堅実女子のお悩みに、弁護士・柳原桑子先生が答える本連載。今回の相談主は佐恵子さん(32歳・派遣社員)です。

「1年前に結婚した夫がいるのですが、今は大嫌いなんです。叔母に紹介されて、トントン拍子に話が進んで入籍しました。安定した企業に勤務しているし、顔も悪くないし、そこそこオシャレなのですが、生活を共にしていくうちに根本的な部分が合わないと気づいたんです。

例えば、外食に行ったときに、私が食べ残したラーメンのスープを狙って飲むとか、家ではカレーを食べた後のお皿を舐めるとか、ホントに意地汚いんです。お店の人などに横柄な態度をとるのも許せません。朝は洗面台で盛大に顔を洗い、そこらじゅうをびしゃびしゃにしても拭かないし、お風呂で小用を足すらしく、バスルームが変なニオイになっているなど本気でキモくて……。付き合う期間が短かったから見えてこなかったけれど、生活するうちにどんどん嫌いになっていきました。一緒に住めば慣れて愛せるだろうと思ったのですが、気持ち悪さが増す一方。先日、夫が研いだ米で炊いたご飯をうっかり食べてしまい、吐きました。それくらい夫が大嫌いなんです。今では寝室も別だし、夫と家で合わないように出勤時間を早めるなど工夫をしています。

しかし、夫は私が好きらしく、嫌いになればなるほど、プレゼントを買って来たり、旅行を計画したり喜ばせようとしたりいろんなことをしてくれます。でも、結婚1年が経過し、どうしても無理だなと思う一方。家庭内別居も半年が経過し、離婚したいことを告げたら、「どうしてもいやだ」と言われました。

夫は私が好きということもありますが、超ドメスティックなコンサバ企業に勤務しているので、離婚が出世に響く可能性があるのを心配しているようでした。

それなら実力行使をしようと、高校の同級生と不倫をしたのですが、そのことを告げても夫は離婚をしないと言います。夫に離婚を受け入れてもらえるにはどうしたらいいのでしょうか」

弁護士・柳原桑子先生の回答は……!?

夫とどうしても離婚したい佐恵子さんへの、柳原桑子先生のアンサーは以下。

不倫は、不倫をされた側……つまり、あなたのケースだと、相手配偶者(夫)からの離婚理由になります。
しかし、あなたの場合、相手配偶者(夫)が離婚したくないと言い、不倫した者(相談者・佐恵子さん)が離婚を望んだなら、相手配偶者(夫)は、離婚を法的に拒否できるのです。それは、自ら離婚理由をつくり、離婚なんて虫が良すぎるからです。
相手配偶者(夫)が、意地でも離婚しないという考えなら、あなたの不倫により、さらに離婚しにくくなったといえるでしょう。
夫に特に離婚理由が見当たらないといって、夫に無理に嫌われようとするのは、自ら法的に離婚しずらい状態を作ることになる可能性があります。
どうしても離婚したいなら、慰謝料など金銭的な条件を提示してみたり、別居をして距離をおいてみてはどうでしょうか。

夫がキッチンに立つと、気持ち悪くなり、自室の簡易ケトルで沸かしたお湯で、お茶漬けやカップ麺を食べ続け体調も悪くなっているとか。



■賢人のまとめ
夫側に慰謝料を払うとか、別居をするとか、条件面を整えて離婚への計画を立てたほうがベター

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/