■アンバサダーシェフ直伝の最高の焼き方

 昨年に引き続き、衰え知らずの肉ブーム。

 中でも注目されているのは肉のうまみが凝縮した赤身肉で、とりわけニュージーランド牧草牛は“赤身=硬い、くさい”というイメージを覆し、知名度がグングン上昇。これまではレストランでしか味わえなかったニュージーランド牧草牛だが、流通量に限りはあるものの、オンラインショップでも取り扱われるようになったことも人気に拍車を掛けている。

 折しも6月、ニュージーランド牧草牛の魅力をPRするために、ニュージーランドきっての有名レストラン「ネロ」のオーナーシェフ、スコット・ケネディ氏が来日。家庭でのちょっぴりステキなディナーやバーベキュー・パーティーの主役になり得るニュージーランド牧草牛、その調理のコツを教えてもらった。

1 焼きはじめる15〜20分前に冷蔵庫から出して、肉を常温に戻す。焼きムラをなくし、芯まで熱を届かせるための準備だ
2 グリルを十分温めておく
3 肉の表面にオリーブオイルを少量塗る。これは焦げ付き防止と、しっとりとした焼き上がりを実現するため
4 肉汁がもれないよう、直前に粗塩を振りかけて焼きはじめる。肉が2枚以上ある場合は、肉と肉の間にスペースを十分空けておくことも大切
5 表面に焼き目をつけ、一回だけひっくり返す
6 好みの加減に焼き上げたら、5〜8分ほど休ませてから食卓へ

衰え知らずの肉ブーム!失敗しない赤身肉のおいしい焼き方
牧草牛とは、穀物ではなく、栄養豊富な牧草だけを食べて育てた牛のこと。ニュージーランド牧草牛の場合、無農薬の牧草を食べ、しっかり運動しているため、穀物牛の約40%という低脂肪でありつつ、鉄分や体脂肪の燃焼を促す共役リノール酸は穀物牛の3倍。オメガ3脂肪酸や亜鉛なども穀物牛より多く含まれるなど、ヘルシーな肉であることも注目されている理由だ

ビーフ アンド ラム ニュージーランド

衰え知らずの肉ブーム!失敗しない赤身肉のおいしい焼き方
バーベキューグリルは早めに準備しておく。木炭を筒状に並べて、その中心に着火剤を置くと火付きがいい。木炭に火が着いたら、焼き網や鉄板、スキレットをしっかり熱しておこう

衰え知らずの肉ブーム!失敗しない赤身肉のおいしい焼き方
常温に戻した肉の表面にオイルを塗る。脂肪分の少ない赤身肉でも、しっとり焼き上がる

衰え知らずの肉ブーム!失敗しない赤身肉のおいしい焼き方
塩をふることで加熱時に素早くうまみを閉じ込められる。味わい深い粗塩がベスト

衰え知らずの肉ブーム!失敗しない赤身肉のおいしい焼き方
加熱後しばらくすると肉表面に肉汁が浮いてくるので、必要以上に肉に触れたりひっくり返すことはせず、がまん!

衰え知らずの肉ブーム!失敗しない赤身肉のおいしい焼き方
焼き上げたらアルミホイルで包み、木の皿の上で休ませる。こうすることで肉汁が落ち着き、切り口から流れ出にくくなる

■赤身肉は鉄板焼きのほうが失敗が少ない

 脂肪分が少ない赤身肉は、いかに肉汁をとじこめるかがポイントだ。待ちきれずにつついたりひっくり返すごとにうまみは逃げ出す。肉の準備から焼き上がり後の休息まで、じっくり待つことが大切なのだ。

 試しにケネディ氏のアドバイス通りに、網焼きと鉄板焼きにチャレンジしてみたところ、どちらもやわらかく焼き上がったが、網焼きはどうしても表面に浮いた肉汁がこぼれ落ちてしまう。炭火ならではの香ばしさが加わるが、ややぱさつきが生じてしまった。赤身特有の深いうまみを残さず味わうなら、鉄板やスキレットを使うのがベストだ。

 また、せっかくブロック肉を購入しても焼き肉のイメージでつい薄くカットしがちだが、これではどんなに気をつけて熱しても硬く、ぱさついてしまう。3〜4cm厚のステーキを焼いてから、薄く切り分ける方が断然失敗しづらい。

 ケネディ氏によると「ニュージーランド牧草牛は自然な風味が魅力」とのことで、味つけもシンプルなもので十分。塩・コショウで食べるほか、スキレットで焼いた際に残った油を使ってソースを作ってもよし。だししょうゆと日本酒を加えて煮詰めるだけのシンプルな和風ソースを作ってみたが、十分おいしい。

 赤身肉は、手間をかけずに時間をかけることでとっておきの一皿になる。バーベキュー・パーティーのホストにとって、じつにありがたい食材だ。

衰え知らずの肉ブーム!失敗しない赤身肉のおいしい焼き方
ブロックで手に入れたら、薄くスライスするのではなく厚めにカット

衰え知らずの肉ブーム!失敗しない赤身肉のおいしい焼き方
網焼きの場合、どうしても肉汁が落ちてしまう。炭火ならではの香ばしさを得られるが、鉄板焼きに比べると硬めの仕上がりだ

衰え知らずの肉ブーム!失敗しない赤身肉のおいしい焼き方
肉の焼き加減は、トングで軽く押して確認。中指と親指で輪を作り、親指のつけ根の硬さがミディアムレアだ。ただし、つつきすぎると肉汁が流出するのでほどほどに

衰え知らずの肉ブーム!失敗しない赤身肉のおいしい焼き方
シンプルな味つけで赤身のおいしさを味わって

文/大森弘恵