左奥、ステンドグラス美術館(旧高橋倉庫)、右、アール・ヌーヴォーグラス館(旧荒田商会)

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来春開設が予定されている北海道小樽市の美術施設「ニトリ小樽芸術村」。そのうち小樽運河に面した「ステンドグラス美術館(旧高橋倉庫)」、「アール・ヌーヴォーグラス館(旧荒田商会)」の2施設が、7月23日(土)に先行してオープンする。

【写真を見る】「ステンドグラス美術館」では、多くの作品が目線の位置で鑑賞できる

小樽の観光といえば最初に思い浮かぶであろう小樽運河。浅草橋を背に、右正面に見える小樽市指定の歴史的建造物が「芸術の村」に生まれ変わる。施設はいずれも小樽がかつて北のウォール街と呼ばれ、北海道の発展に大きく貢献した1923〜35年の建築物。館内では、その時代背景にあわせ、明治後期から昭和初期の国内外の美術品が展示される。

■ステンドグラス美術館(旧高橋倉庫)

1923年に大豆を収める倉庫として建てられた、木骨石造2階建ての小樽市指定歴史的建造物。前面は運河に面していて、小樽の歴史ある街並みを形成する建物の一つとなっている。館内には19世紀末から20世紀始めにかけてイギリス制作されたステンドグラスがライトアップされて浮かび上がる。作品の多くは目線の高さで楽しむことができるので、作風の違いに注目してみるのも面白い。

■アール・ヌーヴォーグラス館(旧荒田商会)

1935年に海運業を営む荒田商会の本店事務所として建築された、木造2階建ての小樽市指定歴史的建造物。アール・デコ様式を取り入れた左右対称の建物正面からは、当時のモダニズムを強く感じられる。館内には、エミール・ガレやドーム・ナンシー等の照明器具やガラスの器約100点が展示される。1階にはミュージアムショップが併設され、オリジナルグッズや、アーティスト作品、書籍などが販売される。

■日本近代絵画美術館(仮称・旧三井銀行小樽支店)

関東大震災後の1927年、当時最先端の技術が施され、耐震構造の指針とされた同館は、2017年春に日本近代絵画の美術館としてオープン予定。正面外壁に石積みの5つのアーチを連ね軒に彫刻を施した、ルネサンス様式の趣のある建物だ。内観には吹き抜けに回廊がめぐり、天井に石膏彫刻の模様が飾られている。本館では、岸田劉生の作品や浮世絵「東海道五十三次」などの美術品、別館には、ニトリが所蔵する100〜200点の著名絵画の展示が予定されている。

小樽運河の正面にあるので観光ルートとして計画しやすい。また来春には、施設横に「憩いの広場」も完成する。小樽市指定歴史的建造物の美術館で芸術作品に触れて、歴史を感じながら市街を散策してみてはいかが。【北海道ウォーカー】