『桐島、部活やめるってよ』の朝井リョウによる青春スポーツ小説のアニメ化『チア男子!!』。こっちは部活を辞める話じゃなくて、新しく部活を始める話だ。先週放送の第2話「始まりのチアスマイル」を振り返ってみよう。


ずっと続けてきた柔道を辞めた大学1年生のハル(演:米内佑希)は、幼なじみで親友のカズ(演:岡本信彦)の誘いで男子チア部創設に加わることになる。最初にやってきたのはやたらと名言を言うメガネ男の溝口(演:杉田智和)。3人でスタートした男子チア部だが、大会に出るにはもっと部員が必要で……。

最初にメールで問い合わせてきたのは、遠野浩司(演:林 勇)という男。ハルたちが会ってみると、そこにいたのは運動経験ゼロ、体重100キロを超えるポッチャリ系男子……。OPの映像を見れば、彼が男子チア部のメンバーに入ることはわかっているんだけど、イケメンでもないしスマートでもない彼が、どのようにメンバーに加わるか興味津々。ところが「チアはポジションごとに適した体格があるから」とカズはあっさり受け入れる。おお、懐が深いぞ、チア男子。

“トン”と呼ばれることになった彼が、男子チアをやろうと思った動機は「変わりたくて……」というもの。ここで長々と自分語りをしなかったトンも立派だが、根掘り葉掘り聞き出さず「そっか!」と一言で受け止めたカズも立派。さわやかさっていうのは、見た目とかじゃなくて、こういうやりとりから生まれるものだ。

ここで溝口による今週の名言。
「Today is the first day of the rest of your life. (今日はあなたのこれからの人生の最初の日です)」

これは99年に公開されたケヴィン・スペイシー主演の映画『アメリカン・ビューティー』に登場する言葉。仕事に疲れ、冷え切った家庭にも疲れた42歳の中年男が、チアリーディングをしている娘の美しい友達に恋をして自己変革を行うというお話(そしてその過程で一家は崩壊する)。この年のアカデミー賞で作品賞を受賞した名画だ。さすが溝口、いい映画見てるね。

さらにメンバーを拡充しようとするカズは、チャラいテニスサークルに所属していて、たしかにチャラいんだけど見事なタンブリングを見せた2人の男、イチロー(演:桑野晃輔)と弦(演:小西克幸)に目をつける。見た目もチャラいイチローと弦だが、彼らの喋る関西弁がそれを一層加速させている。こんなコテコテの関西弁、最近東京ではテレビの芸人以外聞く機会がないなぁ。

しかし、カズは彼らが使っていたタオルの寄せ書きに目をつけていた。仲間たちに寄せ書きされるほど熱く何かをやっていた連中が、チャラいテニスサークルで満足するはずがない。だから勧誘に乗るはずだ、と。関係ないけど、テニスサークルの先輩の演技がまるっきりオリエンタルラジオの藤森みたいな感じなのがおかしい。

数日後、大勢の学生たちの前で勧誘のパフォーマンスをするハル、カズ、溝口、トンの4人。ちょっと薄笑いな感じで見られている4人だったが、そこへ華麗にイチローと弦が合流! 薄笑いは歓声に変わった! これで男子チア部は6人に!

スマートなイケメンばかり集めりゃいいってもんじゃない


『チア男子!!』という作品のテーマの一つに「多様性」というものがある(と思う)。チアリーディングという、ある意味見た目も問われるスポーツをやろうとする中で、スマートなイケメンばかりを集めるのではなく、メガネの変人・溝口や体重100キロのトンを即座に受け入れるのは、(メンバーが足りないからという理由があるからとはいえ)多様性の肯定を意味しているのだと思う。OP映像を見ると、きっと今後も思いっきり差異を抱えたメンバーが続々集まってくるようだ。

均質なものの中から微妙な差異(個性)を見出して愛でたり憎んだりしてきたのがこれまでの日本社会だとしたら、これからはこうした思いっきり差異のある集団を活かしていく社会に舵を切っていくことになるんじゃないだろうか。って、話、デカくなりすぎ?

ところで、カズは集めようとしている初期メンバーの数を「7人」に設定している。大会に出るための正規のメンバーは16人だが、なぜ7人なんだろうか? 理由は後々わかってくるのだろうが、黒澤明監督の名画『七人の侍』からAKB48の“神7”まで、こういう物語の初期メンバーの数はやっぱり7人でなくっちゃ、という気もする。

そこで本日放送の第3話は7人目のメンバーが登場する「7人目のリスジロー」。予告で溝口が「リスの王に俺はなる!」と言っていたのは何だったんだろう……? ちなみに溝口は劇中でも「俺は浪人だ! お前は浪人にはしてやらない! フハハハ」とわかりにくい聖飢魔IIギャグ(「お前も蝋人形にしてやろうか」)を飛ばしていた。今週もきっと溝口は活躍するぞ! ゴー・ファイ・ウィン!
(大山くまお)