「医療過誤」から身を守る7つの鉄則

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医療ミス、費用の過大請求……事故を防ぐには、病院&ドクター選びが重要。チェックリストで自分と家族を守ろう!

■「大学教授だから腕がいい」は、根拠なし

多くの医者は偏差値エリート意識が高いため、「自分たちに間違いはない」と思いがち。医療事故が起こった際には、つじつま合わせをする傾向にあります。明らかに病院(医者)側のミスであっても絶対に認めず、正当性を主張する医者も。その心ない仕打ちが被害者側を何度も傷つけていると、彼らは決して気づくことはありません。私の息子も医療過誤の被害者。データ取得のためか、常識はずれの不要な検査により引き起こされた被害です。その経験もあり、世間と医者の常識のズレを痛感しているのです。

大学病院や大学教授の肩書を持つ医者なら問題ないというわけではありません。日本人は個々の医者の実力よりも「肩書とブランド」に信用を置く傾向がありますが、とくに手術が伴う治療では、大学病院だから、一流医大の教授だからと「安心」してはいけない。「手術を」と告げられたなら、最低3人以上の専門医の意見を仰ぎ、やらなくてもいいという医者が1人でもいたら、手術はやめたほうが賢明。大学教授だから見立てがいい、腕がいいという根拠はありません。むしろ、年に数回しか執刀しない大学教授では、医療死亡事故を起こす確率も高い。たとえ新設医大出身でも、年数百例もの外科手術を成功させている医者のほうが安心して任せられる「名医」であるのは間違いない。ただし、名医にも「旬」があります。経験豊富でも年齢とともに腕が鈍ったり、判断力が低下したりすれば、第一線に立てなくなるのは当たり前です。

危ない病院や医者に遭遇しないための第一歩は、肩書や大学名などのブランド信仰を捨て、「医者に失礼だから」と、言いなりの患者であることをやめること。常に目を光らせ、医者を育てるような「賢い患者」になることにあります。

▼医療過誤から身を守る7つの鉄則

何かあってからでは遅すぎる! 手術や治療に入る前に、自己防衛の準備をしておこう

[1]手術を勧められたら必ず“セカンドオピニオン”――大きな「手術」の際には、必ず他院でも検査を受けるのが鉄則。聞き慣れない病名の手術ならなおさらだ。医者が替われば見立ても変わる可能性がある。セカンド、サードとできるだけ多くの専門家の意見を聞き、さまざまな角度から検討して、最善の病院や医者を選択しよう。

[2]病院のWEBサイトを要チェック!――担当医の名前、プロフィール、これまで扱った症例数など細かくチェック! 手術設備のある病院は必ずWEBを開設している。病院の伝統や高慢な理念、設備自慢ばかりで、肝心の医者の技量、患者がほしい情報が乏しいのでは、ホスピタリティに問題ありで要注意だ。

[3]“思考停止”のはじまりは、「この医者(病院)なら大丈夫」と決めた瞬間から――日本には、約30万人もの医者と、約9000軒の病院が。なのに「この医者(病院)なら、絶対大丈夫!」と決める理由は何か? ある時点で名医でも、ずっとそうとは限らない。病院側の説明を盲信せず、常によりよい医療を求めるよう不断の努力をすることが、医療ミス回避のカギ。

[4]治療に不信や疑念を感じたら速やかに検査データを請求――患者には自分の治療法を知る権利がある。不信に思ったら検査データをもらおう。検査データは患者に帰属する重要な個人情報で、病院側には開示義務がある。また、セカンドオピニオンの際にも検査データは必要。患者の請求にいい顔をしない医者や病院なら、即サヨナラだ!

[5]認定医や専門医などの“肩書”に惑わされない――「“学会認定医”“学会専門医”だから安心」は間違い。日本では、専門は自己申告制で認定されるため、肩書は有名無実で意味がない。心臓血管外科の専門医は日本に約1800人いるが、手術数をこなしているのは、わずか100人程度。専門医は「玉石混淆」だと知っておこう。

[6]医者には「神の手」もいれば「紙の手」もいると、肝に銘じる――「神の手」を持つ名医は年数百例の手術をこなし成功率も高い。一方、論文ばかり書く「紙の手」の大学教授医師も。こういう名前だけの外科医=「紙の手」の医者が、たまに体面を保つために手術をして失敗するケース多数。大学教授だから「上手、見立てがいい」は、根拠なし!

[7]治療方針など、医者の説明は必ずメモするクセづけを――ミスが起こると嘘をつく医者も少なくない。が、とっさの嘘には矛盾が生じやすい。ミスの隠蔽を阻止するには、手術に限らず日頃から医者の説明をメモするクセをつけることが重要。メモする患者を前に医者は緊張し、その場しのぎのごまかしや言い訳ができなくなる効果が!

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医師、ジャーナリスト 富家 孝
16代続く医者の家系に生まれる。1972年、東京慈恵会医科大学卒業。開業医、病院経営、助教授等を経て、医療コンサルタントに。現在、医師紹介会社「イー・ドクター」代表取締役の傍ら、新日本プロレス・コミッションドクターなども務める。『生命がけの医者選び』(講談社)、『医者しか知らない危険な話』(文芸春秋社)など60冊以上の著書がある。

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(戍亥真美=構成)