羊羹の虎屋は創業480年の老舗和菓子企業。500年近く続く長寿企業は世界でもあまり例を見ない。この超老舗企業の17代目社長、黒川光博氏も1991年に社長就任後、新しいタイプの店舗展開や商品づくりを手掛けている。同氏はが講演し、長寿の秘訣を語った。

写真拡大

贈答物といえば「虎屋の羊羹」。創業480年の老舗和菓子企業、虎屋は京都で創業し、16世紀後半に後陽成天皇に和菓子を献上して以降、皇室御用達の製菓業となった。明治維新を機に東京に進出。その後も百貨店での販売を始めるなど、時代の変化に即応して会社を変えてきた。500年近く続く長寿企業は世界でもあまり例を見ない。

和菓子は贈答需要の落ち込みなどから、1993年の6000億円をピークに国内市場が縮小、昨年は4450億円とチョコレート菓子の5040億円に抜かれた。製造販売する企業も減少の一途をたどっているが、虎屋は多くの新機軸を打ち出して売り上げも順調。この超老舗企業の17代目社長、黒川光博氏も1991年に社長就任後、新しいタイプの店舗展開や商品づくりを手掛けている。同氏は日本記者クラブでこのほど講演し、長寿の秘訣を語った。

(1)海外への進出

1980年、先代社長のときにパリに出店した。フランス人に受け入れられる商品企画に苦労したが、15年ほどかけて軌道に乗せた。「海外で羊羹?」という声もあったが、各国で展開している。外国人の好みに合わせ、黒色だけでなく白、赤、青、緑などカラフルな商品をつくり好評だ。国内市場が人口減少で頭打ちとなる中、「羊羹を世界へ」が目標。チョコレートは世界中に広がったが、カカオ豆とミルク、砂糖による製法が生まれたのは、たかだか170年ほど前。羊羹も、100年ぐらいかければ世界に普及させるやり方は必ずある。

(2)伝統は革新の連続

2003年に若い女性など新しい顧客を開拓するため、和洋の素材を組み合わせた創作菓子の「TORAYA・CAFE(トラヤ・カフェ)」1 号店を東京・六本木に開設。07 年にはギャラリー併設の東京ミッドタウン店をオープンし、静岡県御殿場市に広大な庭園を備えた「とらや工房」も開設した。環境が変われば自然に、自らを変化に順応させる。

(3)のれん分けせず

虎屋ではのれん分けをしない。兄弟がいても虎屋に入るのは1人だけで、「1代1人」を貫いてきた。老舗食品会社や料亭などで「のれん分け」するケースが多いがお家騒動になるケースが後を絶たない。

(4)美味しい和菓子をつくれば結果はついてくる
伝統的に儲けることへの執念は薄く、喜んで食べてもらいたいという「経営理念」を貫いた。小豆は良質の北海道産を使用。日持ちさせるための添加物も一切使用していない。

(5)女性と若手の積極活用

社員約900人のうち、女性は7割。女性が率先して店頭で顧客の意向、好みを探り、改善に生かす。お釣りなどにも気を配り、客を待たさない工夫をしている。新型店舗の企画にあたっては、入社4年目の女性が一番いいアイデアを持っていたので、彼女に任せたこともある。若手を鍛えるなど人材育成に力を入れる。(八牧浩行)