旧日本軍の従軍慰安婦を描いた韓国映画「鬼郷」の日本上映が始まった。初日の舞台あいさつで趙廷来監督は「反日映画ではない」と強調した。資料写真。

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2016年7月23日、旧日本軍の従軍慰安婦を描いた韓国映画「鬼郷」の日本上映が21日から始まった。今年2月に公開された「鬼郷」は韓国で350万人以上を動員。初日の舞台あいさつで趙廷来(チョ・ジョンネ)監督は「『反日』目的ではない。戦争のない世界が来ることを願う気持ちで作った」などと語った。

この映画は、趙監督が脚本と製作も手掛けた。02年に「ナヌムの家」(慰安婦被害者の後援施設)のボランティア活動を通じて出会った旧日本軍慰安婦被害者の姜日出(カン・イルチュル)さんの実話を背景にした物語だ。1943年、訳も分からぬまま日本軍の手で連れていかれて家族の元を離れた14歳のジョンミンを中心にストーリーが展開する。

製作費は一般人を対象にクラウドファンディング形式で7万人余りから集めた12億ウォン(約1億1000万円)で賄われた。収益は「ナヌムの家」などに寄付される。

韓国では今年2月24日に初公開され、3月1日の「三一節」(独立運動記念日)には42万1635人の観客を動員、公開以来1日の最多観客記録を打ち立てた。累積観客数は、これまでに358万6535人に上る。日本上映に先立っては、米国や英国、カナダで公開された。

聯合ニュースなどによると、日本では東京を皮切りに13都市で、公民館や小劇場などを借りて「上映会」を開催する。日本語の字幕も用意された。上映会方式に関して聯合ニュースは「在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の関係者らを中心とした実行委員会が主催した」と伝えている。

日本上映は日本の配給会社ルートの正式な公開を目指してきたが、これは実現しなかった。上映を前に中央日報のインタビューに応じた趙監督は「(公開に踏み切った)最も大きい理由は、映画を見たがっている方々が依然として多いということだ。在日同胞だけでなく日本の方々からも『こちらに来て上映してくれないか』という要請を絶えず受けた」と説明した。

韓国メディアによると、21日の上映会場は東京都荒川区内のホテルに設けられた。会場は日本人や在日コリアンら約400人で埋め尽くされたという。舞台あいさつに立った趙監督は「『反日』を目的に映画を作ったわけでは決してない」と指摘。「映画が平和の道具になり、この映画を通じて戦争のない世の中が来ることを願う気持ちで作った」などと強調した。

昨年末の日韓合意に基づき日本が10億円を拠出する元慰安婦支援財団は27日、正式発足する。名称は「和解・癒やし財団」。その一方で、ソウルの日本大使館前の少女像は手つかずのままだ。「鬼郷」にも登場する「連れ去り」をめぐっても、日本国内からは「強制性」を疑問視する声が上がっている。(編集/日向)