■連載/ヨシムラヒロムの勝手に宣伝部長

「今年の夏は暑いらしい」

6月からお袋が毎度口にしていたフレーズである。実際問題、2016年の夏は暑いらしく、確かに事務所のクーラーは、6月下旬から稼働中している。そんな暑い日々で、食べたくなるのが冷たいもの。街の中華料理店の店先で揺れる「冷やし中華はじめました」の旗を見ると、居ても立っても居られない。

冷やし中華と云えば、最近読んだ『タモリと戦後ニッポン』という新書に面白いことが書かれていたので、ひとつ。

「冷やし中華」味のポテトチップス、果たしてその再現度は?

1975年1月、タモリと親交のあったジャズミュージシャン山下洋輔が蕎麦屋で飲んでいた。急に冷やし中華が食べたくなり注文したところ「冬場なのでやってない」とのこと。「どうして冬に冷やし中華を食べてはいかんのだ」と怒りを抱いた山下は、こうした状況と戦うべく

『全日本冷やし中華愛好会(通称:全冷中)』を結成。タモリ、赤塚不二夫も会員となり、冷やし中華の解放に動き始める。そのブームは加速し、77年にはよみうりホールで「冷し中華祭り」という大きなイベントも開催。1つの議題を、センスの良い人達がいじくりまわす。良き時代の洒落た遊びである。

今回勝手に宣伝しようと思っている菓子も「冷やし中華」をテーマに遊んだものだ。『ポテトチップス 冷やし中華はじめました味』である。

「冷やし中華」味のポテトチップス、果たしてその再現度は?

昨年12月、本連載でナムコとカルビーが共同開発した『ポテトチップス コーラ味』を勝手に宣伝。ナムコ系のゲームセンターの景品でのみ、味わえるレアなポテチだ。正直、激マズな味を想像したが、さすがはカルビー。コーラとポテトの適度な具合のミックス感、しかも炭酸のシュワシュワもある。一般発売しないことが惜しいと思える仕上がりであった。『ポテトチップス 冷やし中華はじめました味』も上記と同じ、ナムコとカルビーが共同開発の限定品。

『ポテトチップス 冷やし中華はじめました味』パッケージのデザインが素晴らしい。夏の海を喚起させる水色のパッケージに、どかんと大きな冷やし中華の写真。ポテチのパッケージに冷やし中華が印刷されていることに、まずグっとくる。

「冷やし中華」味のポテトチップス、果たしてその再現度は?

食べてみる。見た目は普通のポテチと変化はないが、匂いはもう冷やし中華。独特の甘い酢の香りが鼻腔をくすぐる。その冷やし中華の再現度の高さはパなく、目をつぶって匂いを嗅げば、目の前に本物があると勘違いするだろう。

肝心の味も香り同様に再現度が高い。口に入れると、甘い酢醤油のかけ汁の味がまずくる。第二陣は紅しょうがの味。バリバリと噛むとポテト本来の旨味に戻っていく。重箱の隅をつつけば、麺、卵、叉焼の味がしないと書けるが、概ね満足できる味だと思う。コーラ味に比べてインパクトは少ないが、冷やし中華好きは食べて後悔はしないだろう。ただ、クレーンゲームでしかゲットできないので、そこがじれったいが・・・。

「冷やし中華」味のポテトチップス、果たしてその再現度は?

このシリーズを食べると、相反する2つのものを掛け合わせて絶妙な味を作り出すカルビーの開発力の高さを思い知る。前回のコーラ味が好評だったのでシリーズ化の運びとなったか、元々契約があったのかは分からないが、長続きして欲しいシリーズ、今後も期待大だ。

「ポテトチップス 冷やし中華はじめました味」僕ならどう宣伝するか? 

勝手な想像ではあるが、ナムコとカルビーの担当者は次回の味に悩んでいると思う。次の限定ポテトチの発表を秋と仮定し、新しい味を考えてみました。

1、秋の季節の変わり目。風邪をひく人が多いので、ポテトチップス龍角散味。
2、これはベタだが、秋の味覚サンマ味も食べてみたい。
3、攻めるならば概念を味にしたら面白い、秋の芸術味ポテトチップスも良い。

上記、3点。参考にしてください!!

文・イラスト/ヨシムラヒロム

武藏野美術大学在学中に泰葉「お陽様よほほえんで」のCDジャケットイラストでイラストレーターとしてデビュー。その後、雑誌やウェブ等でイラスト、執筆、デザインを行なう。

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