『異性の心を上手に透視する方法』(アミール・レバイン、レイチェル・ヘラー著/プレジデント社)

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■不安型、回避型に人が幸せをつかむためには

すべての人が持っている「人との絆を結ぶ能力」であるアタッチメント(愛着)には、安定型・不安型・回避型の3つがありますが、大人のアタッチメント理論に基づいた科学的な恋愛ストラテジーの本『異性の心を上手に透視する方法』(原題:Attached)の著者・レバイン博士は、この本を主に不安型と回避型の人のために書いたと言っています。

「なぜ『運命の人』との恋は長続きしないのか」(http://president.jp/articles/-/18345)でも説明したように、安定型の人は比較的自己肯定感も高く、自分にぴったりの相手がいつか見つかるだろうと思っているので、恋愛にそれほど悩んではいないからです。パートナーとなった相手に深くコミットすることを恐れていないので、出会うまでに時間がかかったとしても、交際が始まれば素晴らしい関係を築くことができます。

一方、不安型の人は相手と親密な関係を築きたいという欲求がありますが、前回の記事で説明した理由で、回避型の人とカップルになりやすいという傾向があります。回避型の人は、少しでもふたりの間が親密になると、逆に逃げたくなる性質をもっているので、どちらにとっても欲求不満のたまるお付き合いになってしまい、不安型の人は「自分がいけないのだろうか」と悩むことになります。

また、回避型の人の中には、本当は長続きするパートナーを見つけたいのに、なぜか距離をとる言動を繰り返してしまうなど、自分でも理解できない行動に悩む人もいるでしょう。

では、不安型や回避型のアタッチメント・タイプの人はどうすればいいのでしょうか。『異性の心を上手に透視する方法』では、この点についても多くのページを割いて解説しています。

本の中に、世界的なベストセラー『ベスト・パートナーになるために』を書いたジョン・グレイ博士のエピソードが出てきます。グレイ博士の2人目の奥さんであるボニーさんが出産後、新生児の世話で疲れ果てていたとき、あるきっかけで夫婦喧嘩になってしまいました。グレイ博士はいつもの調子で、腹を立ててその場を立ち去ろうとしたのですが、ボニーさんが「あなたを必要としているの」「話を聞いて」と、感情的にならずに自分のニーズを伝えたことをきっかけに、グレイ博士は自分が必要とされていることに気づき、考え方が変わったそうです。

■過去の恋愛パターンにヒントが隠されている

先日、来日したジョン・グレイ博士とインタビューする機会をいただき、このエピソードについてお聞きしたところ「確かに自分は、昔は回避型のような言動をとっていた」と言っていました。でも、奥さんの修羅場のような状況を目の当たりにし、彼女のニーズにとことん答えようと決めてからは、より安定型に近い考え方をするようになったそうです。

安定型の人が、相手を責めない形で自分の気持ちをきちんと伝えることができるのは、効果的なコミュニケーションによるところが大きいのです。不安型・回避型の人も、このコミュニケーション方法を心がけることで、良好な関係を築くことができます。本書でも解説されている「相手に伝わる言葉で話すための習慣」の例をあげると、「自分のニーズに集中する」ということがあげられます。これは、自分が何を求めているのかをきちんと認識し、それを相手を責めない形で率直に伝えることを意味しています。特に、不安型(Nタイプ)の人は、相手とうまくやっていきたいと思うあまりに、自分のニーズを口に出すことをためらう人もいるかもしれません。でも、伝えないからといってもやもやした思いがなくなるわけではなく、それはいつか別の形であらわれてくるものです。そうなるよりは、自分が相手にしてほしいことを素直に伝えたほうが、相手にも理解してもらいやすくなります。

また、回避型の人は、時にはひとりにしてほしい、というニーズがありますが、その希望を伝えないままに、無視したり距離を置いたりという態度をとると、ふたりの関係は悪化します。「カップルの関係にあっても、ときにはひとりになりたいというニーズがある」ということを自覚して、相手に対して「自分は誰と交際していても、時々ひとりになれる時間が必要です」ということを伝えることで、相手をむやみに不安にさせるという状況を防ぐことができるでしょう。

変化のきっかけはまず現状を把握すること。そのために必要なことの一つが、過去の自分の恋愛パターンをアタッチメント・タイプの理論で分析することです。『異性の心を上手に透視する方法』で詳しく説明されていますが、まず今までの自分の交際相手を振り返って「過去のリレーションシップ・リスト」を作ります。そして、交際していた相手との関係にダメージをあたえるような自分の言動について振り返り、なにがそうさせたのかをアタッチメント理論に基づいて分析していきます。この本を原書で読んだ私の友人は「過去のリレーションシップを一つ一つ新しい目で見ることができました」と語っていました。その結果、自分のアタッチメント・タイプや、相手との付き合い方にパターンがあることが明確になったのです。

今までの恋愛はすべて、自分についてより深く理解し、次にどうすればいいのかを教えてくれる貴重な情報源なのです。なかには思い出したくない記憶もあるかもしれませんが、このワークをすることで、自分のアタッチメント・タイプ特有の言動に意識を向けることができます。そして、次の恋愛で今までと違う結果を得たければ、今までの自分とは違う選択をすることもできるでしょう。

ジョン・グレイ博士も回避型から安定型に近い考え方をするように変わっていきました。自分のアタッチメント・タイプに気づくことで、そこに選択の幅が生まれ、可能性が広がります。

『異性の心を上手に透視する方法』がより自分に合ったパートナーを見つけるお手伝いになることを祈っています。

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塚越悦子(つかごし・えつこ)
ファミリー・リレーションシップ専門コーチ。My Peaceful Family代表。
東京大学文学部卒業。モントレー国際大学院で行政学修士を取得後、国連に就職。2002年にアメリカ人の夫と結婚し渡米。アメリカでライフコーチの資格を取得し、国際結婚カップルの相談を受けてきた。現在は一家で日本に住み、最高のファミリーを作るための婚活サポートやリレーションシップ・コーチングなどを行っている。著書に『国際結婚一年生』(主婦の友社)、訳書に『異性の心を上手に透視する方法』(プレジデント社)がある。ウェブサイト(http://www.mypeacefulfamily.com)で恋愛・結婚・家族をテーマに情報発信をしている。『異性の心を上手に透視する方法』Facebookページ(https://www.facebook.com/iseinokokoro)。

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(文=塚越悦子)