14日、国民の選挙行動に詳しい松本正生埼玉大学教授が「18歳選挙権と選挙離れ社会」と題して講演。若者の多くは「自身の老後」や「親の介護」に不安を抱き、「現状維持⇒保守」志向につながり、参院選で若い世代の多数が自民党など保守政党に投票したと分析した。

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2016年7月14日、国民の選挙行動に詳しい松本正生埼玉大学教授が「18歳選挙権と選挙離れ社会」と題して日本記者クラブで講演、参議院選挙結果(7月10日投開票)の分析を披露した。若者の多くは将来の「自身の老後」や「親の介護」を不安視。「現状維持⇒保守」志向につながり、参院選で若い世代の多数が自民党など保守政党に投票したと分析した。また制度や組織、団体について、どの程度信頼しているかを尋ねた設問に対し、「政党」「国会」よりも、「マスコミ」に対して「信頼できない」との回答が多数を占め、若い世代の信頼を失っていることが分かった。

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NHKの全国の18〜19歳を対象とした「政治と社会に関する若者意識調査」(15年11〜12月実施、)によると、「自分の人生で不安だと思っていること」についての設問に対し、「就職」との回答が64%と最も高かった。以下「結婚」(36%)、「就職」(34%)と並んで「老後の生活」が34%に上り、「親の介護」を挙げた人も29%に達した。毎日新聞の高校生・大学生対象調査(16年4月実施)でも「老後の生活」(29%)「親の介護」(23%)が上位を占め、同様の結果となった。

これらの調査結果は、若い世代が将来の老後や親の介護を早くも不安視している実態が示されたもので、「自身の将来が見えない」ことへの不安を抱いていることは注目すべきである。この不安は(冒険よりも)とりあえずの「現状維持⇒保守」志向につながり、参院選で若い世代の多数が自民党など保守政党に投票したことが、各種出口調査などで判明している。

若者の政治意識は、さいたま市の高校生を対象とした「政治意識・選挙に関する意識調査」(15年9月実施)でも鮮明になった。「あなたは、次の制度や組織、団体について、どの程度信頼していますか」との設問に対し、「政党」「国会」は「あまり信頼できない」「ほとんど信頼できない」が合わせて54%〜63%に達し、マイナスのイメージが強い。「マスコミ」に対しては、高校3年生で「あまり」「ほとんど」を合わせ「信頼できない」は64%とさらに厳しい結果となった。本来真実を伝えるべきメディアが信頼されていないのは、驚くべきことと言える。

一方で、中高年世代の投票率も低下傾向にあり、「若者より中高年世代の投票率が高いため中高年の意向が政治に反映されやすい」とする「シルバー民主主義」といわれる現象は実態を表していない。国民全体の選挙離れは深刻で、社会のエネルギーがなくなっていることが反映されている。(八牧浩行)