北海道帯広市でしか見られない「ばんえい競馬」をご存知でしょうか。一般的な競馬とは異なり、農耕馬が騎手を乗せたそりを引きながら力と速さを競い合うもので、コースには坂もあるためレースは二転三転が当たり前。そんな、今ふたたび人気を集めている、ばんえい競馬の魅力を、無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』で嶌さんが余すところなく伝えています。

よみがえってきた「ばんえい競馬」

一時は消滅かといわれた「ばんえい競馬」が再び人気を盛り返しているという。妻と娘も北海道へ行くとしょっちゅう立ち寄るようだ。

ばんえい競馬は、カッコヨク走るサラブレッドの競馬レースとはまったく違い、足の太いずんぐりした巨大な農耕馬が700キロ近い鉄そりを引き、200mの直線コースで着順を競う。約10頭の「ばん馬」が馬の後の鉄そりに乗った騎手の手綱さばきとムチを入れたり、休んで息を整えさせたりしながらゴールに向かうのだ。

約700キロの鉄そりをつけているからサラブレッドのようにスイスイと走るわけにはいかない。しかも200mの直線コースとはいえ、途中に坂があったりするから、その坂を勢いで一気に上れるかどうかが、馬の体力と騎手の技術なのだ。応援していた馬が勢いよく走り出してヨシッ、ヨシッと興奮してみていると、坂の途中で急停止して休んでしまいその間に他の馬に抜かれることはしょっちゅうだ。

箱根マラソンのようにあっという間に通り過ぎることはなく、200mを声をからして伴走するファンも多い。まさに人馬一体となって興奮できるのだ。坂の途中で一休みしたばん馬が動き出して下り坂で一気に前の馬を抜くこともあるし、ずっとトップで走りながらゴール直前でくたびれはてたのか、止まってしまう馬もある。

ダービーやオークスのように何万人という観衆が双眼鏡片手に応援馬を見つめている光景とはまるで違い、コース脇で走りながら声をからして応援するからきわめて人と馬の一体感を肌で感じられるのだ。

もちろん馬券も売っている。今はインターネットで馬券を買えるようになり、2015年度の馬券売上げは146億円、入場者数も28万人と帯広では最高を更新したという。

ばんえい競馬は1946年に公営ギャンブルとして始まり、旭川や北見、岩見沢で開かれて、北海道を訪れる観光客には隠れファンも多かった。しかし中央の競馬ブームに押され、人気が落ち、40億円の赤字を抱え07年度からは帯広市だけの単独開催になっていた。ところが13年度から黒字に転じ、馬主、騎手、生産者への報奨金もふやし、蘇ってきたのだ。最近は引退したばん馬が親子を馬車に乗せたり、近くの農場の新鮮野菜を販売し、お茶やスイーツを楽しめる飲食店もある。むろん予想紙も売っている。

今やインターネット、ビッグデータなどの時代となる中で、人馬が汗をかき、700キロもの鉄そりを引いて競争する原始的な見せものだ。ダービー、オークス、有馬記念などの醍醐味も格別だが、ばんえい競馬を残しておいた感性にも拍手を送りたい。

(財界 2016年夏季第二特大号 第427回)

image by: Wikimedia Commons

 

『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』

ジャーナリスト嶌信彦が政治、経済などの時流の話題や取材日記をコラムとして発信。会長を務めるNPO法人日本ウズベキスタン協会やウズベキスタンの話題もお届けします。

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出典元:まぐまぐニュース!