『女性ホルモンの教科書 わたしのカラダは、私が守る』(黒住紗織、佐田節子/日経BP社)

写真拡大

 最近、芸能人をはじめ、40歳前後で出産をする女性をよく見かけるようになった。「そんな年齢でも産めるのなら、もう少しキャリアを積もうかな〜」となんとなく、安易に考えている女性も多いのではないだろうか。

 しかし、高齢出産にはあらゆるリスクが付きまとう。それを理解した上で、妊娠・出産のタイミングを選ぶのは個人の自由だが、知識がなかったゆえに、「こんなはずじゃなかった」「もう遅い」と泣き寝入りする女性が増えてしまうのは、あまりにもかわいそうだ。タイムリミットのある妊娠・出産だけではない。女性には生理や更年期など、ホルモンに左右されて起こる様々な「体調の変化」がある。「実は女性の多くが、自分の体やその変化について知らないために、『損』を積み重ねている」のだとか。

 知らなかったための「損」を少しでも減らす、女性ホルモン版「家庭の医学」とも言えるのが『女性ホルモンの教科書 わたしのカラダは、私が守る』(黒住紗織、佐田節子/日経BP社)だ。本書は12人の専門医に聞いた女性のカラダの真実を、教科書のように、基本的な仕組みから詳細に教えてくれている。

 そもそも、女性ホルモンとは一体なんなのだろうか。女性ホルモンには「エストロゲン(卵胞ホルモン)」「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類がある。エストロゲンは女性をより女性らしく、丸みある体型にさせ、骨や血管を強くするなどの役割を担っている。一方でプロゲステロンは妊娠を助けるホルモンだ。

 この2つのホルモンは、女性にとって大切なものである。女性らしい体、美肌といった「美」を保ち、母性をもたらす。病気を防ぎ、健康の維持も担い、頭をクリアにさせ、知性にも関わってくる。様々な面で、女性はホルモンの影響を受けているのだ。しかし、女性ホルモンの働きはプラスになるばかりではない。子宮に関する病気や、むくみ、便秘などの不調、情緒不安定になるなどの、マイナスな面も存在する。だからこそ、正しい知識を持ち、マイナス面をなるべく軽減するように日常生活から注意をしていたほうがいいのだ。

 例えば最近、その存在が認知されはじめた、月経前にイライラや情緒不安定、眠気、過食、頭痛、むくみなどが生じる「PMS(月経前症候群)」も、女性ホルモンが正常に働いている(ちゃんと排卵をしている)証拠なのだとか。

 PMSの症状が現れるのは、月経の1週間ほど前(排卵の約1週間後)。次第に強くなり、月経開始と同時に消える場合もあるが、いきなり強い症状が現れることも。PMSは治療で緩和させることができるので、つらいのを耐えている必要はない。

 主な治療はホルモン療法と漢方療法があり、前者では低用量ピルを服用することになる。漢方治療ではイライラや不安、月経困難などに効果のある加味逍遥散(かみしょうようさん)、激しい怒りが急に込み上げるような場合に適している甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)などがある。また、精神症状が強い場合は心療内科や精神科に相談するという方法も。「病気じゃないから、あまり薬に頼りたくない」という方には、症状を和らげるハーブの市販薬もあるそうだ。

 セルフケアで緩和をはかるやり方もある。「症状日記」をつけ、いつ、どのくらいつらいか、いつまで続くのかを記録し、「自分のパターンを知っておく」ことも大切だ。症状がつらくなりそうな期間には、重要な予定を入れないといった工夫もできる。

 また、大豆や魚を積極的に摂るのもオススメ。反対に甘い物は食べ過ぎず、きちんとした食生活を心がけることも大切だ。

 本書ではこういった女性ホルモンが引き起こす「いいこと」「悪いこと」をきちんと教えてくれ、その対処法を紹介している。PMSだけではない、妊娠・出産や更年期、子宮の病気に関することなど、女性なら、一家に一冊あっても決して困らない情報が満載だ。正しい知識をもつことで軽減できる不調があるということを、忘れないでほしい。

文=雨野裾