ドラマ『はじめまして、愛しています。』初回レビュー ――特別養子縁組がテーマ

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7月も半ばに入り、地上波テレビ各局では新ドラマが続々と始まった。
前クールのドラマは録画しつつちょこちょこ見ようとしていたのだが、子どもの保育環境が移って新生活での目まぐるしい変化に私の疲労も絶頂で、毎日22時すぎにはまぶたが閉じてしまい、すべて途中で脱落……。

今クールは通して見れるものがあればいいなと期待に胸を膨らませながら、テレビ朝日系『はじめまして、愛しています。』(毎週木曜21:00〜)の初回放送をみた。
http://www.tv-asahi.co.jp/hajimemashite/

本作品は江口洋介さん演じる夫・信次と、尾野真千子さん演じる妻・美奈の夫婦が、血のつながりのない男の子を家族に迎えようとする「特別養子縁組」を題材にしたドラマだ。

近年、見聞きすることが増えたこの制度、ついにドラマにまで……と驚いたが、脚本を手がけるのが、『女王の教室』『家政婦のミタ』といった話題作で知られる遊川和彦氏。これは一癖も二癖もありそうだという気配がしていた。



信次と美奈は結婚10年目の夫婦。
美奈は十代からピアニストを目指し、オーディションを受けまくっているが49連敗中。
自宅で子ども向けのピアノ教室を開いているが、あまり子どもの扱いも得意ではなく、生意気な態度にストレスを溜めながら接している様子。

ちょっと不安定なところのある美奈を大らかに受け止める信次は、とにかく人がよく、正義感が強すぎるばかりに突っ走ることも多々、そのたびに美奈に呆れられている。

しかしデコボコなようで、お互いを必要とし、支え合いながら生きている夫婦の姿には安心感も覚える。

そんな2人の前に、親からネグレクトを受けたと思われる男の子が現れ、養護施設に保護される。情に厚い信次がこの男の子に関心を抱き、「この子の親になりたい」と申し出ることから物語は展開する……。

素性のまったく分からない子どもだけに、美奈は最初は難色を示し、余貴美子さん演じる児童相談所の職員にも、そんな生易しいものではないのだと釘を刺される。

養親になったら離縁はできない、養親の愛情が本物であるかを試すために赤ちゃん返りや親を振り回すような行動に出ることもある、そして一番負担がかかるのはあなたの奥さんなんですよと牽制されても、ひるまない信次の姿は利己的に見えるが、頼もしくもあり次第に美奈も心を動かされていく。

今後、夫婦あわせてどのように心境が変化していくかがドラマの見どころになりそうだ。

まだ初回の放送が終わったところなので、どのような試練が待ち受けているかは未知数だが、血のつながりが親子関係においてどこまで重要なのか、というテーマは確実にストーリーの要となるだろう。

子どもの取り違えにより、自分の子どもが実子でなかったという話を映画などの創作で見るたびに、もしこれが自分の身に起こったことだとしたらどのように感じるのだろう、と問いかけていたことがある。

ある日突然、「この子はあなたの子どもではありません」と告げられたとしたら、もちろんショックは受けるだろうけど、だからといって手放してもいい、なんて思えるのだろうか。

娘のことはすごく可愛いし、楽しい時間を過ごしているが、ただそれが血のつながりによるものなのかというとそれだけではないような気がする。

日々をともに過ごして、成長する姿を見ているから、情が増して愛おしくなるんじゃないかというのが個人的な見解なのだが、だとしたら娘が誕生した瞬間に涙が出るほど感動したのは何だったのだろう、という疑問もある。

生まれたばかりのわが子を目にして、「可愛い〜!!!」と大興奮した記憶も鮮明なのだが、あれはただの産後ハイというやつで、今、娘に感じている愛情とは質が違うということだろうか。

劇中、養子を迎えるかもしれないというくだりで、信次の姉が、
「実の子どもだって育てるのは大変なのに、血の繋がらない子どもなんてもっと大変に決まっている」
と反対する様子には「ん?」と引っかかるものがあったので、そこらへんをひも解いてほしいなと思っているのだが、今後の展開はどうなるか。

番組公式サイトの中にも説明があるのだが、特別養子縁組の成立条件として、「試験養育期間が6か月以上必要」というものがあり、ドラマはその6か月を追っていく形になる。
http://www.tv-asahi.co.jp/hajimemashite/sp_lecture/

屈託がない信次も、施設に入っている母親や、干渉してくる周囲とガンガンぶつかりそうな予感がするし、美奈は自分のコンプレックスの元凶でもある父親と確執を抱えているようだ。

そしてストーリーを動かしていくこの男の子、まだ名前も分からないし、1話では一言も発していない。ここに特別養子縁組の成立に至るまでの法的なシビアな判断が加わると、かなり重めのドラマになりそうだが、脚本の遊川氏らしい軽妙なタッチで、気負うことなく観られる(ここが重要)。

映画『そして父になる』『きみはいい子』などですっかり母親役が定着した尾野真千子さんの演技はもちろん素晴らしいが、江口洋介さんのキャラクターが、どこか『ひとつ屋根の下』を彷彿させて、子育て世代にはちょっと嬉しい懐かしさも。

なお、民法公式テレビポータル『TVer』で、放送後7日間は見逃し配信で視聴が可能である。
http://tver.jp/