際に不満に思った経験を自由に回答してもらったところ、次のような答が返ってきた。

・コロコロと意思が変わりつかみどころがない指示しかくれないで、時間リミットギリギリまで結論が貰えなかった。結局は押し切る形で進めたが後味悪く…(67歳男性)
・制作費を理解してもらえない(44歳男性)
・実際にオリエンをし、リードをする担当者の指示と、その上司、または経営トップの指示や意向に整合性が取れていないことが原因で、ほぼ完成に近い段階でやり直さざるを得なくなることがある(55歳男性)
・価格認識の低さ(48歳男性)
・要望事項が何度も変更があり、それに伴う工数や費用、日程遅延が生ずる事への理解が無い(61歳男性)
・お任せと言われていたのにイメージが違うと変更させられたこと(63歳女性)
・顧客とのイメージギャップ(59歳男性)
・デザイン納品後に価格を下げる(68歳男性)
・当初の希望されているイメージが途中から大幅に変わってくること(54歳男性)
依頼主のミスで破棄になる商品を請求させてくれなかったこと(34歳男性)
当初の依頼内容を確認したにもかかわらず、納品後にクレームを出してきたり、支払いを拒むこと(51歳男性)

デザイン工数や費用についての両者の理解の違いや、依頼者の指示が具体的でないことから起こる作業途中からの指示変更などが不満の要因になっていることがわかる。依頼者は、できるだけ具体的なイメージを伝え、途中でイメージの変更がある場合はそれだけまた新たに時間がかかることを理解しなければならない。

■デザインを依頼されたいと思うのはどんな担当者?

デザインを依頼されるデザイナーの方に、デザインを依頼されたいと思うのはどのような担当者かを聞いたところ、1位「明確な指示を伝えてくれる」61.0%、2位「デザインの価値を理解している」45.0%となった。

『デザイナーとデザイン依頼主のすれ違いを埋めるコツ』をテーマにしたアンケート調査

■どのようなデザイナーにデザインを依頼したい?

経営者の方に、どのようなデザイナーにデザインを依頼したいと思うかを聞いたところ、1位「こちらが描くイメージを理解してくれる」63.0%、次いで「センスが良い」61.0%という結果となった。デザインの委託・受託の現場では、発注者である経営者はイメージをうまく伝えられないため、プロに理解して形にしてほしいと期待するが、受注するデザイナーはクライアントに明確な指示を出してほしいと考えるというジレンマが生じていることが明らかになった。

『デザイナーとデザイン依頼主のすれ違いを埋めるコツ』をテーマにしたアンケート調査

■デザインの意図や目的に対する効果性について説明できる、経営視点をもったデザイナーに依頼したい?

経営者の人に、意図や目的に対する効果性について説明できる、経営視点をもったデザイナーに依頼したいと思うか聞いたところ、85.0%の経営者が「はい」と答えた。

図表6


■フリーランスのデザイナーにデザインを依頼したことはある?

経営者の人に、フリーランスのデザイナーにデザインを依頼したことがあるかを聞いたところ、45.0%の経営者が「ある」と回答した。また、「ある」と回答した経営者にその理由を聞いたところ、「フットワークが良いから」「融通が利きやすいから」が44.4%で同率1位という結果となった。

図表7

図表8

■これまでにデザイン依頼を受けた中でよい仕事ができた、クライアントに喜んでもらえた経験は?

デザイナーに対し、これまでに良い仕事ができた、クライアントに喜んでもらえた経験を聞き、自由に回答してもらった。デザイナーは成果物の完成度だけでなく、それまでの過程を評価されたり、信用し任せてくれることに喜びを感じていることがわかる。

・出来栄えも大切ですが何を伝えられたかの評価を得た時の満足感(69歳男性)
・企画段階から参加でき、コンセプトの立案・確定をクライアントの担当者とも共同作業のうえで行い、それを経て実際のクリエイティブ作業に進めたときは、発注側・受注側ともに満足のいく制作となった(55歳男性)
・「ここまでやってもらえるとは思わなかった」など、クライアントの予想を上回る仕事をした(46歳男性)
・広告を制作して、その後売り上げに貢献できた時(38歳女性)
・お客様に良い提案やアドバイスができた点です(42歳男性)
・こちらのデザインが相手の好みと一致した時(68歳男性)
・出来たものを高く評価してくれて見積以外にボーナスまで出してくれた(67歳男性)
・その都度足を運んで良いものが出来た(39歳男性)
・徹底的にセッションをしていく中で、クライアント自体が曖昧になっていたことがクリアになり、そのセッション自体が喜ばれ、そのあとは、私のことを全面的に信頼してくれ、様々な別の依頼も頂いた(51歳男性)
・トップからお褒めの言葉を頂けた(40歳男性)
・制作2年の大作(57歳男性)
・テーマのみ提供され、自由にデザインできて、満足してもらったこと(58歳男性)
クライアントの要望を察して、要望にない部分を加味した(57歳女性)

