元気な体のために腸内の健康を

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原因不明の強い疲労感が長期間続く「慢性疲労症候群」の患者は、腸内環境と血液に異常が見られ、腸内環境の改善によって症状が緩和する可能性もあると、米コーネル大学のルドビク・ジロトー博士らの研究チームが発表した。

「慢性疲労症候群」は身体的、心理的に激しい疲労を感じ、日常生活すら困難になる疾患。遺伝子や免疫異常、感染症、神経症などさまざまな説があるものの、原因はわかっておらず、治療もままならないのが現状。

ジロトー博士らは、慢性疲労症候群の生物学的マーカー(その疾患特有の指標となるもの)がないかを検証するため、患者48人と健康な成人39人の血液検査と、糞便中の微生物DNA解析をおこなった。

その結果、患者の便から採取されたDNAの種類は、健康な人に比べて極端に少なく、腸内の微生物の多様性が損なわれていることがわかった。また、抗炎症作用を持つとされる微生物も少なくなっていたという。血液検査からは、本来腸内に存在するはずの微生物が、血中に漏れ出している可能性を示す炎症マーカー(体内の炎症を示す物質)が発見された。

これらの結果をもとに、さらに数名の患者の血液と糞便を検査し、83%の精度で正しく診断することに成功している。この数値は、現在の問診を中心とした診断よりも高くなっている。

ジロトー博士は、生物学的な異常が確認されている以上、慢性疲労症候群は「気分の問題」などではなく、疾患であることは明らかであるとし、「さらに分析を進め診断方法を確立し、腸内環境を改善する食物繊維の摂取をすすめるなど、食事療法も開発できるのでは」とコメントしている。発表は、2016年6月23日、微生物分野のオープンアクセス誌「Microbiome」に掲載された。

参考文献
Reduced diversity and altered composition of the gut microbiome in individuals with myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome.
DOI: 10.1186/s40168-016-0171-4 PMID:27338587

(Aging Style)