治療方法も、近年は選択肢が広がっている。まず、血栓を作らないように予防的に長期に薬を飲み、前述の通り血液をサラサラにする抗血小板薬や抗凝固薬のいずれかを用いる。
 「抗凝固薬は2011年、半世紀ぶりにそれまで用いられていたワーファリンに変わりうる『ダビガトラン』(商品名=『プラザキサ』)などや、『アピキサバン』(商品名=『エリキュース』)という新薬も次々と承認されました。これらの新薬は唯一の抗凝固薬だったワーファリンと比べると脳出血の副作用が少なく、副薬量を決めるための採血も必要なくなるのです」(前出・専門医)
 しかし検査の結果、あまりにも頸動脈が狭い場合は、内膜をくりぬく手術である内膜剥離術を実施することもある。

 一過性脳虚血発作を引き起こす危険因子は、高血圧や高血糖、高脂血症に加え、たばこやストレス、運動不足などだ。
 専門家の一人は言う。
 「遺伝や加齢の要因もあるが、生活習慣を改めることで理論上は8割の一過性脳虚血発作や脳梗塞を予防できる。健康診断で自分の数値を知り、基準値を超えているなら、リスクが溜まっていることを自覚する必要があります」

 また、この病は、網膜や腎臓に糖尿病による合併症を引き起こした場合、失明や腎不全の原因になりやすい。 
 「健診などで“糖尿病の疑いがある”とされた人も、その後検査をしないでいると知らないうちに糖尿病になっていることがあるため、注意が必要です。糖尿病の治療は、食事、運動療法が基本ですが、薬物治療としては血糖を下げる血糖降下薬という飲み薬と、インスリンがほとんど分泌されない人や不足している人にはインスリン注射を打ちます」(前出・専門医)

 この糖尿病を含め、高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病の指摘を受けた人には、食事療法が欠かせない。
 「高血圧の人には減塩が効果的で、1日食塩摂取量6グラムを守るようにしましょう。カロリーや脂肪分を抑え、バランスのある食事を摂ることは、糖尿病や脂質異常症の改善、生活習慣病悪化の下地となる肥満の抑制にもなります。また、過度の飲酒は肝臓を悪くするだけでなく、脳卒中のリスクも高めます。1日の飲酒量は日本酒なら1合程度、ビールなら中瓶1本程度。そして“休肝日”を設けることも大切です」(同)

 さらに、運動療法の必要性について。適度な運動は生活習慣病を改善させ、脳卒中の予防につながるという。特に激しい運動をする必要はなく、1日30分のウオーキングで少し汗ばみ、息が弾む程度が目安。糖尿病の患者では、食後1〜2時間後に行うと食後血糖の上昇が抑えられ効果的という。
 自分や家族のためにも、日頃から心掛けよう。