マレーシアとシンガポールの両政府はこのほど、両国を結ぶ高速鉄道建設に関する覚書に調印した。中国を中心とした経済圏を確立する「一帯一路」構想の次元に向け、何が何でも受注につなげたい中国にとって、新幹線を擁する日本は強力なライバルだ。(イメージ写真提供:(C)Xie Fei/123RF.COM)

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 マレーシアとシンガポールの両政府はこのほど、両国を結ぶ高速鉄道建設に関する覚書に調印した。中国を中心とした経済圏を確立する「一帯一路」構想の次元に向け、何が何でも受注につなげたい中国にとって、新幹線を擁する日本は強力なライバルだ。

 中国メディアの和訊網はこのほど、「日中の高速鉄道による腕相撲はどちらが勝つか?」と題して、中国が受注する可能性について分析する記事を掲載した。

 このプロジェクトは、マレーシアのクアラルンプールとシンガポール間の約350キロメートルを高速鉄道で結ぶという計画で、移動時間は現在の5時間から1時間半に短縮される。日本を含め各国が入札の意向を示していると言われるが、なかでも日中間では激しい競争になることが予想されている。その理由について記事は、今回の受注競争は製品や市場競争のみならず、その背後に「政治的な影響力をかけた競争」があるためだと分析した。

 一方で、同計画については中国が受注する可能性が高いと主張。その理由として「マレーシアにしてもシンガポールにしても中国と歴史的に良好な関係にある」ことを挙げた。マレーシアでは中国系不動産企業がクアラルンプールに巨額の投資をしており、中国中鉄もMRT(都市交通)の一部を受注していると指摘。さらにシンガポールは多くの華僑・華人がいる国であるため親近感があり、シンガポール政府系投資ファンドのテマセク・ホールディングスは中国へ多くの投資をしており、経済的にも親密な結びつきがあると論じた。

 そのため記事は、地政学的にも人情の観点からも、そして経済的な利益からしても、中国を選択することはマレーシアとシンガポールにとってベストであると主張。そして最後に、「東南アジアでの日中による高速鉄道の市場獲得競争の第1戦目は中国の勝利だったが、今回も日本は同じ轍を踏むのだろうか?」と余裕を見せた。だが、そのインドネシア・ジャワ島の高速鉄道も問題は山積で、インドネシア政府はジャワ島を横断する鉄道の建設を日本に要請するという報道もある。記事が主張するほど中国の優位性は高くないと考えるのが普通だろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)Xie Fei/123RF.COM)