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明治大学などは7月20日、ラン藻の水素を合成する酵素の活性を遺伝子改変によって低下させることで、バイオプラスチック原料の増産に成功したと発表した。

同成果は、明治大学農学部 小山内崇専任講師、飯嶋寛子共同研究員、理化学研究所 平井優美チームリーダー、近藤昭彦チームリーダー、白井智量副チームリーダー、神戸大学 蓮沼誠久教授、ポルト大学 タマニーニ教授らの研究グループによるもので、近日中に米国科学誌「Algal Research」に掲載される予定。

バイオプラスチックの原料として、コハク酸や乳酸などの有機酸が知られている。同研究グループはこれまでに、光合成によって直接二酸化炭素を取り込み、糖やアミノ酸、有機酸などの物質を合成することができるラン藻(シアノバクテリア)に着目し、ラン藻のなかでも最も研究されているシネコシスティスを、嫌気・暗条件で培養することで、コハク酸や乳酸などの有機酸を細胞外に放出できることを明らかにしている。

一方、シネコシスティスは同じ条件で水素を生産することが知られている。有機酸も水素も、シネコシスティスが蓄積した還元力を利用して生産されるため、有機酸と水素は、細胞内の還元力を奪い合う競合関係にあるといえる。そこで今回、同研究グループは、水素に関連する遺伝子の改変を行うことで、コハク酸および乳酸が増加するかについて検証した。

具体的には、水素を合成する酵素ヒドロゲナーゼを構成するHoxHタンパク質の遺伝子「hoxH」を破壊。hoxHの転写産物量が40%減少したhoxH変異株を取得することに成功し、hoxH変異によって、嫌気・暗条件の水素生産能が20%近く低下することを確認した。

次に、このhoxH変異株を嫌気・暗条件で3日間培養し、細胞外に放出された有機酸量を比較したところ、対称株(野生株)に比べてhoxH変異株ではコハク酸量が約5倍、乳酸生産量が約13倍に増加することが明らかになった。一方、酢酸は1/3以下になり、hoxH遺伝子の改変によって、生産される有機酸の割合が大きく変化することがわかった。

同研究グループによると、今後は二酸化炭素からのコハク酸、乳酸への変換効率を高めていくとともに、生産物の純度やラン藻培養の効率化、低エネルギー化、生産物の効率的な回収・精製方法の開発など、多角的な研究開発が必要になるという。

(周藤瞳美)