『週刊プレイボーイ』が手がけた『AKUA』

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 約20年ほど前、つまり私がまだ30代前半だった若かりし頃の話である。『宝島』という、当時はサブカル誌だった週刊誌(隔月誌だっけか?)の編集部から「ゴメスさんのヌード写真を撮らせていただけませんか?」とのオファーをいただいた。

 私の最初のリアクションは、もちろん「はぃ?」だ。編集部サイドの意図がまったく読めない。詳細を聞いてみると、決して冗談ではなく、お笑いでもなく、アダルトでもない、大真面目な4ページの断ち落としグラビア企画で、しかも基本的にはパンツもはかない「丸出し」が条件で、「男のカメラマンが撮る恰好良い男のヌード」と「女のカメラマンが撮る美しい男のヌード」はどう違うのか、を検証するという至極芸術的な試みであった。

 さすがの私も迂闊な即答はできない。まるでヘアヌードを迫られた女優や元アイドルのように3日間ほど悩みに悩み抜いて、結局は受けることにした。「まだキレイなうちに生まれたままの姿を写真に残しておきたくて…」といった、まるで誰にも内緒でセルフヌードにひっそりチャレンジする三十路手前のOLみたいな動機が、最終的には私の背中を一押しした。

 男カメラマンが撮った写真はとてもシンプルだった。モノクロで陰影をバキバキにつけ、身体中にオイルを塗ってテカテカにテカらせての仁王立ち。おそらく公然わいせつ罪(刑法第174条)に該当するだろう部位は影と角度で隠す手法だった……と記憶する。

 女カメラマンが取った写真はわかりやすくフェミニンだった。オールカラーで、今で言えば蜷川実花っぽい、コントラストを極彩色風に飛ばしながらの、ふわっとしたテイスト。身体中に薔薇を巻き付けられ、ポーズはクネクネ系。薔薇のトゲで肩の辺りや股間の周辺が生傷だらけになってしまい、「コイツはわりに合わねえねぁ…」と、ちょい不機嫌になってしまった……記憶がある。

 さて。なんで今日の私が、こんな唐突な想い出トークにここまでの文字数を割いているのかといえば、たとえ被写体が同じであっても、“いい写真”の解釈が男女間でこうも違いがあるのか……と、サプライズをcitrus読者の皆さんと共有したかったからに他ならないのだが、今宵のネタは「深キョン」こと深田恭子である。

 女優の深田恭子(33)が、7月23日に写真集『This is Me』『AKUA』(ともに集英社)を2冊同時に発売することが明らかになった。同社の女性メイク誌『MAQUIA』と男性情報誌『週刊プレイボーイ』がそれぞれに責任編集したもので(ダブりカットは一切なし)、オールハワイロケで撮影されたのだそう。

 『MAQUIA』が手がけた『This is Me』は、「女の子が見たいセクシー」をテーマに、同性も憧れる美肌、美ボディに迫り、その類いまれなるパーツの美しさを切り取って凝縮。「今まで見たことのない深キョン」が満載となっている……らしい。

 対する『週刊プレイボーイ』が手がけた『AKUA』は、サーフィン・プールでの水中撮影・ビーチバレーほか、こんがり日焼けした健康的な小麦色の肌が露わとなり、「やっぱり、深田恭子が大好きだ!」と感嘆せずにはいられない完成度となっている……らしい。

 大雑把に言ってしまえば、私のヌード撮影と同様、「女性(誌)と男性(誌)の両目線で美を追求(笑)することを主旨としている」わけだが、これらの写真集を男性はともかく、はたして女性が2千円以上ものお金を払って、わざわざ購入するかどうかは、ゴメス的に疑問である。

 最近、深キョンのアンチエイジングぶりが多くの女性にもけっこう支持されているようなので、仮に『MAQUIA』誌面で10ページブチ抜きのグラビア特集などを組んだなら、それなりに売り上げには貢献するのかもしれない。ただ、女性が同性の写真集を部屋にオブジェとして置いておきたいのは、ミランダカーだとか、そーいう「人種としてリアリティのないヒト」、すなわち骨格が日本人離れしている“ガイジンモノ”だったりするのではないか?

 このニュースだけから判断するかぎり、私は結局のところ「購入するのは両方とも男性なのでは?」と予想する。いや、むしろ「健康的でアクティブな写真集」よりも、「類いまれなるパーツの美しさ(→エロさ)を切り取って構成された写真集」のほうが、男のフェティズムをより喚起しかねない……くらいに思っている。

文=citrus山田ゴメス