更年期の不眠対策に新提案! 薬いらずの改善策「認知行動療法+睡眠日記」

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閉経を迎える前後の45〜55歳頃、女性ホルモンのエストロゲンが減少することで月経異常やめまい、倦怠感やほてり、のぼせ、不安感といったさまざまな症状が起こりやすくなる「更年期障害」。
症状の1つとして、不眠をはじめとした睡眠障害が高頻度で起こるそう。「入眠しにくい」「夜中に何度も目が覚める」といった症状がほてりやのぼせと併発して起こることも多く、そのつらさは一般的な不眠症以上なのだとか。
そんな更年期障害による不眠の緩和に、電話による「認知行動療法」と、「睡眠日記」をつけることが効果的だという興味深い報告があります。

更年期障害を治すべきか? 不眠を治すべきか?

更年期特有のほてりやのぼせ、不安感が原因で不眠が起こっているなら、まずは更年期障害に必要な処方薬で対応しようと考える人も少なくないはず。
一般的に更年期障害の治療法は「ホルモン補充療法」「漢方療法」「その他薬物療法」になりますが、特にホルモン補充療法については不正出血や乳房・下腹部のハリなど、人によっては副作用が出ることもあります。また、健康保険適用のものから自費治療のものまで、治療費にもばらつきがあるのも悩ましいところ。
 
つらい症状ではありますがすぐに命に関わる症状ではないため、副作用やコスト面で不安を感じた人の中には、時間が経てば治ると信じて治療を選択しない人も多いのです。

不眠症治療法として高い効果を上げている「認知行動療法」

薬を使って更年期障害の症状を抑えるのではなく、不眠を改善するアプローチ方法があります。副作用のおそれのない自然な形での治療を望む女性に向けた不眠治療として考えだされた「電話による認知行動療法と睡眠日記」という手法に、高い効果が見られることが報告されました。
 
認知行動療法は、薬を使わない睡眠障害の治療法として近年注目を浴びています。メリットとしては、副作用がなく、再発しづらいこと。さらに電話での診察であれば、通院の面倒が省けてストレスが軽減することも大きなメリットです。
一方デメリットとしては、薬の服用と比べて効果が出るまでに時間がかかり即効性がないことや、習慣を変える労力が必要になることが挙げられます。
 
実際に米国立衛生研究所が設立した更年期障害のための戦略開発チームでは、40〜65歳の中等度の不眠症と更年期特有のほてりを感じた経験を持つ女性100名を被験者に、以下の条件で認知行動療法と睡眠日記の効果を実証しています。
 
●睡眠日記(ベッドに入った時間/朝目覚めた時間/途中で目が覚めた回数など)をつけてもらう
●合わせて、ほてりの頻度/重症度/回数なども毎日書き留めてもらう
●被験者の約半数の53名には、睡眠コーチによる電話での認知行動療法(8週間で6回、1回30分未満)を受けてもらう
 ※具体的に睡眠コーチが指導した内容は以下のとおり。
 ◯ベッドに睡眠とセックス以外の行動を持ち込まず、ベッドと睡眠の関係性を強化すること(メールや読書、TVも禁止)
 ◯同じ時間に起き、同じ時間に寝て、昼寝をしないこと
 ◯心配事や不安があるときには「建設的」に考えること
 ◯寝る30分前の行動を入眠しやすい状態にすること(照明を暗くする、カフェインを摂取しない、夕食後の飲酒の禁止、寝室の温度を少し下げるなどの管理)
●残りの半数には、閉経期の食生活や運動に関する指導を受けてもらう
 
その結果、認知行動療法を受けたグループのほうが不眠症重症度スコアが9.9ポイント低下し、大きく改善。閉経教育を受けただけのグループも4.7ポイント低下と改善が見られましたが、認知行動療法を受けたグループのほうが優位に改善したことが報告されました。

よい睡眠のためには、改善すべき点を明確にすることが大切

睡眠日記で記録をつけることで得られるメリットは、自分の睡眠時間やパターンがつかめることにあります。
入眠がスムーズでない人は「寝床=眠れない場所」と無意識のうちに脳に擦り込まれていることが多く、ベッドに入った途端不安に襲われたり、目が覚めてしまったりすることも。
しかし、睡眠日記により平均入眠時間の目安がわかれば、無理をして早めに寝床に入らなくても、入眠時間や睡眠時間を逆算して適切なタイミングで寝床に入ることができるようになるので、「寝床=眠れる場所」という思考パターンに変わってきます。
 
睡眠日記をつけることで明らかになった睡眠パターンが悪いものであっても、それを気にする必要はありません。睡眠をどう改善すればよいのかとなんとなく悩み続けるよりも、睡眠日記によってどこをどう変えるべきかをはっきりさせ、きちんと対処することが睡眠改善の大きな一歩となるのです。
 
つらい更年期障害の症状ですが、不眠だけでも改善されればかなり楽に感じられるはず。日本で認知行動療法を受けられるクリニックはまだ少ないですが、電話での診察が可能なところもあります。薬に頼らずどうにかしたい! というときは、問い合わせてみましょう。

 

参考
PsychCentral
Telephone Therapy, Sleep Diary Can Aid Sleep in Menopause

※1 Susan M. McCurry, et.al; JAMA Internal Medicine; May 23, 2016. Doi. 10.1001/jamainternmed.2016.1795
Telephone-Based Cognitive Behavioral Therapy for Insomnia in Perimenopausal and Postmenopausal Women With Vasomotor Symptoms

photo:Thinkstock / Getty Images