■これまでにデザイナーとのやり取りで、感動した経験や良い仕事をしてくれたと感じた経験は?

経営者に対し、これまでデザイナーとのやり取りで、感動した経験や良い仕事をしてくれたと感じた経験について聞き、自由に回答してもらった。経営者は成果物の良さもさることながら、何度も質問をしてくれたり、足を運んでくれたり、企業研究してくれたりと、デザイン完成までの熱意も嬉しく感じていることがわかる。

・ビジュアルがインパクトがあり、お客様から好評であった(62歳男性)
・何度も質問して熱意を感じた(46歳男性)
・自分の要求を超えた成果を見せてくれた(68歳男性)
・説明のいらない表現力(62歳男性)
・学生であっても良いセンスを持っている人がいる(60歳女性)
・こちらが納得いくまでなんども通い詰めてくれたこと(40歳男性)
・複数の提案を貰った。金額以上の仕事をしてくれた(55歳男性)
・Web制作で、ホームページ全体のリニューアルを依頼したが、デザイン・機能面・操作性の良さなど、これまでのものを全部詰め込みながら整理されすっきりとしているデザインになった。今もベースとしてこのデザインを使っている(62歳男性)
・コミュニケーションがうまくとれて、意図した以上のものに仕上がったことがあった(50歳女性)
・こちらのイメージをちょっとした色合いの変更で実現させてくれた(56歳男性)
・当社の業種や、特徴をよく理解するためデザイナー自身が学んでくれたこと(72歳男性)
・素材と簡単な文章でイメージ以上に良かった(54歳男性)
・時間が経過して、何てことはないと思っていたことが良かったことがある(58歳男性)

■デザインがすぐれていると思うものは?

企業では、デザイナーの1位は「トヨタ」で7名という結果に。回答した理由は「機能的である」「ユニバーサルである」などが多くあがった。また、経営者の回答1位は「Apple」「電通」が6名で1位となった。「Apple」と回答した理由は「スタイリッシュである」「オリジナリティがある」、「電通」と回答した方は「ユニバーサルである」「オリジナリティがある」などの理由があがった。

『デザイナーとデザイン依頼主のすれ違いを埋めるコツ』をテーマにしたアンケート調査

商品については、デザイナー、経営者ともに、Mac製品が多くランキングに入った。

図表10

デザイナーについては、デザイナーでは様々な日本企業のロゴも制作している「佐藤可士和」が1位となった。また、経営者の回答はAppleの最高デザイン責任者である「ジョナサン・アイブ」が1位となった。

図表11

■デザイナーにデザインを依頼する際に、悩んだり困ったりすることは?

経営者の人に、デザインを依頼する際、悩んだり困ったりすることを聞いたところ、「価格が適正かどうかわからない」57.0%が1位という結果になり、2位「描いているイメージをうまく伝えられない」37.0%に20ポイント差をつけた。コストのかかり方がわかりにくい分、依頼をする側は価格に悩むようだ。

図表12

■デザイナーとして自身の課題だと感じていることは?

デザイナーに対し、自身の課題について聞いたところ、「価格交渉」39.0%が1位となった。前問では経営者はデザイン費用が適正かどうかわからないと回答している方が多く、デザイナーは価格交渉を苦手だと感じていることから、価格が下がりやすい要因になっているのかもしれない。価格を下げられてしまうことが多いデザイナーは、デザイン力はもちろんだが、依頼主の経営的な目的を理解しそれを踏まえた提案をすることが、価格交渉で値引かれずに交渉するカギになるかもしれない。

図表13

【調査方法】
調査方法:インターネット調査(FULA調べ)
調査対象者:これまでデザインの発注を行なったことのある中小企業(従業員数300名未満)の経営者・役員100名
これまで、企業のデザインの仕事に従事したことのある人100名
調査実施日:2016年4月8日(金)〜2016年4月11日(月)