意見が割れた! 新幹線「無料の幼児に1席」は図々しいのか問題から見えた“自由席マナー”

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乳幼児との新幹線移動、子どもの分も指定席券を取るか、自由席で行くのか、みなさんはどのようにされていますか?
また、子どもの席を指して「座らせていただけませんか?」と聞かれたらどうしますか?

【話題】新幹線「無料の幼児に1席」は図々しいのか問題


前回、『新幹線「無料の幼児に1席」は図々しいのか問題』の記事でネットで話題になっていた、60代男性による新聞の投書を取り上げたところ、多くの方から様々な意見が寄せられました。

気になる箇所が多数、この問題の論点は…

<新聞の投書内容>
混雑した新幹線で座りたかったので、指定席の空いている席がないか探しにいったところ、バスケットに入った子犬の置かれた座席を発見。飼い主と思われる女性に尋ねると、指定券を買っていますと断られる。
つぎに3歳くらいの子が座っているのを見かけたが、「あれもきっと指定券を買っているのだろう」と判断した男性は、再び自由席に戻る。そこで就学前の子が座っているのを見かけ、母親に「ここ空いてますか?」と声をかけると、仕方なさそうに子どもをひざに乗せ、席を空けたのだという──。


前回記事にSNS等を通じて寄せられた意見を見ると、この男性が指定席エリアに行ったことについて疑問に思う方が多かったようですが、おそらく、指定席エリアに空席があったなら、その場で指定席券を買って確実に座りたかったのではないでしょうか。

しかし、新幹線は途中の駅から乗車する人もいますし、そこが本当に空席かどうか、見た目での判断は難しいでしょう。

未就学児は新幹線の乗車料金がかからないということは、新幹線をよく利用されているみなさんはご存知かと思います。

しかし、男性はペット用に指定席券を取る人がいたことから、乳幼児にも1席分チケットを買っているのだろうと考え、指定席で座ることは難しいと判断し、自由席に戻ります。

そして、子どもの座っているところを指差し、ここ空いてますか?と声をかけたのでした──。


子どもたちの夏休み突入!というこの時期。前回のアンケート結果をもとに、改めて未就学児をつれての新幹線の乗り方と、移動のマナーについて考えてみたいと思います。

もし「座らせていただけませんか」と聞かれたら…“指定席”の場合

指定席券を子どもの分も買っていた時に「座らせていただけますか?」と話しかけられたら?

さすがにチケット代が発生しているということもあるのか、アンケート結果では、「チケットをお買いになってくださいと返す」が最多の68.3%となりました。

「乗務員を呼ぶ」も従わない前提だろうと考えると、80%以上の人が断るという結果に読めます。

上記投稿主の男性も、さすがに指定席エリアの子どもに声をかけることはありませんでしたが、子どもの分も指定席を買っている場合は、たとえ半額の幼児であったとしても、年配だからといって席をゆずるべきという事はないと判断された方が大多数であった、ということでしょうか。

これからの季節、通常の新幹線移動では考えられないほどの乗車率になることが予想されます。お盆に法事が設定されているご家庭もあるでしょうし、その時期を外して乗ることも難しいでしょう。

混んだ新幹線に子連れで立ち乗り、2時間……。考えただけでも腰に悪そうです。

確実に座席を押さえるためにも、指定席券を押さえるが吉、かもしれません。

対応が悩ましい“自由席”、注目の結果は?

