『モテと非モテの境界線 AV監督と女社長の恋愛相談』(二村ヒトシ、川崎貴子/講談社)

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 世の中にあふれている人生相談の中で、今もっとも熱く、切れ味鋭く、ちょっと笑えて、ちょっと泣けるのが、『現代ビジネス』(講談社)で連載中の「美女社長とAV監督のスナック人生相談」だ。そこから生まれた待望の書籍、『モテと非モテの境界線 AV監督と女社長の恋愛相談』(二村ヒトシ、川崎貴子/講談社)は、恋愛や結婚問題に悩む若い世代を中心に、婚活が深刻化するアラフォー、アラフィフまで、幸せになりたい男女への指南本である。

 男性の本音を描いた恋愛をテーマに、多くの著書で圧倒的な支持を得ているAV監督二村ヒトシ。女性マネジメントのプロであり、1万人以上の女性から相談を受けてきた婚活塾を主宰する川崎貴子。本書はこの人生経験豊富な2人の対談形式で構成されており、男女の欲望と心理を知り尽くしたメンターとして、愛し、愛されるために必要なものは何かをわかりやすく説いている。

 まずCHAPTER1〜2では最近の結婚事情について書かれているが、「病む不倫、病まない不倫」、「心のドーピングには要注意」、「結婚に逃げる女性と、仕事に逃げる男性」とある。例えば、恋愛するのには大切なのが自己肯定感だが、その際、自分の「心の穴」を自覚しているかがカギ。「心の穴」とは自分の育った環境、親からの影響もあるというから根が深い。そこにカルト的な自己啓発などで、お手軽に心の穴を埋めようとするのが「心のドーピング」。無理をするとあとになって崩壊する、とも書かれている。

 CHAPTER3〜6は、独身男性の悩みを聞きながら、リアルな「恋愛・結婚観」を探っている。いい人なのに女運がやたらと悪いアラサー男子や変わった女性ばかり引き寄せてしまう「メンヘラほいほい」男子、美人との結婚を夢見る「童貞男子」、潔癖症の40歳など、タイプの違う4人 の本音を引き出すテクニックはすごい。鋭くつっこむ強者2人の質問に対し、独身男性の無意味なプライドや、見えていない現実は、バッサバッサと切り捨てられる。

 自分は傷つきたくないし、自分の時間を取られるのは嫌、彼女を部屋に入れたくない、でも結婚はしたい。独身男性の自分本位な本音に、思わずイライラする読者もいるはずだが、どこか爽快で、軽妙に感じるのは、強い個性をもつ経験豊かな回答者2人が、自身の過去やプライベート、失敗談などを、包み隠さず、さらりと語っている点である。

 これは本書にも課題として挙がっているが、4人の相談者に限らず、自分の幸せを願いつつも、なかなかなれない人に圧倒的に足りない「自己開示」の力ではないだろうか。つまり自分の「負」の部分をいかに正直にさらけ出せるか、ということが、結果、相手を受け入れ、柔軟な心を持つことに繋がるということを、2人は本書を通して教えてくれているように思う。

 矛盾だらけの相談者に対し、丁寧に言葉を尽くして「変わる勇気」の必要性を気づかせようとする二村氏と川崎氏。AV監督ならではの下ネタトークも絶妙なタイミングで使い、また、美人女社長は、急にデート中の想定をロールプレイで教示するなど、コミカルでいながら、真を突いた 実践型アドバイスが満載。幸せになりたい婚活中の女子にもヒントになる金言の数々。将来を悲観せず、人生の味方を得る幸せな結婚をするために、そして人生を豊かにするために「モテ」の技術を学んでみよう。

文=藤本雪奈