4割超が「住まいの買いどき」を意識

今年1月、日銀がデフレ脱却のための金融緩和政策のひとつとして始めた「マイナス金利」。これの影響で住宅ローンの金利が引き下げられたことで、今、「住まいを買おう」と考える人が増えているようです。

実際に「株式会社リクルート住まいカンパニー」が行った「『住まいの買いどき感』調査」においても、「マイナス金利」によって「住まいの買いどき」を意識している人が増えているという結果が出ました。

2015年12月のマイナス金利開始以前の時点で「買いどき」を感じていた人が16%であるのに対し、2016年3月の施行後には3ポイント上昇の19.3%。別の質問からも住み替えやリフォーム検討者の44.2%が「今が買いどき」という認識であることがわかりました。

また、いったんは先延ばしになった消費増税もこの動きを後押ししています。同じ調査で、「買いどきと感じる理由」を尋ねたところ、「消費税率の引き上げが2017年に予定されているから」と答えたのは27.5%。「金利が下がりそうだから」とする28%とほぼ同じ割合存在します。

住宅を購入するシングル女性は増えつつある

「金利引き下げ」そして「消費増税」。こう聞くと、「今買わないと損をするのでは?」とそわそわしてくる人もいるでしょう。同社の「2015年首都圏新築マンション契約動向調査」によれば、2015年の住宅購入契約者のうち、シングル女性の割合はわずか4.8%。

昨年からは0.2ポイント増加していますが、全体的に見て多いとはいえません。ただ夫婦あり世帯と子どもあり世帯が昨年に比べ1〜2ポイント下がっていること、また「結婚しなくていい」と考える女性が増えていることを考えると、今後シングル世帯の住宅購入率は増加していく可能性もあります。

一番の理由は「老後の安心のため」

では、そもそも人は何をきっかけにして住宅を買う決心に至るものなのでしょうか。シングル女性の「購入理由」で一番多いのは「老後の安心のために住まいを持ちたくなったから」で33.2%。これはシングル男性世帯の約2倍の割合になっています。

次に多いのが「資産を持ちたい・資産として有利だと思ったから」で31.6%となっており、こちらはシングル男性の42%に比べ、低い結果が出ています。ちなみに金利を理由とした回答をしたシングル女性の割合は21.9%。ファミリー世帯やシングル男性に比べると低く、シングル女性は他の世帯に比べ、市場の動向の影響をあまり受けていないことがわかります。

シングル女性の6割は東京周辺で購入

別の調査も見てみましょう。20〜40代の単身女性74名を対象にした2014年の「マイナビウーマン」の調べによると、もっとも多い理由が「家賃がもったいないから」の47.3%。実は、2015年の購入した物件の所在地をみると約47%は「東京23区」(リクルート住まいカンパニー調べ)。さらに「東京都下」も含めると59.8%となり、東京都の周辺に物件購入が圧倒的に集中していることがわかります。

さらに、シングル女性に限れば東京周辺での物件購入が64.7%となっています。都内の家賃相場がもっとも高い港区では1K、1LDKで約12万円。単身世帯にとって広くはない割に高額な「家賃」を毎月支払うことはかなりの重みです。それならば、資産として残る形にそれを使いたいと思うのは非常に合理的な判断といえるでしょう。

6割が20代で購入を決意

では、女性が住宅の購入を決めるのはいつか。そしてどんな「住まい」を選ぶのか。データから読み取っていきましょう。

先ほどの「マイナビウーマン」の調査によると、独身女性がマンションを購入した年齢でもっとも多い層は「20代」で58%。次に多いのが「30代」の32%となっています。2015年の住宅購入契約者の平均年齢は39歳。この調査が20代〜40代を対象にしているものであることから、20〜30代の購入率が高いことも考えられますが、この年代が先に書いた購入の理由について深く考える時期であるのも事実。女性の方が早い決断をしているのかもしれません。

そこで気になるのがマンション購入時の女性の年収。マイナビの調査によると、もっとも多いのが年収「100万円以上〜500万円以下」の層で約半分を占めます。意外にも高額な収入の女性よりも一般的な女性の方が多い結果になっています。ただし、この調査の回答者はほとんどが正社員。正社員であることから今の年収は普通だとしても、今後伸びる可能性、キャリアアップしていく可能性があるからこそ決断ができたのかもしれません。

「住宅購入=おひとり様宣言」ではない

そんな彼女たちの物件購入額の平均は2780万円。もっとも多い価格帯は「3000万円〜4000万円以内」で32.4%となっています。また間取りでもっとも多いのは「2LDK、2SLDK」で57%。「どうせ買うなら賃貸よりも広い家を」また「結婚後も住むことができるか」という考えが反映された結果といえるでしょう。

しかしながら、結婚したら購入した住まいはどうしたいか?という質問に対する回答は40.5%が「特に決めていない」。また将来住み替えを考えているか?という質問には79.7%が「はい」と回答しています。

「家を買うこと」は大きな決断ではありますが、それをクリアすればまた別のライフステージへの期待が高まります。「一生もの」として長く添い遂げてくれる可能性もあれば、次の段階へ移行するための財産となってくれる「自分の城」は精神的にも大きな支えになっているのではないでしょうか。

(安仲ばん)