つぎに、自由席で、子どもが座っている席を指して「座らせていただけますか?」と話しかけられた場合についてです。

このアンケートの結果に入る前におさらいですが、前提として、新幹線には在来線と異なり、優先席というものが存在しません。

そして、幼児はただで乗車しているのに対し、60代男性は大人料金を払って乗車しています。

幼児は膝の上にのせることができますが、じっとしていることは皆無ですし、長時間は親がつらいですよね。

また、ご年配の方は体調等により、長時間立っての乗車は難しいことがあります。
これはご年配の方に限らず、外側からは判断のつかないご病気を抱えている方も該当するでしょう。

座席数1をめぐって、“絶対に座りたいお年寄り”VS“今座席を手放したら向こう数時間つらくなることが確定している乳幼児親”という、絶対に負けられない戦いが今ここに展開してしまうのです……。

お年寄り vs 乳幼児 !? 自由席での考え方

この質問については特に指定席券を押さえている状態ではないため、ほかの2問とは毛色が異なり、「特に違和感もなく席を譲る」が45.11%と最多になりました。

「しぶしぶ従う」の17.62%とあわせ、約62%は、自由席では席を譲るという結果が出ました。

ちなみに、この問いですが、どのような想像をしたかによって回答がわかれたことと思います。

たとえば、それなりに混んでいる新幹線の車内。
そこに座席を必要としている乗客がやってきて、つらそうに、片っ端から声をかけているとします。

この場合、あなたはさっと子どもをひざに乗せて席を空けるかもしれません。

しかし、真っ先に自分の子どものところにやってきて「ここ空けていただけますか?」ときかれたら……。


筆者は、世の中は性善説であって欲しいと願う派ですが、残念ながら、女が子どもをつれ、公共交通機関で移動をする生活を6年ほどしていると、降り際にベビーカーを蹴られて暴言を吐かれるなど、残念な気持ちを味わうことも少なくありませんでした。

その昔、バラエティ番組のイス取りゲームで、弱そうな人の前に立って「どけ!」といい、席を空けてもらうものがありましたが、それと同じように「あ、弱そうに思われたのかな」と思いながらそっと立ち去る。そんなこともよくありました。

長男の生まれた6年前と比べると、都内では年々子連れへの風当たりが強くなっている気もしています。

最近は、移動の際には夫に子どもを託しているのですが、嫌がらせを受けたことはないそうなので、筆者の“女で背が低い”などのヴィジュアルが、残念ながら他者の奥底にある“何か黒いもの”を呼んでいるのかもしれません。

なお、この質問についてお子さんのいる男性からは「席譲るよ、あたりまえだろ?」との声もきかれましたが、「もしかして(席をかわれというのは)嫌がらせなのでは?」という発想が真っ先に出てきてしまう筆者のような母親が、そしてまだ一部に残っている、女子どもにはどんな暴言を吐いても許されるという考えが、早く日本からなくなることを心から望んでいます。

乳児との新幹線移動、座席のとり方正解は?

では実際のところ、未就学児の親たちは、新幹線をどのように利用しているのでしょうか?

子どもとの新幹線移動に関して、指定席券の購入方法について聞いてみたところ、約半数の方が、「指定席券を子どもの分もとって余裕を持つ」と答えました。

「大人の分だけ指定席券を取る派」も含めると全体の87.5%は指定席券を押さえています。

子連れでの長距離移動は何が起きるかわかりません。
できるだけベースキャンプを作っておきたい気持ちはよくわかります。

筆者も過去数回の失敗の結果、子連れの場合、新幹線代をケチってはだめだな、という結論にいたりました。

「そうだ、○○行こう!」なノリで出かけてしまうことの多かった独身時代でしたが、新幹線移動での失敗を通して、子どもが一緒だということは下準備が必要ということ、そして自分の気持ちひとつではうまくいかないということを、実体験としてはじめて“自分ごと”に落としこめたのでした。

なお、座席を取る際にも、ベビーカーがおきやすい席、多目的室の近くなどを指定して押さえるなど、子連れ移動を経験するたびにノウハウも増えていきますね。

ひと月以上にわたる長いお休み。

遠い場所への移動やいつもと違う景色に触れる体験は、子どもたちにとっても刺激になり、心身の成長につながることでしょう。

どうか、移動時のトラブルで嫌な思いをしませんよう。そして、怪我なく無事に、すてきな夏休みをお過ごしください!