WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

 7月11日(アメリカ時間)付けの世界ランキングで各国のリオデジャネイロ五輪代表が確定し、国際ゴルフ連盟(IGF)から出場選手が発表された。

 その直前には、世界ランキング3位のアメリカ代表、ジョーダン・スピース(22歳)が最終的に出場辞退を決意。これによって、世界ランキング1〜4位、ジェイソン・デイ(28歳/オーストラリア)、ダスティン・ジョンソン(32歳/アメリカ)、ロリー・マキロイ(27歳/北アイルランド。※五輪にはアイルランド代表として出場予定だった)のトップ4が、五輪のひのき舞台から姿を消すことになった。

 残念なことに今回の発表を前にして、スピースの他にも出場辞退を決めた選手は少なくない。フランスのビクトル・デュビュッソン(26歳)をはじめ、韓国のキム・キョンテ(29歳)、イタリアのフランチェスコ・モリナリ(33歳)らが、次々に五輪への不参加を表明した。

 その理由の多くは、「ジカ熱に感染することへの不安」であり、「現地の治安問題への不安」である。さらには、過密スケジュールといったところだが、いずれにしても五輪の金メダルはトップ選手にとって、それらの問題を乗り越えるだけの魅力がなかったと言えるだろう。

 はたして、五輪は世界トッププレーヤーの戦いの場となるのだろうか? また今後、ゴルフは五輪競技として継続することは可能なのだろうか?

 そんな疑問が次々に沸いてきたが、全英オープンの会場で行なわれたIGFのピーター・ドーソン会長(前R&Aチェアマン)、タイ・ボトゥ副会長(元アメリカLPGAコミッショナー)の会見を聞いて、そうした疑問も少しだけ薄らいだ。

 そもそも112年ぶりにゴルフが五輪競技として復活した理由は、ゴルフを世界中でさらに普及・発展させていくことが目的。それは今から15年前、ゴルフがあまり盛んではない某国に訪れたドーソン会長が、その国のゴルフ関係者に言われたひと言に端を発しているという。

「もしゴルフが五輪種目だったら、わが国ではもっと多くの人がゴルフに興味を持って、ゴルフが盛んになるに違いない」

 つまり、五輪競技になれば多くの国で、ゴルフ界への国からの支援が増して、ジュニアの育成も可能となり、ひいては未来のゴルフ人口の増加へと道が開けるというわけだ。この言葉が脳裏に深く刻まれたドーソン会長は、そこから一途に五輪でのゴルフ競技復活を目指し、ようやく今日を迎えた。

 そして彼は、本番を前にして五輪への期待をこう述べた。

「正直に言うと、世界のトップ選手たちが出場を辞退することはとても残念でならない。しかしそのほとんどは、アメリカ、オーストラリア、南アフリカ、アイルランドといった"ゴルフ大国"の選手たちだ。(最終的には)男子34カ国、女子34カ国、合計40カ国の選手が出場するのだから、素晴らしい大会になるのは間違いない。五輪は、ゴルフの小国において、ゴルフが発展する最も大きな機会になる」

 続けて、ボトゥ副会長がテニス界の事例を挙げ、「ゴルフが五輪で定着するには少し時間が必要だ」という話をした。

 テニスが五輪競技に復活したのは、1988年のソウル五輪。当時、トッププロとして活躍していたジョン・マッケンロー(アメリカ)は出場を辞退し、五輪開催中に行なわれていた別のイベントでプレーした。ところが、8年後のアトランタ五輪ではアンドレ・アガシ(アメリカ)が金メダルを獲得し、以降もラファエル・ナダル(スペイン)、ロジャー・フェデラー(スイス)など、その時代のトッププレーヤーが五輪で活躍。それらの姿を見て、マッケンローは「五輪を辞退したことは間違いだった」と後悔していたという。

 そんなテニス界同様、ゴルフ界でも五輪の地位が向上していく可能性は十分にある。

 ただ問題は、2017年に「今後、ゴルフを五輪競技として継続するか」が、国際五輪委員会(IOC)で協議されることだ。2020年東京五輪でのゴルフ競技開催は確定しているが、その次の2024年大会での開催は未定である。

 その点について、ドーソン会長はこう語った。

「(IOCで)論点となるのは、ゴルフが五輪競技として、どれだけ世界中から注目されたか、である。すなわち、テレビ視聴率や報道の大きさが重視される。ゴルフ小国の選手が活躍すれば、(その選手の)母国では大きな注目が集まるだろう」

 確かに日本でも、池田勇太(30歳)、片山晋呉(43歳)が優勝争いに加わって、もしメダルを獲得するようなことになれば、たとえトップ選手不在でも大いに盛り上がるはずだ。

 また、多くのトップ選手が辞退する一方で、バッバ・ワトソン(37歳/アメリカ)やセルヒオ・ガルシア(36歳/スペイン)など、「絶対に(リオ五輪に)行く」と断言するスター選手もいる。彼らのプレーを注目しているファンは少なくないだろう。

 これから、辞退する選手はまだ増えるかもしれない。それでも、「ゴルフが五輪競技になってよかった」と、そう思える未来がこの先に待っていると信じて、まずは五輪に挑む選手たちにエールを送りたいと思う。

text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN