ひとつの部屋を「マルチ」に使うのがポイント

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 部屋の中は趣味のインテリアやお気に入りの雑貨でいっぱい。自分が好きなものに囲まれて暮らしているはずなのに、なんだか落ち着かない……なんて人、意外に多いのでは? 「断捨離」や「ミニマリスト」といった言葉が定着したのも、過剰にモノを持ちすぎることに疲れてしまった証拠なのかもしれない。

「ミニマリスト」が注目される数年前に、「断捨離」が2010年のユーキャン新語・流行語対象にノミネートされている。日本のみならず海外でもベストセラーとなった、“こんまり”こと近藤麻理恵さんの『人生がときめく片付けの魔法』(サンマーク出版)が発売されたのも2010年のことだ。こんまり流片付けの術の肝は、「ときめくかときめかないか」。自分のこころがときめきポジティブになるものはキープし、そうでないものは処分する。断捨離と同じく「捨てること」にフォーカスした内容だ。

 一方、「ミニマリスト」が広く知られるようになったのはそれから数年後。「モノへの執着から離れる」といった意味では断捨離と似ているが、「ミニマム(=最小限)」という言葉から派生したミニマリストは、文字通り必要最小限のものしか持たない人のことを指すという。

 でも、どこまでモノを持たなければ「最小限」? ミニマリストの基準って? どうやら、「最小限」の定義は人によって違うためミニマリストの形もさまざまな様子。今回紹介する『無印良品とはじめるミニマリスト生活』(KADOKAWA/やまぐちせいこ)の著者もミニマリストを極めた達人だ。“やまぐち流ミニマリスト”の特徴は、家族と暮らしている人でも実践できるとういうこと。むしろ「家族、子どもがいる人にこそ、オススメのライフスタイル」だという。

■モノを捨て続けた結果「無印良品」が最後に残った

 夫の転勤で引っ越しをする度に大量にモノを捨てていった、というやまぐちさん。気がついたら最後に残った家具や雑貨が「無印良品」だったそうだ。シンプルで機能的、だけどダサくない。そんな無印良品は「どの部屋にもなじむ」「子どもの成長など環境の変化にも対応できる」「家族と共有できる」などメリットが多い。ミニマリスト生活では、ものを減らすことはもちろん「何を長く使うか」といった視点も重要。その点、無印良品はいろいろな生活パターンに対応できるので、余分な家具などを買い足す必要もなくミニマリストとは相性抜群だという。

■「あれはあそこに入っている」の把握だけでOK

 では、無印良品を中心としたやまぐちさんのミニマリスト生活とはどのようなものだろう? そのコツのひとつが、「収納の仕方」だ。それは、どの収納スペースにも「4割の余白を作ること」。4割の空きスペースがあれば、急きょモノが増えた時でも余白部分に一時的に避難させることができ、いつでもスッキリとした部屋を保つことができる。こうした収納スペースは常に扉を締めるなどして目隠しをし、逆に扉の中は、少しくらい散らかっていてもOK。「表向きキレイ」よりも「管理」が重要なので、「わかりやすく」しておくことがポイント。モノの定位置を厳密に決めなくとも、「あれはあそこに入っている」と把握できれば、次に取り出す時もすぐに見つけられるので、片付けが苦手な人でも実践できる。

■捨てるか迷ったら「4割の余白」に入れる

 「4割の余白」を作るために、必然的にモノを減らすようになる。それがミニマリスト生活には一役買っているわけだが、いくらスペースを作りたいからといって勢い余って衝動的に何でも処分するのは避けるべき。もし捨てようかどうか迷ったら、一度、「4割の余白」に入れておくなどしてクーリングオフをすることが大切だという。時間をおいてそれでも必要ないと思うなら手放す。そこが捨てることに重点をおく断捨離と、やまぐち流ミニマリストとの違いでもある。

■食料品はその日使い切る分だけ買う

 また、主婦なら気になる「キッチン」にも余白の法則が活きている。キッチンの作業台、コンロ、食器棚の上も他の部屋と同じく出しっぱなしは禁止(調味料も置いちゃダメ!)。そうすることで掃除もしやすくなり、狭い台所も広く見せることができるという。モノを置かないという点では冷蔵庫も同じ。なんと、やまぐち流のルールは「食料品はその日使い切る分だけ買う」ということ。食品類は週末のセールで大量に買ってストックしておきたいところだが、そのせいで知らず知らずのうちに冷蔵庫のいたるところに賞味期限切れの食品が……なんてことはないだろうか。その点、買った食料品をその日中に消費してしまえば、常に新鮮な料理を口にすることができるし、おすそ分けをもらってもスペースに困ることはない。なにより、「ずっと冷蔵庫の中にあるあの食材、どう消費しよう?」と、悩むことがなくなるのが利点だ。

■パッケージは剥がして使う! 洗濯物は「白モノ」「色モノ」に分ける!

