■連載/阿部純子のトレンド探検隊

 エスニック文化や食の普及活動を行っている「日本エスニック協会」が予測した「この夏、絶対に流行するエスニック食ランキング」が、日本最大のサンプリングサイト「サンプル百貨店」が開催する「エスニック女子会」にて発表された。

この夏流行するエスニック食ランキング1位に輝いたのは、タイの絶品カレー「プーパッポンカリー」

 ランキングの発表では日本エスニック協会アンバサダーで、フードアナリストの伊能 すみ子さんが登壇。マレーシアやシンガポールの中華系移民の子孫であるプラナカン文化の民族衣装、クバヤとサロンのスタイルで登場した。

この夏流行するエスニック食ランキング1位に輝いたのは、タイの絶品カレー「プーパッポンカリー」

◆現在のエスニックブームをけん引するのはパクチー、マッサマンカレー、カオマンガイ

「エスニックブームは20年ほど前から始まり、何度かブームが起こっているが、現在のエスニックブームの立役者となったのはパクチー。週半分以上パクチーを食べる人も多い。料理ではなく食材そのものなのでいろいろなアレンジがあり広がりが生まれた。パクチーは腸内環境を整えてくれる食材でもあり、生でいただくのが一番良い。独特な臭いが嫌という人もいるが、慣れてしまうとクセになる。

 パクチーと同時にブームをけん引したのがマッサマンカレー。以前から流行っているがいまだに人気が高い。タイの南部はマレーシアに隣接していることから、ココナツミルクを使った甘めのテイストの料理が多いが、その代表がマッサマンカレー。北部のタイのカレーとは違い、郷土料理のためあまり食べられる機会がなかったが、ネットでランキング入りすることで話題となった。

この夏流行するエスニック食ランキング1位に輝いたのは、タイの絶品カレー「プーパッポンカリー」

 カオマンガイは、タイにある“ピンクのカオマンガイ”として知られる人気専門店「ガイトーン」が2014年に日本に上陸したことが大きい。カオマンガイはチキンエキスのスープで炊いたごはんに、蒸し鶏を添えたものでとても優しい味。それに大豆を原料にしたタオチオソースとチリやジンジャーなどを混ぜたソースをかけて食べる。専門店が起爆剤になって、今では炊飯器で手軽に作れる市販品も発売されている。

 そして女性から熱い視線を浴びているのがココナツオイル。私も今ではゴマ油やオリーブオイルからココナツオイルに切り替わった。甘いほのかな香りはするが、料理に影響するほどの強い香りや風味がないので、使いやすさという点でも便利。腸内環境を整えたり、美肌にもいいとも言われ女性の必需品になりつつある。ミランダ・カーのようなセレブが愛用していることでも有名。

 エスニックブームの背景には、LCCの普及で海外旅行者が増え、現地に行って実際に食べることでおいしさを知った人が増えたこと、カフェなどでもメニュー化され、専門店では定番料理以外のメニューも登場し幅が広がったこと、メーカーから関連商品が発売され、内食として身近に楽しめるようになったことなどが挙げられる」(伊能さん)

◆日本エスニック協会が予測する、この夏絶対に流行するエスニック食・ベスト3

1位・プーパッポンカリー(タイ)

この夏流行するエスニック食ランキング1位に輝いたのは、タイの絶品カレー「プーパッポンカリー」

 マッサマンカレー同様に日本人の舌に合う辛くない絶品カレー。バンコクのレストラン「ソンブーン」のオーナーが考案したと言われている。「プー」はカニ、「パッ」は炒める、「ポンカリー」はカレー粉の意味で、カニやソフトシェルクラブを、カレー粉、チリインオイルで味付けして炒め、牛乳と生卵を合わせたものを加えて火に通したもの。タイの中でも中華系タイ人が作っていることが多く、炒めた感じが前面に出たマイルドなカレー。

 中に入れるカニの種類もサワガニ、タラバガニなど店によってさまざまで、ソフトシェルクラブは殻ごと食べられるので食べやすい。カニの風味、エキスがしっかりと浸透しているので、ごはんとの相性も良い。試食も行われ、出席者から「おいしい」との声が数多く上がっていた。

この夏流行するエスニック食ランキング1位に輝いたのは、タイの絶品カレー「プーパッポンカリー」 この夏流行するエスニック食ランキング1位に輝いたのは、タイの絶品カレー「プーパッポンカリー」

【伊能さんおすすめのプーパッポンカリーの食べられるお店】
サイアム ヘリテイジ東京

「東京駅の目の前、新丸ビル6階にある人気の店。クリスマスのときはプロジェクションマッピングが良く見えるロケーションの良い場所。こちらではタラバガニのプーパッポンが食べられる。ただしタラバガニは殻から身を取るのが大変なので、デートだと無言になるかも」

2位・ラープ(タイ)

この夏流行するエスニック食ランキング1位に輝いたのは、タイの絶品カレー「プーパッポンカリー」

 前菜として食べられるラープは、豚肉、鶏肉、牛肉などをハーブ、唐辛子、ナンプラー、ライム、煎り米粉で合えたものに、野菜を添えたひき肉のサラダ。粉唐辛子がたっぷりと入ったスパイシーな味が特徴。肉の塊を包丁でつぶして細かくするため、店によって大きさや歯ごたえが変わる。もともとはタイ東北のイサーン地方の料理だが、現在ではバンコクの惣菜屋やレストランでも提供される定番料理になっている。

