こんにちは、編集者/ライターの池田園子です。ライターとして食べていくためのリアルについて語る本連載、第9回目では「編集者としてのありかた」についてお話しします。

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編集者をやるまで

2012年2月、独立してライターになりたての頃は、自分が編集者の仕事をするようになるとは考えてもいませんでした。「ライターとして、ものを書く仕事で食べていくんだ」と決意していたくらい。
そんななか、気づけばいつの間にか編集の仕事をしていた、という感じです。ライターの仕事をコツコツと地道に続けていたら、知らず知らずのうちに、その周辺領域ともいえる編集の仕事が舞いこんでいた、というような。
編集者養成講座的なものに通ったこともないですし、師匠からスパルタ教育を受けたこともありません。それでも、いまこうして編集の仕事をやっています。土台といえるものがないながらも、実践で学び、吸収する日々。
今回はどのような態度、スタンスで編集者としてあろうとしているのか、考えたいと思います。

1. いまあるもの(原稿)を活かす

ライターからあがってきた原稿を見て、よりよくするのが編集者の務めだと考えています。だから、いまある原稿を大幅にイジったり書き替えたりして、自分テイストに染めあげるのではなく、料理でいうと「素材を活かす」ことに集中します。
そうできるのは幸いにも、いま私が関わっているライターさんに、丁寧な仕事をしてくれる優秀な方が多いからだと思います。これは本当にありがたいこと。
取材に同席できないこともあるため、各ライターさんの視点で書きあげられた原稿を、1人目の読者となって読みやすいような形に整えていきます。
具体的には、文章の塊ごと入れ替えたり、漢字をひらいたり……といったところでしょうか(タイトルや見出しについては後述)。基本は「活かす」ことを意識しています。
4年半、自分が専業ライターとして活動してきたため、ライターが一から原稿をまとめる苦労や大変さ、考えた上でそうしている、というバックグラウンドを理解しているつもりです。だから、ありのままの原稿を活かす発想を軸に、読者視点を混ぜながら整えていく。このスタンスは続けていきます。

2. 「半信半疑」でいようとする

1でも書いたように、編集者は1人目の読者。その原稿とはじめて向き合う人です。だからといって読者になりきってしまっては、一般読者と同じ役割となり、編集者としての役割をまっとうできません。読者としての視点を持ちながらも、編集者として客観的な目線も持ち合わせておく必要があります。
完ぺきにできているとはいえませんが、大事にしている姿勢は「半信半疑」であること。編集者だからといって、すべてを疑ってかかったり、斜に構えたりするのは極端です。「そういう見方もあるよね。でも、ほかの見方もあるのでは?」といったスタンスをとるようにしています。
これはライターとして取材をするときにも大事な考えかただと思います。取材対象者の一挙手一投足に心底感心したり、すべてを信じたりすると、取材対象者によりすぎた記事になりかねません。文字を書き、届ける者としての立ち位置を意識するなら、半信半疑というものの見方はクセづけておきたいと思います。

3. 記事タイトルに頭を悩ませる

2年ほど前、原稿のタイトルや見出しを「公開直前まで考えに考える」編集者と出会いました。彼は編集済原稿や取材対象者確認済原稿をこまやかに共有してくれますが、その度に「タイトルと見出しは直前まで考えるので、変更する可能性があります」と伝えてくれます。まだライターの仕事しかしていなかった当時、その姿勢がとてもいいな、見習うべきだな、と感じたのを覚えています。
とくにWeb記事において、タイトルや見出し、とくにタイトルは記事の「顔」ともいえる存在です。タイトルに引きがあれば記事はクリックされ、読まれやすくなります。逆にタイトルに引きがなければ、記事の内容がすばらしくても、読まれづらくなる可能性も。それではせっかく時間とお金をかけて作った記事がもったいない!
だから、最後の最後までタイトル付けは悩んだほうがいいのです。むしろ、考え尽くすべき。悩んだ結果、読みとはハズれてしまったとしても、それはそれで学びになり、次につながるはずです。

4. 中立である

基本的に、どんな相手(書き手、取材対象者)に対しても、同じ態度をとるよう務めています(相手によって態度を変えられるほど器用ではない、というのもあるかもしれませんが……)。特定の人に媚を売ったり、入れあげたりはしない。どんな相手から相談や連絡がきても、自分の態度を崩したり、変に下手に出たりはせず、中立的な態度で接します。
編集者は記事のディレクションを執り行う人。だからナメられるのもイヤですし、変におごり高ぶっているとも思われたくはありません。調整役をするのも編集者の役目なので、いかに仕事をしやすい状況を作るか、に徹するのです。そのためにも「嫌われないようにしないと」と人の顔色を伺うのではなく、自分らしさを大事にしながら、できる限りいい仕事をする――そのやりかたを貫いているつもりです。まだ編集者歴が浅く、えらそうな言いかたかもしれませんが、いまできる限りのことをやっています。

次回、最終回(Vol.10)は「編集者/ライターとして描いている未来」について考えてみます。