<台湾バス火災>非常口開かなかった可能性  遺体、出口に重なるように

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(台北 20日 中央社)桃園市内の高速道路で19日、中国大陸からの観光客を乗せたバスが炎上し、子供3人を含む乗客乗員26人全員が死亡した事故。遺体の大半は車体後部で見つかり、中央部に設置された出口付近には9人が折り重なるように倒れていた。警察などによる事故原因の調査が進められる中、非常口が何らかの理由で開かなかった可能性があることが分かっている。

▽車体前方から出火

高速道路の監視カメラには事故直前、車体前方から煙を上げながら1キロ以上走行を続けるバスの姿が映っていた。目撃者によると、バスは蛇行しながら追越車線から走行車線に車線を変え、ガードレールにぶつかって炎上したという。直後に現場に駆けつけた警察官は、中から悲鳴が聞こえたような気がしたが、火の勢いは激しく、その後聞こえなくなったと話した。

国道公路警察局によると、運転手は運転席に座ったまま遺体で見つかり、そのほかの乗客はほとんどが前から5列目以降に倒れていたという。車内には8カ所に非常口があったが、開いた形跡はなく、衝突時に車体がゆがみ、正常に作動しなかった恐れがある。

また、桃園地検の調べで車体後部に設置されていた消火器も使われていなかったことが分かった。路面には急ブレーキの痕跡がなく、運転手が最後までバスを安全に停車させようと試みた可能性があるとしている。

▽バス会社「運転手と車体に問題なかった」

事故車は2010年に製造。運転手は2015年に大型自動車第二種免許に相当する大客車免許を取得したばかりで、これまでに2回、道交法違反の記録が残っていた。だが、今回の訪台ツアーを受け入れた旅行会社によると、バスに過積載はなく、交通部(交通省)観光局の定める検査でも違反は見られなかったという。

また、バス会社の関係者は運転手の労働時間について、6月17日から7月12日夜まで休暇を取っていたとし、法律上問題はなかったと強調。車体の整備についても不備はないとした。

▽過去10年間で初のバス全焼事故

台湾では2008年に中国大陸からの観光客受け入れが開始されたが、これまでにも多くの事故で中国大陸籍の死傷者が出ている。

観光局によると、2009年には台北市内で建設機械が観光バスの後部を直撃し5人が死傷。翌年には宜蘭と花蓮を結ぶ蘇花公路で観光バスが土砂災害に巻き込まれ20人が死亡、2人が負傷した。2011年には阿里山で列車が転覆し、51人が死傷。2015年にはトランスアジア(復興)航空機が台北松山空港を離陸直後に墜落し、28人が死亡、3人がけがを負った。

同部公路総局によると2006年以降に起きた大型バスの発煙・出火事故件数は37件。今回は初めて車体が全焼する事故になったという。

▽行政院、遺族らへの全面支援を表明

行政院(内閣)の童振源報道官は19日、すでに中国大陸側と連絡を取ったとし、遺族らが訪台した場合には専門の職員を派遣して必要な支援をする考えがあることを表明した。また、蘇嘉全立法院長(国会議長)も原因の究明と遺族への適切な対応を求めた。

中国大陸の対台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室も職員を派遣して遺族の支援に当たる方針を示している。

(廖壬楷、卞金峰、管瑞平、汪淑芬、陳偉テイ、唐佩君、温貴香、尹俊傑/編集:齊藤啓介)