【伊能さんおすすめのラープの食べられるお店】
青山 ガパオ食堂

「ガパオ食堂はその名の通り、ガパオをメインで行く方が多いが、実はラープのお肉とガパオのお肉の刻み具合は同じもので、スタッフが絶妙な包丁加減を知っているということになる。ラープはビールとよく合うのでおつまみとしてもおすすめ」

3位・ナシレマ(マレーシア)

この夏流行するエスニック食ランキング1位に輝いたのは、タイの絶品カレー「プーパッポンカリー」

 同率で「ナシレマ」と「ソムタム」の2つがランキング。ナシレマはココナツミルクで炊いたごはんにピリ辛のサンバルソースと辛み調味料を混ぜて、ゆで卵、ピーナッツ、揚げた煮干し、きゅうりの4種類のおかずを添えたもの。マレーシアでは朝食として定番の料理だが、三角形のかわいらしい形で、おにぎりのように手軽なことから、昼食や夜食としても食べられている。駅前などでワゴン販売されていることも多い。サンバルソースは量を調整できるので、辛みが苦手な人はソースを少なめにするといい。

 近年マレーシアはグルメの国として世界でも認知度が上がっており、2014年の英国の旅行ガイド「ロンリープラネット」では、マレーシアのペナンが「世界の美食スポット第1位」に選ばれた。ナシレマも2015年のタイム誌で「世界のヘルシー朝食9位」にランクイン。また、ココナツオイルのブームもあり、ココナツミルクレシピの人気が急上昇したのも背景にあると考えられる。

【伊能さんおすすめのナシレマの食べられるお店】
マレーアジアンクイジーン

「渋谷と横浜にあるマレーアジアンクイジーン。マレーシアレストランでは一番人気のある店でスタッフ全員がマレーシア人。マレーシアもタイと同様、南北や島々など地域によって味が異なる。ナシレマはマレーシア全土の定番朝食メニューであり、マレーシア人も大好物で、同店ではシンプルながらこだわりのあるナシレマが食べられる」

3位・ソムタム(タイ)

この夏流行するエスニック食ランキング1位に輝いたのは、タイの絶品カレー「プーパッポンカリー」

 ソムタムはタイ東北地方の料理で青パパイヤのサラダ。未熟の状態のパパイヤを生で使う。石臼ににんにく、ナンプラー、ヤシ砂糖、唐辛子を入れてつぶし、千切りにした青パパイヤ、トマトなどを入れて和えたもの。少しえぐみはあるもののクセはなく、大根や玉ねぎのようなシャキシャキとした食感がある。酵素や植物繊維も豊富で、体の調子を整えるヘルシーな料理として知られる。

 ここ10年ほどでバンコクにもおしゃれなタイ東北地方のレストランが増え、バンコクの若者の間でも人気となり、日本の旅行者もバンコクで食べる機会が増えたことがランクインの一因と考えられる。

【伊能さんおすすめのソムタムの食べられるお店】
ジャスミンタイ

「六本木、四ツ谷など都内に7店舗構えるジャスミンタイはタイ料理の老舗レストラン。オーナーがタイ人女性で、きめ細やかな料理作りやスタッフの指導を行っている。甘み、酸味、辛みの三位一体がタイ料理の醍醐味だが、同店のソムタムは王道であり、三位一体のバランスが絶妙」

【AJの読み】タイ料理強し!

 ベスト3のうちタイ料理はすべてにランクイン。エスニック=タイ料理というイメージが日本人には強いようだ。伊能さんも「タイ料理は都内でもレストラン数が一番多く、身近な存在でもある。またメニューも豊富で、定番のものから、食べたことがない好奇心が湧くメニューもあるので、タイ料理がメインにランキングされたのは当然かもしれない」と話す。

 1位に輝いた「プーパッポンカリー」を試食してみた。ソフトシェルクラブを使ったタイプだったが、炒めものとカレーが合体したような印象で、グリーンカレーやレッドカレーといった従来のタイカレーとは異なる趣。辛みはあまりなく塩味をより感じる、ごはんに合うおかず系カレーといった感じ。日本人好みのカニの風味や、パリパリシャキシャキとした食感もたまらない。マッサマンカレーも好みだったが、プーパッポンカリーはさらにクセになりそうな予感。

 また、「エスニック女子会」では、手軽に食べられるエスニックとして、日清食品の「カップヌードル エスニックシリーズ」と、明治の「デイリーリッチ」シリーズの試食も行われた。

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 カップヌードルは、インドネシアで大人気の甘辛焼そば「ミーゴレン」が新製品として加わり、従来品の「トムヤムクンヌードル」と「シンガポール風ラクサ」についてはパクチーの工程部分を見直しリニューアル。試食では個性的な人気商品のエスニックヌードルを味わった。チルド食品の明治デイリーリッチからは、鶏肉と牛乳を加えるだけで完成する「チキンのエスニック風チキンカレー」が登場。日々の食卓に簡単に取り入れられるエスニックとして出席者からも好評を博していた。

文/阿部 純子

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