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宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7月21日、宇宙飛行士の精神心理健康状態を評価する手法の高度化を目的に、JAXAの閉鎖環境適応訓練設備(閉鎖設備)を用いた有人閉鎖環境滞在試験を今年9月に実施すると発表した。第1回の試験は、2015年度(2016年2月)に行われており、2016年度は今回の試験も含め最大で3回実施される予定となっている。

JAXA 技術参与 有人宇宙技術部門総括医長 緒方克彦氏は、同試験の目的について、「軌道上において宇宙飛行士に緊急で非常に大きなストレスが加わったとき、あるいは通信インフラの調子が悪く専門家による地上からの密なカウンセリングが行われないときには、個人でケアを行うか、または宇宙飛行士同士でのカウンセリングを行う必要がある。これを支援するため、客観的な指標を作成すること」であると説明している。

今回行われる試験は、前回の2015年度の内容とほぼ同じで、健康な成人男性8名が、JAXAの閉鎖設備で2週間共同生活を送るというもの。被験者は、その間の行動・情報・食事・娯楽などが制限されるほか、ディベートやロボット作成などのグループ作業および単純作業やPC作業課題などの個人課題を含むさまざまな作業負荷が与えられる。

試験では、こうしたストレス負荷が、血液・唾液・尿といった生理・生化学的指標、反応速度などのパフォーマンス、および音声・表情などの行動的指標にどのような影響を与えるかを検証し、専門家の面談によるストレス状態の評価の変化と比較することで、有効なストレスマーカーを探っていく。

今回は新たに、前回の2015年度の試験後に企業から提案を受け、検証するストレスマーカー候補が追加されているという。JAXAは、今後も良い提案があれば来年以降での共同研究を検討するとしている。

試験の対象となるのは、20歳〜55歳の健康な一般男性。JAXAは女性の参加も検討したというが、ホルモンバランスの影響やデータ分析の都合上から、今回も前回同様男性のみに絞られている。「いずれは男女双方を対象とした研究も行いたい」(古川氏)とのことだが、具体的な計画は未定となっている。

募集は、ジャパンクリニカルボランティアネットワーク(JCVN)のWebサイトにて行われている。被験者は8月下旬に決定され、9月6日より基礎データが取得される。実際に閉鎖環境に滞在するのは、9月13日〜9月26日までの14日間。また、滞在後10月3日まで基礎データの取得が行われる。全日程を消化した場合、協力費として総額38万円が支払われる予定。

なおJAXAは、2015年度に行われた第1回閉鎖環境試験の結果について、学術的な発表がなされる前の段階であるため公開できないとしている。今回の試験結果も含めた研究成果の発表は、数年先になるものとみられる。

(周藤瞳美)