外国人にとって難解な言語と言われる日本語ですが、日本人であっても、そのすべてを理解しているかというと案外そうでもない、というのが実情ではないでしょうか。例えば「人々」などの「々」は漢字ではないこと、ご存知でしたか? 無料メルマガ『1日1粒!「幸せのタネ」』では、そんな日本語表記に関する、知っておくとちょっと自慢できる豆知識が紹介されています。

日本語の表記の面白さを探求してみよう

ネットコラム記事で時折取り上げられるテーマに「『々』をどうやって表示させるか」というのがあります。結構多いのが「人々」「多々」などと入力して、1文字目の「人」や「多」を消す、という方法です。

パソコンでもスマートフォンでも同様ですが、「おなじ」と入力してみてください。変換候補の中に「々」があると思います。

「ええ! これは『おなじ』と読むのか!」という話になって記事が終わることが多いのですが、なぜこれが「おなじ」で変換されるのか、というのは説明がされていないことが多いようです。

この「々」は、実は漢字ではありません。常用漢字表にも人名用漢字の一覧にもありません。これは記号なんです。そして、なんとこの記号に名称があるのです。「同(どう)の字点」といいます。なぜ「々」が「上の字とおなじ漢字を表す」ということになったのかは諸説あるのですが、ひとつに「同」という漢字の別字体「仝」が変化したものだから…という説があります。そこから「同の字点」と呼ぶことになったのでしょう(ですから「おなじ」というのは「読み」ではありません)。

この名称は、非常に古い資料なのですが、昭和21年3月に、当時の文部省教科書局が作成した「くりかへし符号の使ひ方(をどり字法)案」というものに書かれてあります。この「案」は結局「案」のままだったのですが、現在でも公用文や学校教育の現場(教科書の表記)などの基準になっています。

日本語の表記は、他の言語に比べて「正書法」が厳密でないと言われています。漢字、平仮名、片仮名とあって、「鶏」「にわとり」「ニワトリ」とどれで表記しても構いません。ニュアンスが違う気もしますし、違わない時もあります。外来語のように、一般には片仮名でしか表記しないものもありますが、長い間、日本語の中に親しんでしまった結果、「煙草(たばこ・タバコ)」のように漢字や平仮名でも表記できる単語もあります。

日本語の表記はその時々の政策で人工的な手が加わっているものもあります。例えば漢字など、当用漢字、常用漢字と変遷があります。平仮名も明治以前はおおよそ300字ぐらいありました(ひとつの音にいくつもの文字があった)。

そういえば「くりかへし」「使ひ方」というように、「ワ行」の音を「ハ行」の仮名で表していますね。これも歴史的な背景があるのですが、これはこれで話しだすと長いお話になります。え? なぜ「ア行」じゃなくて「ワ行」なんだ? と思いましたか? 素晴らしい。鋭いですね。

「こんにちは」を思い出してもらえたらいいと思います。音では「コンニチワ」ですよね。ワ行なのです。「こんにちは」の「は」は、「ワ」と言うのに「は」の字を使う。これには日本語の変化の歴史が背景にあるのですが、そういうのも踏まえて今の表記があるんだなぁ…ということを感じてもらえたら嬉しいです。

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出典元:まぐまぐニュース!