まるで変形ロボット!小さな金具と生物を融合させた作家のこだわり

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金属造形作家が作成する元の姿から別の形態に“変形する根付”がカッコイイと話題を呼んでいる。

卵からペンギンに変形する?

変形をテーマに彫金技法などを応用して作品を制作している金属造形作家の坪島 悠貴さん(@hau9000)。彼は自分自身の作品を“可変金物”と名付けているという。

坪島 悠貴

坪島 悠貴

こちらの“可変卵鳥”は卵からペンギンに変形していく作品。あっという間に形態が早変わりしていく様はまさに見事としかいいようがない。

今回は彼に、変形する根付作品を制作し始めたキッカケや変形のアイデア、作品の制作過程で難しい部分などに関して伺った。

実用性と自分のテイストを両立

――変形する根付作品を制作し始めたキッカケは?

初めて本格的な可変ものの制作に挑戦したのは、2014年に根付などを扱うギャラリー“花影抄/根津の根付屋”でのグループ展へ参加させて頂いたのがキッカケです。

坪島 悠貴

坪島 悠貴

「金工作家による根付展」というテーマだったので、当然根付を作らなければならなかったのです。

しかし、今までは造形メインの置物作品ばかり作っていたので、装身具として身に付けるには壊れやすいデザインのものしか作れなくて…。

坪島 悠貴

坪島 悠貴

そこで部品を可動式にして、頑丈な外殻へ収納できるようにしました。実用性と今までの自分のテイストを両立できるようになりましたね。

その時作ったのが“羽化”という作品で、最初の可変する金工作品です。

使用しても大丈夫なように工夫

――かっこよく変形するために気をつけていることや工夫していることは?

変形の前後で必ず、その形が“何かしらのモチーフに従ったもの”であるようにしています。

例えば、蛹(さなぎ)なら蛹らしい特徴をどこかに取り入れたり…。

坪島 悠貴

坪島 悠貴

生物ではなく手毬のような人工物でも、モチーフの特徴をどこかしらに取り入れるようにしていますね。

何だかわからないものになってしまうと、変形というより“ただ部品がゴチャゴチャ動いただけ”という感じがしてしまうんです。

坪島 悠貴

坪島 悠貴

また、部品はそれぞれ変形前後に角度の違いなどで別物に見えるよう形を工夫したりと。

毎回根付やペンダントなど、実際に使うかはともかく“使っても大丈夫”なように工夫して形を作成しています。

坪島 悠貴

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それこそがもともと可変ものを作る理由ですし、“変形する必然性”であると考えています。

生物の姿が別のものに見えてくる

――意外なものに変形する形態のアイデアはどこから?

変形前後のモチーフはわりと思いつきのことが多いです。

もともと生物などの姿を見ているときに、それが別のものに空目(そこに存在していないものを見たと認識してしまうこと)してしまうことがあって…。

そういうところから発想が広がることが多いですね。

例えば“金鶏”という作品は“魚から鳥へと変形”するのですが、これは“金魚の腹の側面”が“鳥の羽を閉じた形に似ていた”ことからアイデアを発展させていきました。

構造に無理がないかを探す

――制作過程でいちばん難しい部分は?

まずはアイディアから実際に設計図を描いてみて、構造的に無理がないかを探します。

坪島 悠貴

坪島 悠貴

(探していると)色々と問題が出てくるので、そういったところを1つ1つ解決しながら形を決めていきます。まずそこがいちばん難しい場面という気がしますね。

ここから先は作成する作品によって違います。

坪島 悠貴

坪島 悠貴

以前は全部手作業で制作していたため、平面的な設計図を描き、それを元に金属板を切ったり「打ち出し」という彫金技法で銅板を叩いて立体的な造形し、それらを組み合わせて1つの作品としていました。

最近では、大体の構造が決まったら“Fusion360”(オートデスク株式会社のCADソフト)でモデリングして、三次元的に設計します。

それを元に3Dプリンタを使用したり、手作業で作ったりと適材適所で使い分けて作成しています。

坪島 悠貴

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構造的な制約とデザインを両立させる

――特に気を使っているところは?

特に気を使うのは“設計の段階”ですね。

坪島 悠貴

坪島 悠貴

組み立てやすさや強度。それから、型取りやキャストが可能な形状か、可動部に干渉は出ないかなど。

そういった構造的な制約とデザインをどう両立するかといったことに気を使っています。

手作業と機械造形の融合がテーマ

――気に入っている作品を教えてください。どのようなテーマで作成しましたか?

“金鶏”という作品です。

坪島 悠貴

坪島 悠貴

この作品からCADでの設計を取り入れているのですが、手作業で作る部分も多く外殻はすべて“打ち出し”という技法で作成しています。

正確に形を作るのが難しい“打ち出し”でなるべく各部品が合うように作り、そこに変形機構を入れているので、かなり手間が掛かっただけに思い入れも強いですね。

坪島 悠貴

坪島 悠貴

CADや3Dプリンタを使うようになってからは、“手作業と機械造形の融合”というテーマが一貫してあり、この作品はそれをもっとも顕著に体現しています。

今後も随時制作過程をTwitterに投稿

――今後の活動に関して教えてください。

12月中旬頃、日本橋三越本店でグループ展「3人のたなごころ展」を予定しています。

現在は仕事しながら作品を制作をしているので、頻繁に展示会を開催できません。しかしコンスタントに制作は続けていて、Twitterなどで随時制作過程をアップしています。

それから、今制作中のものは、変形の代わりにちょっとしたギミックのある根付作品になる予定ですね。

装身具としても使用できるオブジェ

根付や装身具のような用途のあるものから変形し、オブジェとしても飾れるような作品を制作している坪島さん。

ギャラリー“花影抄/根津の根付屋”と“NANATASU GALLERY”では、実際に彼の作品を直接見ながら購入することができるという。

坪島 悠貴

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また、3Dプリンティング事業の株式会社アイジェットが運営するネットショップ“iJet 3D PRINT STORE”でも販売しているそう。

気になる価格だが、金鶏が40万円、卵鳥は15万円程度。色や素材によって多少変動はあるが、可変する作品は大体10万円から20万円程度の価格になるという。

作品は製造数が決まっているものが多く、残念ながらすでにすべて販売済みの作品もあるとのこと。

坪島 悠貴

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彼の作品が気になる方は、ぜひTwitterのアカウントをフォローしてみてはいかがだろうか。