『うつの常識、じつは非常識』

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 「日本で最も薬を出さない」精神科医が説く、うつ病最新対処法『うつの常識、じつは非常識』が2016年7月14日(木)に発売された。

 同書では、薬に頼らない方針を打ち出している稀少な大学病院精神科の教授が語る、うつ病人口増大の知られざる背景と、うつにならない方法、そしてうつを治すための生活習慣改善法を紹介している。

 うつに関しては、巷間ささやかれている常識のなかに極論も混ざっている。抗うつ薬の効果、激励禁忌(「励ましてはいけない」)の神話、長期療養の問題などだ。それらのなかには、学界ですでに否定されたもの、時代的な使命を終えたもの、一部の患者にしか妥当しないものなどがある。著者はその点を明らかにするとともに、こころの健康を保つために睡眠時間を確保することの重要性を説く。

<内容紹介>(「まえがき」「序章」より一部抜粋)

私は、長年、精神科医の仕事を続けてきました。ここ10年ほどは、主として都市部の患者さんのうつ・不安・不眠を診てきました。その間、年々、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬の処方量が減ってきました。今ではおそらくは、保険診療を行っている日本の精神科医の中で、もっとも処方量の少ない精神科医でしょう(もし、ほかにもおられたらお教えください)。

薬の量が少ないわけは、その必要がないからです。別段、私は意地をはって「薬は使わない! 」と決心して臨んでいるわけではありません。必要なら使います。でも、実際にはその必要な場合というのは、けっして多くはありません。

薬を使わなくてすんでいるのは、都市型うつの病理の本質が心身の疲弊であり、それは薬を使えば治るようなものではないからです。むしろ、疲弊を解消する睡眠をいかにしてとっていただくかの問題だけなのです。いかにして24時間のなかに7時間の睡眠を確保するかの問題だけです。

もちろん、都市生活は忙しさに満ちています。その渦中にあって、7時間の睡眠を確保することがいかに難しいかはわかります。しかし、患者さんと話し合って、1日のスケジュール、1週間のスケジュールを伺って、どうにかして週合計50時間ほどの睡眠を確保すること。そのことさえ実現できれば、患者さんの側で自然と治っていく場合のほうが多いのです。

睡眠さえ確保できれば、心身の疲弊は解消します。あとは、心身の活力の回復に足を引っ張る薬剤は、さっさと切ったほうがいいのです。薬を減らして、いっそのことやめてしまった方が、よほどきれいに治ります。

■『うつの常識、じつは非常識』

著:井原裕

発売日:2016年7月14日(木)

出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン

井原裕(いはら・ひろし)

1962年鎌倉生まれ。獨協医科大学越谷病院こころの診療科教授。東北大学(医)卒。自治医科大学大学院、ケンブリッジ大学大学院修了。順天堂大学准教授を経て、2008年から現職。日本の大学病院で唯一の「薬に頼らない精神科」を主宰。専門は、うつ病、発達障害、プラダー・ウィリー症候群等。精神科臨床一般のみならず、産業精神保健、刑事精神鑑定等にも対応。著書に『生活習慣病としてのうつ病』『うつの8割に薬は無意味』など。

※掲載内容は変更になる場合があります。