これまでも東アジア、殊に中韓に対する言動が日本国内で度々「問題視」されていた鳩山由紀夫元首相が、北京で行われた「世界平和フォーラム」なる会合で、南シナ海問題に関してまたしても中国よりの発言を行ったと報道されました。メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では鳩山氏の行動原理を「中国の覇権を手助けすること」だとして厳しく批判しています。

【中国】鳩山由紀夫氏が中国からポイ捨てされるとき

● 鳩山由紀夫氏、また親中発言「日米は静観すべき。中国に圧力かけるな」 北京の会合で

中国主導のAIIBの国際諮問委員会の委員に就任したことで久々に話題となった鳩山由紀夫氏が、北京で行われた「世界平和フォーラム」で演説に立ち、先般、オランダ・ハーグの仲裁裁判所から判決が下された南シナ海問題について、「日本や米国は基本的に静観すべきで、中国やフィリピンに圧力をかけて仲裁判断を受け入れるよう促すべきではない」「当事者間の対話と協力での解決を見守るべきだ」と述べたそうです。

ところで、この世界平和フォーラムというのは、どのようなものなのでしょうか。同名のフォーラムは複数存在するようですが、WPF(WORLD PEACE FORUM)という組織は今年のフォーラムをブラジルで開催する予定としており、北京での「世界平和フォーラム」とは無関係のようです。

● WORLD PEACE FORUM

北京のほうの写真を見ると、主催は清華大学、協力が中国人民外交学会とあり、議長は唐家璇で、劉延東副首相が基調講演を行なったそうです。いかにも国際会議の体をとっていますが、どう考えても中国政府が主催したフォーラムです。したがってその実態は「中国にとって都合のいい世界平和を考えるフォーラム」です。

● 第5回世界平和フォーラム開幕、共同安全秩序を議論

そんな会議に出席して、日米は静観すべきなどと中国側に立った発言をしたわけですから、鳩山氏が中国の代弁者に成り下がったのは明らかです。現在では日本共産党や社民党ですら言わないほどの媚中ぶりです。日本では古巣の民進党にすら相手にされませんから、とにかく撹乱騒ぎを起こして目立つことに必死なのでしょう。最近でよくいわれるところの「炎上商法」というものでしょうか。

鳩山氏は2013年1月に南京大虐殺記念館を訪れて謝罪、昨年8月には韓国の西大門刑務所で日本の朝鮮統治について土下座して謝罪するなど、「謝罪の旅」を行なったことで、日本では顰蹙を買い、中国や韓国ではいいように政治利用されたことは記憶に新しいでしょう。

● 鳩山由紀夫元首相 南京大虐殺で謝罪● 鳩山由紀夫氏、韓国でひざまずいて謝罪「心から申し訳ない」【動画】

そもそも鳩山元首相の友愛志向と習近平の「力」による国際秩序変更とは、思想背景からしてまったく相容れないものであるはずですが、鳩山氏はいつも反日国家に利用されるだけです。

日本では「ルーピー」というアダ名が浸透しており、もはや何をしても誰もが眉をひそめる存在でしかありませんが、日本国の元首相という肩書は、海外ではそれなりの力を持つと考えられます。

鳩山由紀夫氏のホームページには「たとえ揶揄されても、私には何としても成し遂げたい信念がある」と、なにやら意味ありげな言葉が書かれていますが、要するに「東アジア共同体」をつくるということが鳩山氏の信念だということです。

● 鳩山由紀夫公式HP

そもそも中国は「東亜共同体」という日中韓を中心としたアジア秩序の構築を目指してきました。当然ながら、中国の目的は東亜共同体の盟主の地位を獲得し、アジアからアメリカの影響力を排除することです。鳩山氏の東アジア共同体構想が、この中国の構想と共鳴したということなのでしょう。「何としても成し遂げたい信念」のために、アジアにおける中国の覇権を手助けすることが、鳩山氏の行動原理となっているようです。

