夏だからってTシャツに短パン?そんなお洒落なら誰でもできる!

冬の素材と異なり、夏の生地ではなかなかお洒落が難しいとお悩みの男性読者の方へ、業界を代表するオシャレ賢者5人のベテランが、とっておきの着こなしを伝授します!!



フロントダーツをとらない、ナチュラルショルダー、センターベントのアメリカントラディショナルスタイル、いわゆる「儀拭廚離后璽弔蓮年5着は仕立てるという山本さん。パッチ&フラップポケットのカジュアル感が、力の抜けたシティーマナーを実現する。手にした帽子は、フランク・シナトラ風に幅広のリボンを配した、ケイドが『CrownClown』とコラボレーションしたオリジナル。
シティマナーなリラックスしたスーツスタイル。

取材時はちょうどNYから帰国したところだった山本祐平さん。テーラー『ケイド』は近年海外に招聘されオーダー会を行うことも多く、山本さんはワールドワイドな「アメリカンスタイル」の伝道師となりつつある。そんな彼が着こなしの上で重要と考えるのは「シティーマナー」であること。

アイビースタイルをリラックスして着る、力の抜けたスタイルこそシティーマナーの要諦。そして夏の服地として、シアサッカーやダークなマドラスチェックを挙げる。

この着こなしは、山本さん所有のニューヨークに関する古い本がベース。本には次のような記述がある。



靴はブラックカラーの、オールデンのコードヴァンタッセルスリップオンをあわせて、シティマナーな足元に。

「その男は、ブルックス・ブラザース製の白っぽい縞入りの夏服に、グリーン地に白玉の、いわゆるポルカ・ドットの蝶ネクタイをしめていた」。

まだシアサッカーの呼称など浸透していなかった頃の表現は、不思議と新鮮な響きがある。それは山本さんの、不易な、それでいていつもフレッシュな着こなしに通じるようだ。


Yuhei Yamamoto

Tailor


山本祐平 『Caid(ケイド)』代表。アメリカンなテーラードスタイルを追求し、具現化するテーラー。「平凡なものを、丁寧につくる」という哲学に賛同する輪は、日本のみならず米国やアジア圏にも広がっている。




『batak House Cut(バタク ハウスカット)』スタイルド・ビスポークのスーツ。3パッチポケット&ノーベントの上着にインツープリーツ、裾幅23センチのトラウザーズ。服地はbatakが日本のメーカーと開発したオリジナル。ロングポイントの麻のシャツにカラーバーをあしらい、ネクタイはソブリンハウスで購った芯なしのプリントタイ。大人な30’sスタイルだ。手にした帽子はパリのオプティモ・クラウンのもの。
現代的なバランスとクラシックな佇まい。

「普段から何かあって街へ出るときには、スーツを着ることが多いんです」。

このように語るのは、イラストレーターのソリマチアキラさん。この夏に着たい、ちょっとクラシックなスタイルとしてピックアップしたのは、スーツからシャツそしてブレイシーズまで「麻素材」の総リネンスタイル。

「去年ネイビーの麻のジャケットを誂えて以来、夏は麻を着たくなって。新たに麻らしいクリーム色のスーツを誂えました」。



靴はクロケット&ジョーンズのバーガンディ&ホワイトのコンビローファー。ブラウンのストライプ柄のソックスが、クラシック・カジュアルな雰囲気に華を添えている。

3パッチポケットの麻のスーツは『バタク ハウスカット』のスタイルドビスポーク。

「1930年代から60年代ぐらいまでの、英国やヨーロッパの雰囲気が落ち着くんです。でも、そのスタイルをコスプレ的に着たくはない。オーダーメイドで仕立てることで、現代風にしています」。

トラウザーズの裾幅などはそれほど太くなく、現代の目から見ても普通のバランス。他のアイテムも現代の物が主だが、その佇まいは実にクラシック。クラシック=単に古い、ではないのだ。


Akira Sorimachi

Illustrator


ソリマチアキラ 『Men’s Precious』や『Men’s EX』といった男性誌でのスタイリッシュなイラスト、または広告のコミカルなキャラクターなどで知られるイラストレーター。どこかレトロスペクティヴな味わいの画風にファンが多い。




イタリア「カノニコ」製のウールサッカー地で仕立てたスリーピース。そのどこか和風の素材感と、ちょっと緩めにとったサイズ感で、リラックスしたスーツスタイルを実現している。帽子はトラヤ帽子店のエクアドル産のパナマ。手にしたクラッチはヴィンテージの「コンコルド」のノベルティ。乗客に配られたものらしく、テッド・ラピドスがデザインしている。
リラックスして落ち着くスーツの装い。

「休みの日でも、スーツを着ることが多いですね。コンサートや美術館に行くときはスーツが多いです。落ち着くというか、便利でもある。年相応ということもあるかもしれません」。そう語るのはBEAMS のファッションディレクターである尹勝浩さん。

この日はビームスでオーダーした、ブラウンカラーのウールサッカー地のダブルのスリーピースに、『ボルゾネッラ』の柄が鮮やかなシャツ、そしてグリーンのニットタイを合わせた。