 そして、キッチンと同じく気を抜くと生活感が出てしまうのが「水回り」。だが、モノが少ないミニマリスト生活なら、水回りでも「清潔さ」と「おしゃれ」を両立させることができる。さらにやまぐち流ミニマリストでは、マウスウォッシュや洗剤などはパッケージを剥がして使うのがコツ。ゴチャゴチャしたパッケージがないだけで、水回りに統一感が生まれ、スッキリするという。

 また、ランドリールームにある洗濯物は白モノと色モノを分けて置いておくのもポイントだ。洗濯物入れをふたつ置いておけば、家族が分別して入れてくれるので、お母さんが後から分ける手間も省けるという。著者は無印のステンレスワイヤーバスケットを2個使い。スッキリしたデザインなので置いておくだけで様になる。

 他にも、「バッグの中身は5つだけ」、「服の色や種類を減らしてミニマム化」など子どもがいるお母さんでもすぐに実践できるものも多い。「母親の都合で家族までミニマリストにされたら可哀想!」なんて思うかもしれないが、やまぐちさんいわく、ミニマリスト生活で所有物を少なくなれば、子どもたちがモノの取り合をすることもなくなるため「『家族のケンカ』が減る」とのこと。さらには、モノが少ないおかげで「家事の手間が減る」「出費が減る」、着替えひとつをとっても多くの選択肢から選ぶ必要がないので「迷いが減る」、迷いが減れば「自由な時間が増える」などなど、メリットは様々。

 “買い物”が嫌いという人は少ないだろう。でも、買って捨ててを繰り返すことには一種の虚しさがある。長く使えるモノを最小限だけもつ、という暮らしを続ければそうしたモノ疲れから開放されるかもしれない。

【関連書籍紹介】

 一方、ミニマリストのかたちは10人いれば、10通り。様々な本の中から自分のライフスタイルにあった方法を取りいれてみてはいかがだろうか。

■1週間で8割捨てる技術

筆子/KADOKAWA

 有名ブロガーでカナダ在住の節約ミニマリスト、筆子氏初の著書。どうしたら上手くモノを手放すことができるのか、30年間試行錯誤してきた筆子氏のミニマリストの極意は知っておいて損はなし!「ガラクタが集まりやすい“プライムゾーン”から手をつける」といった具体的なコツから、「15分間タイマーをかけて捨てることに集中する」「30日間食料品以外のモノは買わない」などの強行突破的なものまで、実践的な内容が盛りだくさん。どうしてモノを捨てられないのか? そのマインドを変えていく方法から指南してくれる。実践したら、タイトル通り「1週間で8割捨てる」ことができるかも!?

■服を減らせば、おしゃれになる

おふみ/KADOKAWA

 オシャレに見られたい…。それは多くの女性が思うこと。だが、毎日違うコーディネートをしようとして安い服を大量に買い込み溜め込んだ挙句、クローゼットの中は微妙な服でいっぱい、なんてことはないだろうか? 多くの人は着回すためにたくさん服を買うが、本書はその逆張りの方法でオシャレに見せる方法を伝授! クローゼットに入れるのは好きな服だけ。そして、季節ごとに「これを着れば安心」というコーディネートをつくっておけば着る服に悩まなくてすむ上に、自分に合ったオシャレができるという。服への愛情が溢れる丁寧なイラスト入りで、見ているだけでも楽しい一冊。ミニマリストの指南書というだけでなく、毎日の着回しに困っている人にとってはコーディネートの勉強にも◎

■ダメな自分を認めたら、部屋がキレイになりました

わたなべぽん/KADOKAWA

 断捨離? ミニマリスト? それ以前に汚部屋の住人なんですけど! なんて人にオススメしたいのが、わたなべぽん氏のコミックエッセイ、『ダメな自分を認めたら、部屋がキレイになりました』。生まれてこのかた、ホコリまみれの部屋に住み続けていたというわたなべ氏。整頓しようとするものの、自分の家は「使ってないのに、持っているだけでなんとなく安心」なモノであふれていることに気がつく。片付けようとしても、上手く行かず失敗、それでも思い切って捨てることを続けていくうちに、モノを捨てられない自分自身の心と向き合うようになる著者。

 本書では、そんなわたなべ氏の片付け奮闘記が詳細に描かれている。モノを捨てられないのはそれなりの理由がある。「自分の自信の無さをモノで埋めようとしているだけ」といった一文に、ドキッとさせられる人は多いだろう。

文=松原麻依(清談社)