そしてもしも中国の覇権がアジアで完成すれば、表向きには「共同体」ができたように見えます。もちろんあくまで中国の抑圧と侵略によるものですが、鳩山氏はそのときに「東アジア共同体」の推進者として名誉ある地位を獲得する、そんなことを夢見ているのかもしれません。

そう考えれば、中国の歴史戦において日本を批判する側に回り、中国の南シナ海での覇権主義について日米は黙っていろと主張し、さらには沖縄の基地問題を引っ掻き回して日本政府と沖縄との溝を深めた鳩山氏の背景にどのような思惑があるのかが見えてきます。

だいたい、アジアはEUほど各国の政治体制や文化風習が近似していません。民主主義国だけではなく、軍事政権や独裁政権の国も存在します。EUですら解体の危機にあるわけですから、こんな統一感のないアジアで共同体をつくるのはほとんど無理です。鳩山氏もそのことはわかっていて、中国の独裁体制による強権によって共同体をつくろうとしているのであれば、東シナ海や南シナ海は「友愛の海」どころか「独裁の海」になってしまうことでしょう。

実際、この世界平和フォーラムにおいて、中国軍の孫権国副参謀長は仲裁裁判所の判決を受けて、軍事力強化を表明しました。世界平和を語るフォーラムで軍事増強を明言するというのも、前代未聞のことでしょう。しかし、これに対して鳩山氏が批判したり諌める発言をしたとは伝わっていません。中国にとっては勲章に値する人物でしょう。

● 中国軍高官「軍事力を強化」表明 南シナ海判決に不満

ところで当のフィリピンですが、仲裁裁判所の判決を無視して二国間協議に応じるよう求めていた中国側の提案を拒否しました。それはそうでしょう。勝った側がなぜ譲歩しなくてはならないのでしょうか。本来、譲歩するのは負けた側のはずです。

● フィリピン、中国側の条件付き対話要請を拒否 南シナ海問題で

中国は仲裁裁判所の裁定では勝てないと思っていたため、すでに事前から「判決書はただの紙屑」「アメリカのすべての艦隊が南シナ海に押し寄せても、中国はまったく怖くない」などと豪語していました。それはまるで1900年の義和団の乱(北清事変)当時、西太后が「万国に宣戦布告」したような唯我独尊の中華思想の現れでもありました。

しかし強硬姿勢の一方では、「インドも中国を支持している」などと国民に嘘を伝えていました。そのためインド政府は「事実とまったく違う」とわざわざ否定せざるを得ませんでした。また、台湾にも共闘を呼びかけましたが、これも拒否されました。

フィリピンのドゥテルテ大統領はベニグノ・アキノ前大統領よりも中国に融和的だと言われており、仲裁裁判所の判決でフィリピン側が勝利しても、中国と天然資源を共有する用意があると発言していました。

● 仲裁裁判所の南シナ海判決尊重を フィリピンが中国に呼びかけ

そうした態度を見て、中国側は仲裁裁判所の判決を棚上げするかわりに経済的な見返りを与えれば、フィリピンもなびくと思ったのでしょう。だから外野である日米は黙っていろ、あくまで当事者間の話し合いが大切だと主張していました。これは鳩山氏の発言ともぴったり重なります。

ところがその思惑は見事に外れてしまいました。フィリピンもあくまで仲裁裁判所の判決を尊重することを求めています。もちろん日米も同じ姿勢です。中国は今後もアメとムチでフィリピンに判決棚上げを誘いかけてくるでしょう。

しかし、フィリピンの態度が決まった以上、鳩山氏も中国に対して、友愛の精神をもって判決を受け入れるよう進言するべきです。もっとも、そうなると中国にとって鳩山氏の利用価値がなくなるため、ポイ捨てされる可能性がありますが。

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『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』より一部抜粋

著者/黄文雄

台湾出身の評論家・黄文雄が、歪められた日本の歴史を正し、中国・韓国・台湾などアジアの最新情報を解説。歴史を見る目が変われば、いま日本周辺で何が起きているかがわかる!

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出典元:まぐまぐニュース!