中国安徽省合肥市に街の1シーンを撮り続ける33歳のカメラマンがいる。彼の名は劉涛。世界の写真界が注目する人物だが、日頃は水道検針員として働いている。

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中国安徽省合肥市に街の1シーンを撮り続ける33歳のカメラマンがいる。彼の名は劉涛(リウ・タオ)。撮影について学んだことはないが、米誌「タイム」はその作品を誌面に載せた。世界の写真界が注目する人物だ。

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独特の視点で意表を突く作品を次々と発表する劉だが、日頃は地元水道局の検針員として働いている。高校を卒業した後は上海の武装警察に2年ほど籍を置き、その後現在の仕事に就いた。検針の仕事は街のあちこちを歩き回ることができる。彼の心に「この街を撮りたい」という思いが芽生えた。

劉がカメラを手に入れたのは検針員になって3年が過ぎた2010年のことだ。仕事のかたわら、あちこちにレンズを向ける。彼の想いは「プロのカメラマンと技術比べをしたいとは思わない。ただ、平凡な日常生活に現れる一瞬を捉えたいだけ」―そして彼はこれを成し遂げた。

劉の作品はウィットに富んでいる。偶然が生み出した、作り物のような真実。劉が雑踏から抽出するのはユーモアと美だ。どんなに平凡な日常でも劉の手にかかれば光を放つ。かつてフランスの名高い画廊が「版権を売ってほしい」と驚くような値を提示してきたことがあったが、劉は丁重に断った。彼が手にする給与は決して多くない。だが、「版権を売ってしまったら相手の好みに合わせた写真を撮ってしまいそうで怖かった」。

そんな劉が「心の師」と仰ぐのは日本人カメラマンの森山大道氏だ。作風はまったく似ていない。ただ、劉は「森山氏は市井の人を知り尽くしている写真家。作品には特有の強烈な風格がある」と考えている。「森山氏の足跡をたどりながら、独自の作品を残したい」。これが劉の願いだ。(編集/野谷)