ジャイアントパンダの飼育員は、日々どんな気持ちで仕事をしているのだろう?記者はこのほど、四川省都江堰市にある中国ジャイアントパンダ保護研究センター都江堰基地において、パンダ飼育員の仕事を実際に体験した。資料写真。

写真拡大

ジャイアントパンダの飼育員は、日々どんな気持ちで仕事をしているのだろう?記者はこのほど、四川省都江堰市にある中国ジャイアントパンダ保護研究センター都江堰基地において、パンダ飼育員の仕事を実際に体験した。人民日報が伝えた。

【その他の写真】

つなぎの作業服に着替えて、パンダ飼育員の楊海迪さんについて仕事を始めた。楊さんは、パンダの「姚曼(ヤオマン)」、「青青(チンチン)」母子、「戴麗(ダイリー)」と「英英(インイン)」の飼育を主に担当している。飼育員が出勤してまず最初にする仕事は、パンダ舎を巡回し、パンダを観察して彼らの健康状態をチェックすることだ。

普通の動物園でよく見かける「檻」とは違い、パンダ舎は、獣舎と屋外運動場の2つのエリアに分かれており、まるでフラワーガーデンのようだ。楊さんは、「檻の中で飼育されているパンダは、活動空間が小さく、活動時間が短いことから、頭をゆらゆらと揺らしたり、何度も同じところをゆっくりと徘徊するといった、いくつかのパターンが決まりきった問題行動ばかりすることが多い。同センターの施設ではパンダのためにエンリッチメント(動物が持つ野生本来の行動を発現できるような施設作り)を用意している」と話した。

エンリッチメントには戸外の棲息環境を真似て設けた各種施設などを含み、野生で生活するパンダのように、木登りをしたり、灌木の茂みの中に身を寄せたりすることができる。研究によると、エンリッチメントによって、パンダの問題行動を減らし、心身ともにより健康になることが証明されている。

楊さんは、「パンダの餌は99%が竹だが、彼らの消化器系は食べた竹の2割しか消化・吸収することができず、残りの8割は対外に排泄されてしまう。そのため、パンダは毎日、膨大な時間を食べることに費やし、必要なエネルギーを摂取しなければならない。そしてパンダは、エネルギー消費の激しい過剰な活動を控えなければならない。そのため、動作はおのずと緩慢になり、一日の多くの時間を眠って過ごすことになる」と説明した。

「パン!パン!パン!」楊さんは、手に持った訓練用のクラッカー(鳴り物)を鳴らしながら、四川訛りで、「姚曼、姚曼……」と呼びかけた。飼育係が呼ぶ声を聞いた「姚曼」は、丸い頭を上げ、大きな黒い眼で周囲を見渡し、すぐに良く太った大きな身体を揺らしながら、パンダに特徴的なすこし外股の歩き方で、獣舎に向かって歩み寄った。

楊さんは、「パンダは生まれつき近視だが、聴覚と嗅覚は非常に鋭い。成年のパンダと直接接触することは、危険なので不可能だ。なぜなら人と接するとき、彼らは自分の力をコントロールすることができないので、悪気なしに人を傷つける恐れがあるからだ」と話した。

飼育員は、竹や筍以外に、窩頭(トウモロコシまたは雑穀の粉で作った蒸しパン)、ニンジン、リンゴなどの餌をパンダに準備する。窩頭には各種ミネラルや栄養素が加えられており、このような窩頭を、毎日4回与える。食べさせる前には必ず計量して、餌の量を適切に保つ必要がある。

パンダは草食で、肉は食べられないのだろうか?実際、パンダは主に竹を食べるが、実は正真正銘の肉食動物だ。パンダの消化器官は、他の肉食動物の消化器官と同じ特徴を備えている。それは、腸管が細く短い、構造がシンプル、腸管の内壁がつるつるしている、といった特徴だ。野生のパンダは、小動物を捕獲して食べることもある。

さてもし飼育員の仕事が単なる力仕事で、可愛いパンダを見てるだけで済むと思っているなら大間違いだ。飼育員の多くは、動物科学関連専攻出身で、科学技術の最前線で働いている。彼らは、さまざまな科学的手段を駆使して、パンダに対して「愛情たっぷりの飼育」を行い、パンダの問題行動を減らそうと努めている。

「問題行動を減らすため、エンリッチメント以外に、とても重要措置として行われているのが、『愛情たっぷりの飼育』だ。飼育員は、日常生活で長時間にわたりパンダと接し、パンダが非常にのびのびと人間と接する環境を整えてやる必要がある。たとえば、リンゴは小さく切って、一つずつ食べさせてあげるなど、ひとつひとつの細かな行動を続けていくことで、飼育員に対するパンダの信頼感を培うことができる」と楊さんは話した。

「『国宝級動物の飼育員』は、誰にでもできる簡単な仕事ではなく、『三つの心』を備えていなければならない。それは、『愛』、『忍耐』、『細やかさ』の心だ。特に、パンダの赤ちゃんを育てるときには、『三つの心』がとりわけ重要となる」と話すのは、楊さんとパートナーを組む飼育員の劉芸さんで、楊さんを非常に尊敬しているという。「10年近く飼育員の仕事を続けてきて、最も感動したことは、流行りの言葉を借りて言うならば、『疲れるけど楽しい』だ」と楊さんは感慨深く話す。大学で獣医学を専攻した楊さんは、卒業後、パンダの飼育員になった。報酬は決して高いとは言えず、ハードワークだが、彼の希望に沿う仕事であると同時に、大変意義のある仕事だと考えている。

楊さんは「パンダを保護することは、彼らが暮らす棲息地を保護することに他ならない。つまり、大きな森林やその他の野生動物を保護することで、これは、我々人類を保護することにもつながっている」と語った。(提供/人民網日本語版・編集/KM)