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●IIJ IoTサービス概要
私たちの身の回りのモノが、続々とインターネットに繋がる時代がやってくる。家電製品のほか、家具、洋服、乗用車といった生活必需品に加え、街角の公共サービスなどにも”IoTデバイス”が組み込まれ、私たちの暮らしを便利に変えていくことが予想されている。そのような来たるべき未来に向けて、企業側はどのような準備を進めているのだろうか――。インターネットイニシアティブ(IIJ)は19日、IoTサービスに関する記者説明会を開催。今後の展望を明らかにした。

○IoTに必要な技術をワンパッケージで提供

IIJは日本のインターネット黎明期を支えてきた、いわゆるインターネット事業者の老舗。最近ではスマートフォン向けに格安SIMサービス「IIJ mio」などを展開している。同社では現在、IoTの必須技術をワンパッケージにして企業に提供するB to Bサービスの準備を進めている。様々な業種に向けて安価なサービスを提供していくという。IIJのこうした取り組みは企業の負担を減らし、ひいては国内のIoTサービスの普及を早める可能性がある。

IIJが企業向けに提供するのは、(1)インターネット回線によるコネクティビティ、(2)独自開発したIoT対応のゲートウェイ機器、(3)機器の管理やビッグデータの解析などを行うプラットフォームの基本機能の3つ。2016年にトライアルサービスを開始し、2017年に本格的なビジネス向けサービスとして展開する予定。利用料金は試算中で、すべて含めても月額1,000円ほどになるという。

IIJクラウド本部 服本部長の染谷直氏は「多くの企業がIoTで何をしたら良いか、何ができるかを考えている。しかしIoTを活用したサービスを実現するには、幅広い領域における技術が必要になる。このため1社ではイノベーションを起こせないでいる」と、いま企業側が抱えているジレンマを指摘する。IIJによるコネクティビティ、ゲートウェイ機器、プラットフォームの一括提供は、IoTサービスの開発に挑む日本企業を強力に後押しすることだろう。

IIJクラウド本部 ビッグデータソリューション課長の岡田晋介氏は、同社が提供するサービスの強みについて解説した。まずコネクティビティについては、現在120万回線の利用者を抱えるIIJ mioの運営能力をアピールする。「2020年には700万回線まで増やすべく、設備投資を続けている。MVNO事業者だからこそ実現できる、IoTに最適なモバイル環境、ネットワークサービスを提供していきたい」と岡田氏。

2020年には全世界で約500億、国内だけでも27.5億ものデバイスがネットにつながる(つまりIoT化する)ことが予想されている。デバイスが増えればメンテナンスの手間も増える。そこでIIJのサービスでは、大量のセンサーを自動で管理できるシステムを用意した。人の手を介さずに状態を監視できるほか、障害の予兆も検知できるという。

この日、IIJが発表した内容は概念的なものが多かった。今後、段階的に具体的な情報が発表されていく見込みだ。岡田氏は「IIJの将来に向けてのIoTサービスの取り組みに、今後ともご期待いただければ」と話していた。

●ソフトバンクのARM買収については
○IIJが持つ強みは

発表会の最後に質疑応答の時間が設けられた。IIJの提供するIoTサービスには、大手キャリアと競合する部分もありそうだ。このことから「全国にモバイル網を張り巡らしている、大手キャリアの方が有利ではないか」との質問があがった。これに対し、IIJ常務執行役員ネットワーク本部長の石田潔氏は「IIJではキャリア間の相互接続を行っており、そうした技術を有効に活用できる。IoT用途に最適な環境を、適切な価格帯で提供できるのも強み。また、デバイス管理技術については20年近く改良と改善を重ねてきた。コンセントを挿したら起動する、そんな簡単なイメージでIoTサービスが利用できる。このほか、セキュリティについても技術的なエッセンスを積み重ねており、真のIoT時代にふさわしいセキュアなサービスを提供できる」と回答した。

現在、一般企業においてビッグデータはどの程度まで活用されているのだろうか。それについて問われた鈴木会長は「あまり本格的には使われていない」と、やや意外とも思われる回答を口にした。現行のプロセッサは処理速度が遅く、このため特殊な用途でしか使われていないという。「だからといって、何もしないというわけにもいかない。IIJでは様々なコンセプトに対して、積極的に対応していきたいと考えている」と鈴木会長。「今後この分野で大きな技術革新があるとすれば、それは新しいプロセッサの出現と同時に起こる」との見方を示した。

またプロセッサの話題に絡み、ソフトバンクがARM社を買収した件についてコメントを求められると、鈴木会長は「ソフトバンクさんがIoTをどう捉えているのか分からないので、答えにくい。私は工場の生産現場で、IoTの新しい技術が何に応用できるかを常々考えてきた。孫さんは別な考えをお持ちだろうし、今回の買収について私からコメントすることは何もない」として明言を避けている。

(近藤謙太郎)