マレーシアとシンガポール両国を結ぶ国際高速鉄道に受注をめぐって、日中両国がしのぎを削っている。インドネシアで中国に競り負けた日本にとっては雪辱戦でもある。写真は中国の高速鉄道。

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2016年7月23日、マレーシアの首都クアラルンプールと隣国シンガポールを結ぶ国際高速鉄道計画の受注をめぐり、日本と中国が火花を散らしている。日本はインドネシアの高速鉄道の受注争いで中国に競り負けた。雪辱を期す日本は石井啓一国土交通相が21日から現地入りし、新幹線システムの売り込みに全力を挙げている。

マレーシアとシンガポール両政府は19日、両国を結ぶ国際高速鉄道の実現に向け、覚書に調印した。現行鉄道で6時間以上かかる総延長約350キロを90分で結ぶ計画で、2026年ごろの運行開始を目指している。総事業費は最大650億リンギ(約1兆7千億円)と見込まれ、路線の大半が自国内にあるマレーシアが計画の主導権を握るとみられる。

日本メディアによると、計画では車両や信号、線路の敷設と管理を担う事業、首都間をノンストップで結ぶ「エクスプレス」と国境を越えて頻繁に往来する「シャトル」を運営する事業、マレーシア国内で各駅に止まる「国内列車」を運営する事業の三つに分け、それぞれ国際入札を実施する。

日本はJR東日本、住友商事、三菱重工業などが連携して受注獲得に挑んでいる。今年4月末には、クアラルンプールで「新幹線シンポジウム」を開催。「開業以来、乗客の死亡事故はゼロ」などと新幹線の安全性をアピールした。

現地を訪れた石井国交相は21日にマレーシアで、22日にシンガポールで担当閣僚らと会談。「官民一体となった資金提供、人材育成、駅周辺の整備など、高速鉄道建設に最大限の支援を行っていきたい」と伝えた。シンガポールで記者会見した同相は、国際入札について「日本が勝てる可能性は十分高い」と述べた。

石井国交相は昨年11月にもマレーシアを訪問して関係者と会談。新幹線の安全性に加え、技術の優位性、国際協力銀行(JBIC)などを通じた資金面での支援について説明している。破格の好条件を示した中国勢に敗れたインドネシアでの受注合戦を教訓に、日本は働きかけを一層強めている

これに対し、中国にとってマレーシア・シンガポール間の高速鉄道は、習近平(シー・ジンピン)国家主席が唱える現代版シルクロード構想「一帯一路」の一環としても位置付けられる。日本には負けられない戦いで、5月下旬には中国鉄路総公司の盛光祖(ション・グアンズー)総経理を代表とする訪問団が現地を訪れ、中国の鉄道技術や建設スピードの速さなどPRした。

日中両国の受注競争について環球時報は20日、中国の鉄道専門家の「中国には数多くの強みがある」との見方を紹介。「中国と世界各国の高速鉄道技術には互換性があり、我々の技術は全面的だ。また、中国は海洋国家であると同時に大陸に位置する国でもある。将来的なネットワーク効果が期待できる」などと自信をのぞかせている。(編集/日向)