「マリの写真家、セイドゥ・ケイタの写真の感じでしょうか。ブラウンのスーツは最近のアフリカへの関心を反映しています」。



靴はもう何足も持っているというチャーチ「BURWOOD」のコンビモデル。No.81ラストの適度な丸みがカジュアルな印象。ソックスはパンセレラの鮮やかなボーダー柄。

写真集『サプール』以降イタリアなどで注目されているアフリカンテイストを、尹さんは独自のカルチュラルな見識をもって、自身の装いに落とし込んでいる。

「茶色のスーツにはまた、ジョークの意も含まれますね」と笑う尹さん。スーツが落ち着くという言葉の背後には、常識を覆す鋭敏かつパンクな感性がある。


Katsuhiro Inn

BEAMS Fashion Director


尹 勝浩 学生時代からビームスで働き、ショップマネージャー&バイヤー、商品企画を歴任。現在は「ビームス 銀座」でショップスタッフを務めるかたわら、自身の持つ豊富な知識と経験を活かしメディアへの寄稿や講演も行う。


お次のオシャレ賢者はこの2人!夏にこういう恰好してたら、素敵ですよね。



トータル6本所有しているというニッカーズ。これは『エンジニアードガーメンツ』の春夏もの。ホーズはスコットランドのメーカーのもの。ベストは『ジャンゴアトゥール』、ノーカラーのシャツは『ハーバーサック』。特殊なアイテムは古着でもいいが、シャツは少し難しいので、こうした日本のブランドを選ぶことが多い。帽子はアメリカ・ユタの「TATTON BAIRD HATTERS」のもの。
旧き佳きアメリカの理にかなった服。

「19世紀前半の感じでしょうか。その頃の服は、大量生産ではなく、至る所に今は使っていない機能があったんです。それは着る人の用途や必要に応じて、つけられていたディテールです」。

このように自身の着こなしの時代感を説明してくれたのは、レッド・ウィング・ジャパンの鈴木理也さん。取材時はその時代感を、『ハーバーサック』や『ジャンゴアトゥール』、『エンジニアード ガーメンツ』といったジャパンブランドの服で表現していた。

中でもノーカラーのシャツは、鈴木さんにとってマストなアイテム。



靴はレッド・ウィングの「Girard Boot(ジラードブーツ)」。ポストマンシューズと同じ210番ラストに、エンボスをかけてシンガー社のPACミシンで縫われたモカステッチが、独特の存在感を生み出している。

「そもそもカラーつきのシャツは、大量生産の背景があって広がったものだと思います。でも、私の仕事や生活においては、シャツの衿はいらない。冬でもジャケットの衿でこと足ります」。

論理的な説明の一方でこんなコメントも。

「結局男って面と向かっておしゃれできないから、機能的な理由をつけたがるんですよね」。

男のこだわりの真意は含羞、とは鋭い見識。


Michiya Suzuki

Red Wing Japan General Manager


鈴木理也 レッド・ウィング・ジャパンのゼネラルマネージャーとして、正統なアメリカンブーツメーカーとしてのレッド・ウィングの魅力を日本に定着させた。近年は「ベックマン」ほかクラシックドレスラインの紹介に力を入れている。




トラウザーズは「ようやく陽の目をみました」という、とんちゃん通りの店で購入した古着。ジャケットとシャツは『SUN/kakke』のもので、シャツはタブカラーの半袖で、裾に生地の耳が入り、裾出しで着ると独特な存在感。ジャケットはパッチポケットの内部に両玉縁ポケットがある凝ったつくり。さらに袖裏は半袖シャツでも快適に着られるようにとシャツ生地が選ばれている。
一見普通に見えてフォルムが変わっている。

本誌ではすっかりおなじみの、『SUN/kakke』『YOUNG & OLSEN the DRYGOODS STORE』のデザイナー、尾崎雄飛さん。アメカジからクラシックまで、幅広い守備範囲で服づくり、そして自身の着こなしを構築する尾崎さんに、「ちょっとクラシックな夏の装い」を考えていただいた。

キーになっているのは独特なシルエットのギリーシューズと、変型2タック、太めのグレンプレイド・トラウザーズ。

「自分の着こなし的には、靴はひと通り遊んで、今はクラシックだけど面白いものに戻ってきた。回帰感がありますね」と尾崎さん。



『Le Yuccas(レ・ユッカス)』の、ウィメンズの木型を使ってつくられたギリーシューズ。細身だが丸みあるシルエットが、どこか緩い雰囲気をもたらしている。L’ÉCHOPPE別注。

クラシックなスタイルであるギリーは、イタリアの村瀬由香さんのブランド『レ・ユッカス』のもの。ウィメンズの木型でつくられたもので、ヒールの高さやシルエットがメンズのそれとはちょっと違っている。

その存在感がトラウザーズの太さと相まって、不思議なバランスを生みだしている。

「見た目は一見普通、でもフォルムが変わっているものに惹かれるんです」。


Yuhi Ozaki

SUN/kakke
YOUNG&OLSEN the DRYGOODS STORE
Designer


尾崎雄飛 『SUN/kakke』『YOUNG & OLSEN theDRYGOODS STORE』デザイナー。アメカジやテーラード、ミリタリーなどを消化して生み出された独自の服づくりは評価が高い。ブランドやショップのディレクションも手がける。


西郡友典|写真
photographs_Tomonori Nishigori
text_Yukihiro Sugawara