小学校の時に星新一さんの作品で「読書家」として自覚を持った ------アノヒトの読書遍歴:姫乃たまさん(前編)

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 地下アイドルとして、ライブ活動を中心にアイドル活動やDJ活動などを行っている姫乃たまさん。その一方で、アダルト系の雑誌やWEBサイトなどのライターとして執筆活動も行っており、2015年9月には自身の地下アイドル生活を綴った『潜行』を刊行しました。今回は、そんな姫乃さんに日頃の読書生活について伺ってみました。

------まず最初に、姫乃さんと「本」との出会いについてお聞かせください。
「私はすごい読み書きがはやい子どもでした。ちっちゃい頃からずっと本ばっかり読んでいて、なので具体的にいつという記憶はないのですが......小学生の時は星新一さんの小説を読んでいましたね。星新一さんの作品はなんていうか『自分は賢いんだな』『自分は本を読めるんだな』って子どもに思い込ませるのに最適。彼の本で私は読書家なんだと思うようになって本を読むようになり。それをきっかけに小説が好きになって、それからは小説ばっかり読んでいました。高校に入ると『自分は漫画を読めない』ってことに気づいて、藤子・F・不二雄さんのSF短編集を読んだあと、鮪オーケストラさんの漫画に出会って、それから漫画を読むようになりました」

------今は漫画を多く読まれる感じでしょうか。
「そうですね、最近だと原哲夫さんの『花の慶次』にハマっています。ブックデザインがすごく好きで......そもそも『紙』が好きなんですよね、紙とインクの感じが。今電子書籍とかすごくはやってるじゃないですか。でも今まで一度も読んだことがなくて。いまだに本で全部買っちゃいます」

------なるほど。これまで小説や漫画などさまざまな本を手にする中で、特に印象深かった本はありますか。
「北尾トロさんの『男の隠れ家を持ってみた』。これは、主に業界の"裏ネタ"を掲載する月刊誌『裏モノJAPAN』でずっと連載されていたエッセイです。北尾トロさんが自分の芸名を使わずに一つの部屋を借りて、そこで生活してみたというお話なんですが、最終的に『芸名じゃない本当の自分』がどういう人間かってことに気付いていくんです。私は地下アイドルとして活動していることもあってすごく重なるところがあって。お守りみたいに大事に持っているので、すでにボロボロになっています(笑)」

------具体的にどんな内容が書かれていますか?
「北尾さんが近所の見知らぬバーに入ってみたり、『夜寝れない』とかそういう話ばかりで、本当になんだろうな......なんでもないことの連続で。連載時はリアルタイムで読んでいなかったんですけど、連載としてこれで大丈夫だったのかなあって思うくらい何も起きないんですよ。淡々と読みやすい文章で綴られているんですが、最後まで読んでいくと、すごくグッとくる思いに駆り立てられます」

------特に共感を持った部分があればお聞かせください。
「やっぱり地下アイドルって長く続けられる職業ではなくて、だいたい3年目ぐらいで辞めてしまう人が多いんですけれども、今私が7年続いているのはこの本のおかげなんです。この中に『自分が楽をするために北尾トロとして振る舞うことが日常的になっていたのだと思う。臭いものに蓋をするように私生活の部分まで北尾で埋め尽くせば、現実を先延ばしにすることだって簡単だから』という一文があるんですけれども、私も私生活の自分よりも『姫乃たま』っていう人物に自分の欠点とかを結構押し付けていて。以前、活動が嫌になった時があったんですが、『それで嫌になってたんだな』ってこの本で気付けたんです。なので私にとっても大事な本なんです」

------ありがとうございます。後編では、姫乃さんが影響を受けた本について紹介します。お楽しみに。

<プロフィール>
姫乃たま ひめのたま/東京都出身。アイドル。地下アイドルとしてライブハウスなどで活動を続ける傍ら、DJや司会、モデルも兼任する。アイドルとして活動を始めたきっかけは、「助っ人としてステージに上がってほしい」というアイドルの知人の誘いだったという異例の経歴を持つ。アイドル活動と並行して、執筆活動にも従事。アダルト系の雑誌やWEBサイトなどでライターとしても活動を行い、2015年9月には自身初の単著本『潜行〜地下アイドルの人には言えない生活』を上梓した。