日本の“きめ細かいサービス”をお手本に米国で成長するメンズアパレル

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「お買い得」なだけでは顧客を得られない

米国のビジネスといえば、まずは大量生産と大量消費。大手のショッピング・サイト、もしくはデパートやスーパーマーケットなどはその典型であり、現在ではAmazonを筆頭とする大手のショッピングサイトも、同様の経営手法であることは言うまでもない。

「なんでも手に入る」「しかもお買い得価格で」が彼らの訴求項目であり、長年そのようなビジネスモデルは米国、そして世界を席巻してきた。

しかし彼らはその扱い商品の多様性故に自らの首を絞めることが多いのも確か。

「なんでも手に入る」ということは、何が目的のものなのかを把握していない消費者にとっては、購買の際の選択がますます複雑かつ面倒になるばかり。

日常的にオンラインで洋服を購入している女性ならご理解いただけるのではないだろうか。

すべてのドレスを見て回るわけにはいかない以上、ネットや雑誌などを経由したなんらかの形での「情報提供」を受けなければ、最終的な購買には至らない。

このような傾向はネットの普及でますます顕著になった。

ECサイトでの洋服購入は困難

ましてや、ファッションに無頓着だったらどうだろう。

普段着を買うときでさえ選ぶのが面倒という男性は少なくなく、購入後にサイズが多少合わなかったり、デザインが今ひとつに似合ってなかったりということは多々あるだろう。

カジュアル志向が強い米国で、ジーンズが人気となった背景には、こういう事情もあるのである。

自分のサイズをよく知らなくても、目に付いたものを試着して購入すればいい。こういう層はオンラインでの購買には全く向いていない。

しかしだからこそ、そこに市場があると踏んだ目利きのビジネスマンがいる。ブライアンとアンディだ。

ずぼら男性に至れりつくせりのサービス

彼らが起業した「ボノボス」は、男性用のカジュアル衣料だけを扱うオンライン・ショップ。

高品質の衣料を扱うという意味でまさに「ちょいリッチ」ビジネスだ。

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品の良いデザインに、生地も縫製も米国の標準を大きく上回る品質で、かつ購買の際の気配りの効いた顧客サービスで急成長してきた。

サイズなど購入の際の選び方をきめ細かく提示し、コーデネートもアドバイスするなど、ずぼらな男性向けに至れりつくせりのサービスがボノボスの最大の特徴。

購入ができない実店舗

しかも彼らはオンラインでのビジネスでありながら実店舗も持つ。

しかし店舗では製品の販売を行わず、あくまでサイズのチェックや色合いの確認など、カスタマーサービスの一環を担うのみ。

彼らがその店舗を「ガイド・ショップ」と呼ぶことでも彼らの手法が見て取れる。

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ちなみに「ボノボス」とはお猿さんのこと。「現代では猿でもパンツくらいは履くべきだ」とのジョークからの命名だという。

そう、ボノボスは当初は男性用のパンツのみを扱うサイトとしてスタートしたのである。

きめ細かいサービスは日本から学ぶ

非常に興味深いのは、彼らがオンライン経由で提供するサービスを彼ら自身が「ニンジャ」と呼んでいること。

きめ細かく、しかし出しゃばらないサービスは、日本から学んでいるのだという。

日本では、きめ細かな接客などはごく当たり前のこと。

この日本での「ごく当たり前」は、世界では「とても優れたもの」であることが多々あるのである。

当然のようにボノボスは顧客からの評価も高く、現在は3万人を超える購買客の殆どがリピーターなのだという。

他の商品を扱わないことで、自らの分野での先鋭化を目指す。

サービスを充実させ、顧客の信頼を得る。スーパーマーケット的なビジネス・スタイルが主流の米国では、やや異端な経営方針と言えるだろう。

しかし本来日本の良質なビジネスとは、彼らのようなスタイルであったはず。今でも古い商店街に行けば、「◯◯だけ」「◯◯専門」と言った老舗を多数見ることができる。

日本人、そして日本のビジネスは本来の美点を取り戻すべきだろう。

そうなればその価値を理解し、適切な対価を支払うえる消費者層はまだまだ世界各地に多く存在している。

本来の自身の業務分野により一層集中するだけで、それを求める潜在需要がはっきりと浮かび上がってくるということをお伝えしたいのである。