【オデッセイHB試乗】ハイブリッド化の恩恵を実感。室内の使い勝手も◎

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自動車メディアに関わるようになって4半世紀。いきなり私事で恐縮ですが、最近、どうもミニバンが気になって仕方ありません。

以前は、せっかく試乗する機会をいただいても「ミニバンはちょっと…」といまいちココロ躍らなかったのに、今では新しいモデルに乗せてもらうたびに「コレ、いいなぁ〜」と心の奥で感心している自分がいます。なぜなのか?

◎理由1:幸せな家庭を築いて子宝に恵まれたから。…胸に手を当てて考えてみても、そのような事実はありません。そもそも、結婚してないし(泣)。

◎理由2:職場の環境が変わったから。具体的には、会社員から個人事業主になったため、モデルさん、スタッフの皆さま、撮影機材、その他もろもろを1台に積んで移動する機会が多くなり、ミニバンの頼もしさに好感を抱くようになった。…これは「アリ」ですね。でも、ココロの高まりは、実用面だけでは説明できません。

◎理由3:クルマそのものの出来が良くなった。身もふたもない理由でナンですが、ズバリ、コレですね! 最新のミニバンは、まるで“シルエットフォーミュラ”のようなんです。

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 ■“Sレンジ”を選ぶと走りの力強さがアップ!

シルエットフォーミュラとは、モータースポーツ専用のドライブトレーンを載せたシャーシに、市販車の外観を模した上屋を被せたレーシングカーのこと。

ちょっと大袈裟ないい方かもしれませんが、最新のミニバンも、重心を下げた専用シャーシに“背の高いミニバンルック”のボディを載せたシルエットフォーミュラ、といえるかもしれません。なるほど、ハンドリングがいいわけです。かつては、トラック由来のセパレートシャーシにフラットなフロアを載せて“ミニバンを構築”したりもしていましたから、大変な進歩です。

今回ドライブしたミニバンは、ホンダの「オデッセイ ハイブリッド アブソルート」。グレードは「Honda SENSING EX パッケージ」で、お値段400万円也。ご存知のように、5世代目となる現行のオデッセイ/オデッセイ アブソルートは、フロアの地上高を下げた“超低床プラットフォーム”がジマン。2013年のフルモデルチェンジで、それまでのヒンジ式4ドアのスタイルを捨て、リアに左右スライドドアを採用しました。

ホンダ オデッセイ ハイブリッド アブソルート

ハイト系ミニバンのフォルムに近づいたこともあって、「新型『エリシオン』に知名度の高いオデッセイの名を与えた」という観測もありました。軽自動車から大型ミニバンまで「背が高い方がエライ!」という風潮の中、低重心で背の低い先代オデッセイは、すっかり埋もれてしまったんですね。

ニューオデッセイは、全高が150mmほど高くなった一方、床面を約60mm下げているので、パッと見の印象ほど、運転していて腰高感がありません。旧型の「スポーツワゴンかッ!」というエキサイトメントはありませんが、そもそもミニバンユーザーは、そこは求めないでしょう。

ホンダ オデッセイ ハイブリッド アブソルート

ハイブリッド(HB)システムを搭載しないガソリン車のオデッセイは、2.4リッター直4エンジン搭載で、276万円から(よりスポーティに装ったオデッセイ アブソルートは、298万円から)。デビュー以来ライバルの、(いささか老兵とはいえ)トヨタ「エスティマ」を余裕で上まわる販売実績を挙げています。

2016年2月には、待望のHBモデルが加わりました。オデッセイ ハイブリッドが356万円から、オデッセイ ハイブリッド アブソルートが378万円からカタログに載ります。

新しいHBミニバンは、高級セダン「アコード ハイブリッド」の“i-MMD”システムを改良した“SPORT HYBRID i-MMD”を搭載。これは、2リッター直4エンジンにふたつのモーターを組み合わせたシステムです。モーターは、前輪駆動用と発電用とに分かれ、ガソリンエンジンは普段はもっぱら、発電用モーターを回すのに使われます。いわゆる“シリーズ式HB”に近い考え方ですね。

ただし、高速巡航時など、内燃機関の効率が引き出せる場面に限り、エンジンと前輪を隔てるクラッチをつないで、直接に駆動力を伝えることもあります(エンジンドライブモード)。

もちろん、走行用モーターだけを用いた“EVドライブモード”も設定され、インパネには“EVボタン”も備えます。電力を供給するリチウムイオンバッテリーの置き場所は、フロントシートの下。そのため、国産ミニバンで“最大のウリ”ともいえる、多彩なシートアレンジに影響しません。販売店で実演する営業マンも、鼻が高いことでしょう。

オデッセイ ハイブリッド アブソルートの走り出しは、いきなりトルクが立ち上がるモーターが大いに活用されます。静かでスムーズ。走行用モーターの最大トルクは32.1kg-mと、3リッターエンジン級のスペックです。ただ、HB仕様の車重はガソリンモデルより140kg重い1880kgですから、十分ではありますが、必ずしも「パワフル!」というドライブフィールではありません。

「もうちょっとキビキビ走りたいな」という向きは、セレクトレバーをSPORT HYBRID i-MMDの特典たる“Sレンジ”に入れると、アクセルペダルの踏み始めから力強さが増します。ちなみに、セレクターをDからSに移したり、アクセルを踏み込んだりすると、にわかにエンジン音が高まりますが、これは発電機をより回して、大容量の電力を供給しているから。かつてのCVTのように、実際の加速感とエンジン音の高まりがいまひとつリンクしないことがあるので、慣れないうちは少々気になります。ここらへんは、効率の追求とドライブフィールのバランスを上手に取らないといけない“クルマ”という商品の難しさでしょう。

発売から日が浅いということもありますが、オデッセイ ハイブリッド/オデッセイ ハイブリッド アブソルートの販売台数は、“純”ガソリンモデルの4倍にも達しそうな勢い。人気が出れば開発予算も追加される。今後、改良を繰り返し、SPORT HYBRID i-MMDはどんどん洗練されていくはずです。

ホンダ オデッセイ ハイブリッド アブソルート

今回は、ミニバンのドライブフィールに好影響を与えた低床化、というトピックでオデッセイを取り上げましたが、実はオデッセイより2カ月ほど後に登場したトヨタの「ノア」「ヴォクシー」も、積極的な低床化(従来比マイナス85mm)を進めています。遅れて登場した2台の姉妹車「エスクァイア」を数日間使わせていただいた時は、ミニバンらしからぬしっかりしたハンドリングに、ずいぶん感心したものです。

ひと昔前に得た悪印象から、いまだに「ミニバンはちょっと…」と乗らず嫌いになっているクルマ好きの貴方! 知らぬ間に、ニッポンのミニバンは大きく進化しておりますよ!

<SPECIFICATIONS>
☆ハイブリッド アブソルート Honda SENSING EX パッケージ
ボディサイズ:L4830×W1820×H1685mm
車重:1880kg
駆動方式:FF
エンジン:1993cc 直列4気筒 DOHC
最高出力(エンジン):145馬力/6200回転
最大トルク(エンジン):17.8kg-m/4000回転
最高出力(モーター):184馬力/5000〜6000回転
最大トルク(モーター):32.1kg-m/0〜2000回転
価格:400万円

(文&写真/ダン・アオキ)